Zscalerの主要な2つの機能は「ZIA(Zscaler Internet Access)」と「ZPA(Zscaler Private Access)」です。わかりやすくいうと、ZIAはセキュアなクラウドプロキシーサービスです。またZPAはクラウドベースでセキュアなリモート接続を実現するサービスとなります。
従来まではこれらの機能は別々のメーカーのソリューションで実現することが大半でした。Zscalerはプロキシーとリモートアクセスを一元的に管理できます。また、それぞれで別のメーカーの製品を導入すると、干渉し合い業務に支障が出るケースもあり得ます。Zscalerではそのような心配もありません。
(1)ZIA
ZIAはURLフィルタ、アンチウイルス、サンドボックスなどのセキュリティを提供するクラウドプロキシーです。インターネット接続の際、従業員はZIAを経由することでSaaSなどを安全に利用します。
ZIAの大きな特長は快適でセキュアなネットワーク接続です。SSMA™と呼ばれる独自の並列スキャン技術により、データを高速処理します。また、Microsoft 365やG Suiteなど数多くのクラウドサービスとピアリングしているため、低遅延で快適な環境を実現できます。
Zscalerは世界各地にアクセスポイントがあるため、海外出張など離れた場所においても快適かつ安全に業務を行うことが可能です。
自社のネットワークに負荷がかからず、アップデートも随時行われるため、システム管理者の運用負荷軽減にもつながります。
またZIAは昨今問題になっているSSLによる暗号化通信にも対応しています。近年はWeb通信のほとんどがSSLで暗号化されています。SSLインスペクションによって通信内容を可視化することで、暗号化された通信の中に隠れたマルウェアなどの検知が可能です。
(2)ZPA
ZPAはセキュアかつ快適なリモート接続を実現するサービスです。Microsoft AzureやAmazon Web Servicesなどのパブリッククラウドや業務システムなど、オンプレミスで使用されるアプリケーションへのアクセスをユーザー単位でコントロールします。
コロナ禍で活用が加速したVPNは、利便性があるもののリスクも顕在化しています。その1つが最初の認証さえ通ってしまえば、その先のネットワークやアプリケーションに自由に接続できてしまう点です。従業員の端末がマルウェアに感染したり、認証情報が漏えいしたりしてしまうと不正アクセスにつながります。
ZPAはユーザーごとにアクセスを制御(マイクロセグメンテーション)可能です。ユーザーがZPAにアクセスした後、認証基盤やエンドポイントセキュリティソフトと連携し、多要素認証を実装したり、一定のセキュリティレベルを満たさない端末からの接続を拒否したりすることもできます。
こうした仕組みは従来のリモートアクセスと区別し、SDP(Software Defined Perimeter)、あるいはZTNA(Zero Trust Network Access)ともいいます。
ZIA同様、従業員の現在地に最も近いアクセスポイントへ自動的に接続するため、社内システムであっても低遅延で利用できます。