株式会社ヒューモニー
CS向上のためのコールセンター改革
株式会社ヒューモニー取締役
事業推進部長
安達 成生 氏
課題
電報・ギフト配送に関する問い合わせを受けるコールセンター
日本における電報サービスは、旧電電公社(現NTT東日本・西日本)の独占事業であった。2000年以降の通信・郵政事業の自由化・規制緩和で、(『信書便法※』の制定により)一部信書の送達業務の民間参入を認めた。2002年創業のヒューモニーは、民間電報サービスのパイオニアである。同社は設立以来、大手運送会社に依存せずに全国をカバーする独自の草の根物流ネットワークを構築することで、法人・個人向けの低価格な電報サービス「VERY CARD」を展開。さらには、「人と人、人と社会を結ぶサービスと新たな価値を創造する」をスローガンに、冠婚葬祭に関わる生花をはじめとする各種オリジナルギフトの配送サービスも手掛けている。
ヒューモニーでの電報の申し込みは、すべて同社ホームページ上で受け付けているため、同社のコールセンターでは、顧客からの変更、キャンセルなどの問い合わせコール約4000件に加え、配送に関する連絡コール約4000件(ともに1カ月当り)に対応。
また、メインとなる大阪をはじめ、配送業者からの配送済みコールを受ける宮崎、生花に関する問い合わせを受ける東京の3拠点で運用されている。
※ 民間事業者による信書の送達に関する法律
このページのトップへ
対策
コール数が把握できない、輻輳時のアクセス障害など、
既設IP電話の欠点が露呈
ヒューモニーコールセンターでは、創立以来、100Mbpsの光回線にIP電話を8回線割り当て運用していた。しかし、15年余りを経過し、コール数も増加する中で、今後のコールセンターの業務と運用の改善を模索。その過程でいくつかの問題点が浮上してきた。
「最も問題となったのは、電話回線として8回線しかなかったので、繁忙時間帯によっては話中となり放棄呼が発生している可能性があったこと。しかも、正確な総コール数を把握する手段がなかったことが問題でした。また、電話もデータ通信も同一ネットワーク上で利用されていたため、電話の受発信が集中する時間帯では、帯域不足からデータ通信側でアクセス障害が発生するリスクも判明しました」と事業推進部の安達成生部長は、従来の通信環境の問題点を指摘した。これ以外にも、一部の問い合わせコールについて、受付時間設定が自動化できていない、音声ガイダンスのコールフローが煩雑で非効率、通信機器の故障や災害時など不測の事態の際、他拠点へ柔軟なコールの振り分けができない(BCP対策の不備)など、運用面での問題点もあったとのこと。
「解決策を検討する中で、当社コールセンターの責任者が前職でナビダイヤルのユーザーであったため、同システムの導入を強く推奨。社内で検討した結果、NTTコミュニケーションズの担当者に来ていただき、具体的なソリューションを求めました(安達部長)
依頼を受けたNTTコミュニケーションズでは、ナビダイヤルを導入した上で、
(1)通話用回線とデータ通信回線を分離、
(2)時間帯毎の正確なコール数やコール状況を把握するトラヒックレポートの提供、
(3)カスタムコントロールやオリジナルガイダンスによる管理の効率化、
(4)ACDやルーティング機能によりコールの振り分け
などを提案。同時に、アウトバウンドに対しては、法人向けのIP電話サービス『Arcstar IP Voice』を導入し、通話料金を削減するプランも提示した。
図 「ナビダイヤル」導入前の課題/導入後の効果
このページのトップへ
効果
ナビダイヤルにより問題点を解決
さらにIP Voiceの導入で通信コストも大幅削減
BCP対策強化など、CS向上のための次なる改革を模索
こうして導入が決定したナビダイヤルは約3ヵ月間の告知期間を経て、2015年11月から運用を開始した。
「導入後、トラヒックデータを活用することで、コール状況の把握・見える化を実現。これにより、オペレーターの適正配置が可能になりました。また、コールの振り分けやガイダンスフローの最適化などによりCSも向上。さらに、電話回線とデータ通信回線の分離により、アクセス障害のリスクも低減するなど、従来の通話・通信環境の問題点のほぼすべてを解決できたことに満足しています」と安達部長は導入効果を語る。
また、配送業者などとの業務連絡のためアウトバウンド件数が多い同社コールセンターでは、同時に導入したArcstar IP Voiceによる通話料金の削減効果も絶大であった。
「導入以降の実績を集計すると、従来比で毎月30〜40%程度の削減を達成しています。ナビダイヤルや関連するサービスの月々の固定費は多少アップしましたが、それをもっても余りあるコスト削減効果が生じたことにも十分満足すると同時に、当社の要求を超える提案をしていただいたNTTコミュニケーションズの対応に感謝しています」(安達部長)
ナビダイヤルの導入から半年を経過した頃から、蓄積したトラヒックデータを解析し、コールセンター業務のさらなる改善・改革に取り組んでいる。その一例がBCPの強化策である。「災害や事故、システム障害など不測の事態が生じた際、ナビダイヤルのコール振り分け機能を活用して、業務を中断することなく柔軟に着信先を変更できる環境は構築できています。現在はオペレーターなどの態勢を整えるだけです」(安達部長)
さらには、電報などの配送物をユーザーが追跡できるシステムも検討している。「CS向上のために、近い将来には導入するつもりです。その際は、NTTコミュニケーションズにもご相談させていただきます。今回の件で、NTTコミュニケーションズの技術力はもちろん、迅速な対応力やサポート力には大変満足しました。そういった姿勢は、お客さまを相手にする当社としても見習うべき点が多かったと思います。今後とも、よろしくお願いします」と取材の最に安達部長はNTTコミュニケーションズの対応を高く評価した。
CS向上を目的としたヒューモニーコールセンターの業務改革は、通信環境の改善とともに着実に進んでいる。
このページのトップへ