株式会社白謙蒲鉾店
贈答用を中心とした蒲鉾の製造販売をしている株式会社白謙蒲鉾店。
通信販売の受注窓口やお問い合わせ窓口としてフリーダイヤルを活用いただいております。
フリーダイヤル
課題
・老舗蒲鉾店が通信販売の受付にコールセンターを開設
対策
・非日常時にも、人と人とをつなぐ窓口がいち早い復旧の懸け橋に
効果
・震災から3ヵ月足らずで窓口は、コール数、売上共に、通常と変わらないほどにまで回復
株式会社白謙蒲鉾店
常務執行役員 佐藤氏
株式会社白謙蒲鉾店
マネージャー 小松氏
フリーダイヤルを長く上手に活用してきたことが
東日本大震災後のいち早い復旧につながった
石巻港に水揚げされた魚が蒲鉾に形を変えて全国各地へ
日本有数の漁獲高を誇る石巻港。遠洋漁業の基地として知られ、黒潮と親潮がぶつかる金華山沖が近いことから、一年を通じ豊富な種類の近海の魚が安定して水揚げされています。白謙蒲鉾店はこの立地条件を活かし、大正元年に鮮魚店としてスタート、後に蒲鉾の製造販売を始めました。蒲鉾の有名店が多い宮城県においても、老舗の一つに数えられています。
白謙蒲鉾店はこの蒲鉾の通信販売の受付に年間を通してコールセンタを開設し、フリーダイヤルを利用されています。進物用を中心とした商品の特性上、7・12月のお中元・お歳暮の時期が繁忙期で、特に12月のお歳暮時期は通常の月の10倍近いコールが集中するそうです。
繁忙期の対策としては、第一コールセンタを主軸に、臨時コールセンタ、FAXのフリーダイヤル窓口をACDグループに入れ、分配比率をカスタマコントロールで変更することにより、乗り切っているそうです。「最繁忙期には、20名ものオペレータが動員されるのでカスタマコントロールが重宝しています」と常務執行役員の佐藤様にお答えいただきました。
さらに、「フリーダイヤルは、通信販売の受注が伸びてきた20年程前にできた通販課と同時期に取り入れました」と佐藤氏。「お客様に通話料がかからないフリーダイヤルはすっかり浸透していてもはや空気のような存在」と続けていただきました。また、コールセンタの小松マネージャーは「フリーダイヤルのおかげでお客様とじっくり会話ができるのがいいですね。お客様から指名されるくらいなんです」と、人とのつながりに欠かせないことを強調されていました。しかし、この人のつながりを脅かす災害が待ち受けていようとは誰も予想だにしていなかったのです。
2011.3.11の巨大津波により石巻の街が飲み込まれる
「フリーダイヤルのおかげでお客様とじっくり会話ができるのがいいですね。」と笑顔でお答えいただいた小松マネージャー。
東日本大震災の大津波によって石巻の多くの水産加工場や店舗が飲み込まれました。
白謙蒲鉾店も本店工場をはじめ、海岸よりの門脇工場も多大な被害を受けたのです。工場・店舗はほぼ水没し、製造設備は使用できない状態に。すぐには水が引かず、工場や店舗にいた社員の皆様は建物二階部分で二日間過ごすことになります。当然電話をはじめ、電気・水道等のライフラインは寸断され、しばらくの間不便な状態が続きました。道路にはがれきが山積みにされ、食料さえままならない日々。
しかし、震災後1週間ほどで社長様がある決断を下しました。それは工場の再開。辛うじて残った本店の笹かまぼこ製造機械を元に、2商品に絞って製造開始を試みます。それと同時に行われたのが震災前に受注していた分のお詫びと返金の連絡。多くの方が返金の申し出を断り、義援金の足しにとの優しい言葉をかけてくれたそうです。また、「復旧後にも、こういった励ましの言葉はたくさんいただきました」と小松マネージャー。
このときに役立ったのもフリーダイヤル。全国から寄せられる安否の問いに、涙で答えるオペレータとお客様との会話には少しだけゆとりの時間が必要だったのです。「フリーダイヤルだからお客様に通話料の負担がなく、安心してお話しいただきました」。そう話す佐藤氏の目には涙が浮かんでいるように見えました。
人とのつながりをさらに強くしたフリーダイヤル
「0120から始まるフリーダイヤル番号の認知度の高さが、非日常時にも人と人とをつなぐ窓口になりました。」と常務執行役員の佐藤氏。
4月17日に製造販売を数量限定で開始した白謙蒲鉾店。どうしてこんなにも早く復旧できたのでしょう。「工場・店舗の整備、原材料の調達、電気・通信網の開通などはもちろんですが、それより人が戻ってきてくれたことが大きかった」と佐藤氏。
津波の直撃を受けた石巻には、戻る人のない工場、戻る場所のない人たちが、まだまだたくさん残っています。その中でも白謙蒲鉾店は日頃の防災意識も高く、社員の皆様の信頼関係も厚いことから、数々の困難も乗り越えられてきました。驚くべきことに、震災から3ヵ月足らずの2011年7月の繁忙期の時点で、フリーダイヤル窓口は、コール数、売上共に、通常と変わらないほどにまで回復していたそうです。
「お客様からの励ましの連絡、復旧の人的確保、今まで通り購入していただくお客様。注文の窓口として展開していた0120から始まるフリーダイヤル番号の認知度の高さが、非日常時にも、人と人とをつなぐ窓口になりました。フリーダイヤルを通したつながりがあったからこそです」と佐藤氏。現在はほぼ震災前と変わらない状態に戻っているとのことです。あの3.11から、ここまで復旧している企業は決して多くはないでしょう。
時代、ニーズに合わせてフリーダイヤルを進化
驚くべきことに、震災から3ヵ月足らずの繁忙期の時点で、フリーダイヤル窓口は、コール数、売上共に、通常と変わらないほどにまで回復。
フリーダイヤルを今後どのように活用していきたいですかとの問いを佐藤氏にお答えいただきました。
「フリーダイヤルのサービスには満足しています。例えばお客様にプッシュボタンを押していただき、商品購入やお問い合わせなどご希望の窓口に接続する、『入力指示ルーティング』を利用したらもっと効率は良くなると思います。でも今現在お客様の大半を占める年配の方々にとってそれはどうなのか・・・。時代やニーズに合わせて進化させていきたいですね」。
人とのつながりをより強固にするための現状維持。もちろん時代が変わり、ニーズも変われば、新たなサービスを導入するというフレキシブルな対応をされるはずです。あえてこだわり続けるところに人を大切にする企業の心意気をみました。
株式会社白謙蒲鉾店
お客様センター概要
営業時間:午前9時~午後6時
業務内容:通信販売の受注・お問い合わせ
オペレータ数:約10名
カンパニープロフィール
資本金:3億円
事業内容:魚肉練製品 製造販売業
従業員数:233名(パート・アルバイト含む/2012年3月末現在)