ブラザー販売株式会社
コールセンターにおける
「SMS送信サービス」のスマート活用術
ブラザー販売株式会社
CS推進部
お客様サポートC
コールセンター
野坂 健三 氏
課題
ブラザーユーザーへのCS向上のため進化を続けるコールセンター
1908年(明治41年)のミシン修理業の開業をルーツとし、日本の製造業の黎明期を支えてきた老舗メーカーとして、一世紀以上にわたり時代の変化に対応したユニークな製品やサービスを提供してきたブラザーグループ。今日では、家庭・ビジネス向けのプリンター・複合機、家庭から産業向けのミシンなどを中心に、グローバルなビジネスを展開している。そのグループにおいて、国内の顧客ニーズを反映した製品やサービス、ソリューションを提供しているのがブラザー販売である。
同社ではユーザーに対するアフターフォローもブラザーの価値向上のための重要なミッションのひとつと考えており、その拠点として機能しているのがブラザーコールセンターだ。
最大150席の規模を有するコールセンターでは、プリンター、複合機をはじめFAX、モバイル端末、スキャナー、ラベルライターなど主に情報通信機器の使い方や、トラブルシューティング、買い替え相談、消耗品の案内など、幅広い問い合わせに対応している。
「当社のコールセンターが最初にナビダイヤルを導入したのは2003年。それ以降は、これに加え、050ビジネスダイヤル、一般回線など、複数の回線で運用していました。しかし、煩雑な回線管理を簡素化するため、インクジェットプリンターと複合機の相談窓口については2014年4月に、すべての回線をナビダイヤルに統一し、回線の一元管理を実現しました」とコールセンターの担当者・野坂健三氏は、回線運用の経緯を語る。
これにより、回線の運用管理面では大幅な効率化が図れたとのこと。しかし、繁忙期のPBX待ち呼やお問い合わせ窓口の電話がつながらないことによるCS低下や機会損失などの課題は残されていた。そこで、コールセンターへのつながりやすさの追求や通話時間の短縮など、サービス品質の向上のために、新たなサービスチャネルを模索した。その結果のひとつが、24時間対応可能なバーチャルコールセンター『サポートナビ24』をWEB上に開設したことだ。この専用サイトでは、製品別にその使い方やトラブルシューティングを対話式でやさしく解説し、ユーザーの自己解決を支援している。このサイトと従来のコールセンターをリンクさせる手段として考えられたのが、ナビダイヤルのオプション機能である『SMS送信サービス』の活用だ。
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対策
「ナビダイヤル」の導入により
コール受付の実態の“見える化”を実現
「スマートフォンからの着信が約4割にも達している現在、これらのお客さまの一部にサポートナビ24をご案内できれば、待ち呼の解消にもなるはず。そこで、SMSを自動送信できるサービスの導入を検討しました」(野坂氏)。
自動送信は次のような手順で行われる。①スマートフォンからセンターに問い合わせがあった場合、サポートナビ24の案内とSMS送信についてガイダンス。②ユーザーがSMS送信を許諾した場合、サポートナビ24のURLを記載したSMSを自動送信。③SMSを受け取ったユーザーは、サポートナビ24にアクセスし、自己解決を図ってもらうという仕組みだ。
「SMS自動送信の導入に際しては、他社の同様なサービスも検討しました。結果的に、NTTコミュニケーションズであれば、ナビダイヤルの機能なので一元管理が容易なこと、通信キャリアとしての実績、さらに、ガイダンス送出は網側で行うため通話料がかからないなどといった点を評価し、採用を決めました。SMS送信サービスの導入に合わせて、サポートナビ24の改訂も実施し、同時に運用を開始しました。すでにナビダイヤルを利用していたため、設備の更新や、センターの運用面での変更なども不要で、実にスムーズな導入でした」と野坂氏は、NTTコミュニケーションズを評価した。
図 「ナビダイヤル」導入前の課題/導入後の効果
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効果
Webサイトへの誘導により、待ち呼の減少・応答率向上を実現
最先端技術を活用し、コールセンターの自動化などを展望
こうして、2016年6月にSMS送信サービスがスタートした。「お客さまの一部をSMS送信でサポートナビ24にご案内することにより、センターの運営・管理面でも大きな効果が生じています」と野坂氏は言う。課題だった待ち呼については、オペレーターが対応する前にサポートナビ24をご案内することで減少した。同時に、オペレーターの応答率が向上し、業務の効率化が図られた。SMSはコールセンターの営業時間外でも送信でき、休日・深夜でもユーザーからの問い合わせに対応可能となったことでCSも向上した。
また、同社ではSMSを利用したユーザーへのアンケートも実施した。その結果は、『また利用したい』が約7割であり、その理由として『待ち時間なく利用できる』、『時間を問わず自分のペースで利用できる』などの好意的な回答が得られた。電話をかけてきたお客さまでも、自己解決のニーズが高いことを実感したという。さらに、SMS送信後のユーザー動向を詳しく分析すると、再入電の割合が約4割。つまり、約6割のユーザーが自己解決したことを示している。「実際にお客さまに受け入れられるかという不安もありましたが、これらの結果から、自己解決をしたいというお客さまのニーズを反映した仕組みであると評価しています。また、私たちはこのサポートナビ24だけではなく、製品の使い方などを動画で解説する『サポート動画』や、お客さま同士で問題解決などの情報交換をする『サポート広場』など、お客さまの使い勝手に応じた問題解決ツールも用意し、サービス品質とCSの向上に努めています」(野坂氏)。
これらの成果を受け、今後、同社では同様な仕組みをBtoB向け製品などの相談窓口への展開も予定している。また、問い合わせ対応のさらなるマルチチャネル化を推進するため、SMSを利用して『電話予約サービス』も開始する。SMSで病院の問診票のようなフォームをお送りし、その回答をもとに、オペレーターから折り返し連絡をするというサービスだ。事前にお問い合わせ内容が分かるため、対応時間の短縮化につながる。お客さまも、電話がつながるまで待つ必要がないため、CSの向上も期待されている。
そして、将来的には、AIやロボット技術を導入したコールセンター業務の自動化や、販売とサポート業務をシームレスに統合する顧客接点のオムニチャネル化も模索しているとのこと。「このような業務改革やCS向上を推進するため、今後も私たちの要求にマッチしたソリューションをご提案いただきたい」と野坂氏は、NTTコミュニケーションズに対する期待を語ってくれた。
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