Arcstar Contact Center
株式会社ウイング
業務の効率化とセキュリティ強化を実現
営業戦略の武器として新たなビジネス展開に期待
課題
・コンタクトセンターの効率的な人員配置の読みが難しく稼働率の安定が困難
・音声データ保管時のオペレーションやセキュリティ対策に不安があった
対策
・クラウド型コンタクトセンターサービスを採用
・自動発信と通話録音機能を備え、業務効率化とセキュリティ強化を実現
効果
・業務効率は従来の3倍、オペレーター1人につき400件/日
・クラウドサービスの利点を活用し、柔軟かつ戦略的なビジネス展開に期待
株式会社ウイング
代表取締役
池田 政之 氏
株式会社ウイング
常務取締役
百崎 潤子 氏
課題
オペレーター配置や稼働率が悩み
データ管理におけるBCP対策も急務に
アウトバウンドを中心とした受託ビジネスを展開する株式会社ウイング。同社が提供する「ウイングシステム」とは、全国展開する宅配会社と提携して、書類の配送から回収までをワンストップで行うサービスで高い回収率を誇る。同社代表取締役の池田政之氏は「お客さまに書類が届いたことを確認した瞬間、タイミングを逃さずフォローコールをして、回収の時間を伺ってから宅配会社が再度回収に訪れるので、高い回収率が実現できるのです」と語る。
このサービスではまず、顧客企業ごとに専用の往復便のパッケージを用意し、対象となるリストに基づいて書類を入れて宅配会社に配送を委託する。配達が完了するとリアルタイムに荷物情報が同社のシステムに連携される。配達完了情報を確認した同社のオペレーターがお客さまに電話をかけ、書類の記入方法などを説明するとともに、回収できる時間を聞く。それを宅配会社に連絡して往復便のパッケージごと書類を回収するという流れだ。「最短3日での回収が可能」だと池田氏は話す。
しかし、課題もあった。まず対応する人員の配置や稼働率の読みが難しかったことだ。オペレーターの人員が少なければ、宅配会社からの配達完了情報にタイミングよく対応できず、お客さまにつながらないケースが増える。結果、全体の稼働率も下がり、顧客企業には割高感を与えてしまう。
また、社内のデータの保存方法もセキュリティや事業継続性を考えると不安があった。「お客さまとのやり取りの音声データは二重化、三重化で保存して、週単位で手動でサーバーに集約してました。手動のためデータの消失や破損が起こる可能性もあり、検索にも時間がかかっていました」と同社常務取締役百崎 潤子氏は語る。
対策
業務効率化とセキュリティ強化を実現する
クラウド型コンタクトセンターを導入
そこで同社は、オフィス移転を機にシステムの全面的な見直しに着手した。
「最も重視したのは、業務効率化につながる電話の自動発信機能、プレディクティブダイヤラー(PDD)が使えること、通話の録音機能でした」(池田氏)。その条件を満たすものとして選ばれたのがNTTコミュニケーションズ(以下、NTTCom)が提供しているクラウド型コンタクトセンターサービス「Arcstar Contact Center」だった。「他社からも同様のPDD機能が提供されていますが、Arcstar Contact Centerは標準機能として提供されており、簡単に導入できて運用もシンプルだと考えました」と百崎氏は振り返る。
またクラウドサービスであることも大きな要因だった。百崎氏は「必要な時に必要なだけ増やせるクラウドであれば、オペレーターの席の増減にも迅速に対応できます。これは大きな魅力でした。特に、アウトバウンドは営業キャンペーンや法的な変更への対応など不定期かつ短期的にニーズが発生します。しかも、小規模に始めて、結果が良ければ拡大するといった取り組み方も多い。Arcstar Contact Centerなら、こうしたニーズの変化にも柔軟に対応できます」と語る。
「セキュリティやBCPの観点から自社でデータを持つことはリスクを伴いますが、NTTComのシステムなら、顧客企業に安心してもらえます。通話記録も自動で保管されるので、人的ミスで消失する恐れもなくなりました。通信回線も冗長化されており、災害対策の面でも安心です」(池田氏)。
また、これまで使ってきた独自のCRMシステムとの連携についてもArcstar Contact CenterはオープンなAPIを装備しており、自社のエンジニアによってすぐに連結されることができた。「うまく動くのか、不具合があった時の原因の切り分けは大丈夫かといった不安も杞憂でした」(池田氏)。
また導入にあたり、基盤となる音声回線もNTTComのArcstar Universal Oneで一本化。PC端末を含めたすべてをNTTComに委託し、2015年1月末の新社屋での業務開始に合わせ急ピッチで導入作業が進められたが、構築期間は実質1ヵ月と短く、大きな混乱もなかった。
効果
業務効率が3倍向上、
柔軟かつ戦略的なビジネス展開に期待
池田氏が期待していたPDDの効果はすぐに表れた。「オペレーターが一人につき1日400件のコールに対応できるようになりました。これまでの3倍の件数です」と導入の効果を高く評価する。この3倍という効率化は業務のキャパシティにも大きな余裕をもたらした。百崎氏も「本社のコンタクトセンター120席とサテライト拠点とをフレキシブルに効率よく運営できている」と語る。
さらに、業務の効率化やセキュリティ強化に加え、事業展開の柔軟性という大きなメリットももたらした。同社には、営業コールをするコンタクトセンター、荷物を追跡するオペレーションセンター、そして荷物を発送する事務センターの3つの機能があるが、これらのセンターの機能をサービスとして切り分けて提供することが可能になったのだ。
「これまでは営業戦略上、3つの機能を内製で行っていました。顧客企業によっては、すでにコンタクトセンターを持っていたりして、すべての機能を必要とされないこともありましたが、今では個別に提供することができるようになりました」と百崎氏。今後は客先でコンタクトセンター業務を展開するなど、パーツごとに機能を提供していくという。 またコンタクトセンターを柔軟にできるようにもなった。「拠点をスピーディーに構築でき、規模の大小も問いません。遠隔地にも小規模なコンタクトセンターを設置して、近くに住む方々を採用することもできます」と百崎氏は期待を込める。
さらに同業他社との連携を進めて、受託できる業務量の最大化と柔軟性の両立も可能だ。池田氏は「大規模な案件に対応できるだけでなく、1つのジョブを同業他社とシェアできるというメリットも大きい。Arcstar Contact Centerを使ってみて、業務の効率化やセキュリティ面以外に、営業戦略の武器として活用できると確信しています。今後は三者通話機能やPDDと音声で自動応答を行うIVRを組み合わせて使うなど適用範囲を広げながら、新しいビジネス展開の基盤としても活用していきます」と語る。
株式会社ウイング
本社所在地
広島市中区猫家町7番2号ウイング本社ビル
設立
1997年5月
事業概要
宅配会社と連携した独自のコンタクトセンターを展開。書類の配送から回収までをワンストップで行う往復便ソリューションなども実施している。