IPoEでのVPNの構築方法 IPv4とIPv6の両方に対応する接続設定が必要
IPoE方式は、従来のPPPoE方式を超える通信性能を持ちます。大容量の通信が可能になるため、法人向けに最適な回線といえます。そして、これから普及が予想されるIPoEは、VPNの構築にも最適です。
企業にこそ最適な新時代の回線「IPoE」
仕事でもプライベートでも、日々インターネットを使っていると「接続が遅いな」と感じることがしばしばあります。特に、夜8時から午前0時頃までの時間帯や、動画などの大容量コンテンツに接続したときなどに動作が鈍くなるという経験は、ほとんどの方がお持ちでしょう。その原因はさまざまですが、最も大きな理由はアクセスの集中、つまりデータ通信が交通渋滞を起こしていることが挙げられます。
こうした問題を解決してくれるのが、新時代の接続方式であるIPoEです。IPoEでは、電話回線から発展したこれまでのPPPoE方法とは異なり、直接インターネット回線に接続します。また、設備が大容量化していることから、より混雑しにくい環境でスピーディーな通信が実現できます。このIPoEを使ってVPNを構築すれば、膨大なデータでもストレスなく通信することができます。IPoEは、企業向けのネットワーク回線として、まさに理想的といえるでしょう。
これまでの接続方法「PPPoE」とは
IPoE方式について理解するには、まずこれまでのPPPoE方式のしくみについて確認しておかなければなりません。インターネットに接続する方法として、現在でも主流となっているのはPPPoE方式です。PPPoEは広く普及している電話回線を利用する仕様となっています。そのため、PCからルーターを通じて電話回線でデータを送受信し、さらにプロバイダーにインターネットへの橋渡しをしてもらう必要がありました。
その際、PPPoEでは、プロバイダーごとに用意されているネットワーク終端装置(NTE)を通過する必要があります。しかし、1つのネットワーク終端装置に対して収容できるセッション数(≒ユーザー数)が決められているため、トラフィック量が増加していくと混雑して通信速度が遅くなる可能性があるのです。
例えていえば、片側3車線の高速道路の料金所が1車線しかないようなもの。ただでさえ流れが滞りがちな料金所が1車線しかないのでは、交通量が増える時間帯に渋滞が起こるのは当然というわけです。
インターネットに直接接続する新方式「IPoE」
新しい接続方式であるIPoEは、IP over Ethernetの略で、従来のネットワーク終端装置のような橋渡しのための通信設備を介さず、インターネットにシンプルに接続する方式です。また、その設備はPPPoEに比べて大容量化しているため、より混雑しにくい環境となっています。
現在日本では、NTTコミュニケーションズをはじめとする数社の接続事業者(VNE)からの二次提供を受けて、OCNなどのプロバイダーがIPoEを提供しています。
IPoEはこれまでの方式と何が違うのか?
従来の方式であるPPPoEと、新たな方式であるIPoE。それぞれの特長を理解していただけたところで、IPoEにどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
通信速度が速い
PPPoEでは、インターネットに到達するまでに、いくつもの機器を経由する必要がありました。しかし、IPoEでは、そのプロセスがいたってシンプルです。そのため、従来のPPPoE方式よりも流れがスムーズで、速度の低下を防ぐことができます。これは、「信号の多い道路」と「信号のない道路」の違いをイメージしていただければわかりやすいでしょう。
また、通信速度にも差があります。PPPoE方式は最大200Mbpsまでですが、IPoE方式では最大100Gbpsと、超高速な通信速度に対応しています。接続事業者が少ないこともあって、利用者もまだまだ少なく、混雑が起こりにくいという利点もあります。
別回線なので渋滞しにくい
IPoEでは、PPPoEとは論理的に区分された別回線を使うことができます。これは、渋滞しがちな一般道とは別に、広いバイパスを利用できるようなものです。例えば、NTTコミュニケーションズが接続サービスを提供するOCNの場合、設備の容量は従来の2倍を確保しています。そのため、トラフィックが集中する時間帯でも、スムーズな通信を担保しています。「回線が混雑していて、急ぎのデータ送信ができない!」というトラブルも起こりにくいため、高い安定性を発揮します。
また、法人で使用する場合、大容量の動画コンテンツに接続する個人向けトラフィックなどと論理的に分離することもできますから、アクセスの集中による渋滞を緩和することができます。
IPoEに弱点はないのか?
IPoEは、従来のPPPoE方式のデメリットを解消し、よりスムーズで安定した通信環境を提供するものです。その意味で、PPPoEと比較してデメリットというものはありません。
ただし、IPoEで使用している通信プロトコルはIPv6なので、通信先のウェブサービスもIPv6に対応している必要があります。現在はIPv6への移行は過渡期にあり、IPv6に完全対応していないサービスも目につきます。そのため、IPoEのサービスでは、従来のIPv4 PPPoEと通信ができるようにした技術「IPv4 over IPv6」が提供されている場合がほとんどです。
IPoEで企業のVPNを構築するには?
IPoEは、設備が大容量で通信速度が速く、個人利用のトラフィックの影響も受けにくく、安定性が高いということをご説明してきました。このようにIPoEは、企業が使う通信インフラとして、とても優れた特性を持っています。この特性を活かしてVPNを構築できるとしたらどうでしょうか?本社と各支社間をつなぎ、重要なデータを送受信するVPNにIPoEの特性が加わったら、企業の通信インフラとして理想的です。
オープンなインターネット回線を使ったVPNでは、各拠点に必要な機器をそろえて設定すれば、自社でもすぐに使うことができます。しかし、先にお話ししたとおり、IPoEで使われている通信方式IPv6への移行はまだ過渡期であり、従来の方式であるIPv4 PPPoEは、まだ広く使われています。そのため、VPN機器の設定もIPv4とIPv6の両方に対応できるようにしなくてはならず、専門知識がないと設定作業は難しいかもしれません。
しかし、それでも将来的には通信方式がIPoEへ移行していくのは当然の流れです。今のうちから接続事業者であるサービス提供会社に相談しつつ、通信環境の整備を図っておきましょう。
最新技術の導入にはプロに依頼を
ICTの分野では絶え間なく研究開発がなされ、新しい技術やサービスが生み出されています。今はまだ一般的ではないサービスが、1~2年後のスタンダードになっていることも珍しくありません。通信環境に関しても、常にアンテナを張り巡らせて、新たな技術やサービスの情報に目を通しておくべきでしょう。
ただし、その最新技術が自社にフィットするかどうかは別問題です。ことに、通信環境は企業にとって基本インフラで、改修や更新をするにはそれなりのコストもかかります。新たなサービスが登場する度に導入していては、かえって効率が悪くなるばかりです。ですから、専門知識を持ったプロに相談しながら、将来を見据えて環境を整えていくことが確実でしょう。
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