會澤高圧コンクリート株式会社
PBXのクラウド化で全拠点の意思疎通を緊密化
コミュニケーション環境の整備で働き方改革を加速
會澤高圧コンクリート株式会社
データ戦略室 リーダー
碓氷 竜大氏
「今後、弊社ではさらなる海外展開の展望を持っています。そのすべてをカバーできる通信バックボーンを持っている安心感も選定理由の1つです」
會澤高圧コンクリート株式会社
データ戦略室 スタッフ
樋原 良伸氏
「社員の異動に伴う電話環境の設定は、委託すると数日かかります。こちら側が短時間で容易に設定できるようになり助かっています」
課題
固定電話主体の電話環境がフリーアドレス化の障壁に
新しい働き方に見合ったコミュニケーション環境の整備に
「独創 挑戦 誠實(せいじつ)」を旗印に創業よりコンクリート材料の理想に挑み続け、産業と社会の進化に貢献してきた実践の技術集団、會澤高圧コンクリート株式会社(以下、會澤高圧コンクリート)。同社は、現在も先端テクノロジーを駆使した新たなビジネス創出に挑戦している。「天気や温度、湿度の変化などにより発生する生コン品質のばらつきを制御するAI、ひび割れを自然修復する自己治癒コンクリート、3Dプリンタを利用したコンクリート建設などの研究開発を行っています」と語るのは、データ戦略室リーダーの碓氷竜大氏である。
このような取り組みにおいて国内48の事業拠点、各事業部門の連携強化が必須条件だったと碓氷氏は明かす。「札幌支社の移転を機にフリーアドレスを導入し、ITツールを駆使して働き方改革に取り組む構想がありました。狙いは部署を横断した社員間はもとより、顧客やパートナーとのコラボレーションを活性化することで一層の競争力強化を図ることでした。そこで懸案になったのがオンプレミスで運用していた電話環境です。建設業という職業柄、社員が現場に出向くことが多く、現場から会社貸与のスマホで会社に電話をかけるケースもあり、通話コストがかさんでいました。この問題を解決するためにスマホの内線化を考えたのです」
移転先の札幌支社でフリーアドレスを導入するためにも、スマートフォンの内線化は必須条件になっていた。しかも既存の電話環境は老朽化しており、運用面でも課題があったと碓氷氏は指摘する。「私が入社する前から導入されていたシステムが使われて、こつこつとメンテナンスをしていたのですが、少人数体制で電話と社内ネットワーク、加えて開発要件に取り組むのは厳しい状態でした。まずは、老朽化した電話に関する業務を外に出すことが検討のきっかけでした」。「守り」の運用業務を委託し、経営戦略に資する「攻め」の開発業務にリソースを集中させることも重要なミッションだった。
このページのトップへ
対策
オンプレミスからクラウドへPBXを移行
円滑な連携に向けスマートフォンを内線化
同社は、働き方改革を加速する新たな電話環境づくりに向けたパートナー選定を開始。従来のオンプレミスのPBX事業者に加え、複数のクラウドPBX事業者の提案を比較検討した結果、NTTコミュニケーションズを選定、クラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」の導入を決断する。「オンプレミスに比べると断然導入コストが抑えられるという理由でクラウドを選びました。創業当時から使用している外線番号を変えることなくスマホを内線に組み込めること、他社サービスに比べてスマホへの転送方法といった操作がわかりやすいという使い勝手の高さも評価しました」と碓氷氏は選定の理由を語る。
Arcstar Smart PBXは、クラウド上にあるIP電話サーバーでPBX機能と内線機能を提供。PBXやビジネスホンのクラウド化により設備・保守コストを削減し、スマートフォンやPCなど多様なデバイスでロケーションを問わず無料で内線電話を利用できるサービスだ。アプリをダウンロードするだけでスマートフォンを内線化できることも大きな魅力となっている。
こうして同社は、2017年10月に営業部門と製造部門が一体化している札幌工場に試験導入。従来の固定電話とスマートフォンという「1人に対し電話が2台」という無駄がなくなり、「社員の人数=電話台数」の実現でトータルな電話台数を削減。手応えをつかんだ同社は、本丸である移転後の札幌支社への本格導入に取り組んでいく。
従来は札幌支社以外の複数の建屋にも事業部門が点在しており、部門間の連携が図りづらい状況だった。建屋を集約し、フリーアドレスを導入することで社員間のコミュニケーションを活性化し、社外取引先とのコンタクトレスを解消することが移転の狙いであった。これらを実現するためにPBXをクラウド化、スマートフォンを内線として利用できる音声基盤の整備が完了する。
図 會澤高圧コンクリートのシステム構成イメージ
社員の働き方に合わせて固定電話(IP電話)とスマートフォンを選択させ、無駄のないコミュニケーション基盤を構築。社外からかかってきた電話を現場にいる社員のスマートフォンに内線で転送、別拠点の内線に取り次げる柔軟な情報連携を実現している
このページのトップへ
効果
社内外との緊密なコミュニケーションを実現
フリーアドレスの浸透を加速する最適な電話環境へ
札幌支社への移転を終え、「導入コストはオンプレミスの1/5くらいに抑えられています」と碓氷氏は新たな電話環境をコスト面から評価する。さらに固定電話のIP電話化、1人1台という電話台数の適正化、社外からのスマートフォンが内線化されたことで従来の通信コストも大幅に削減された。
しかしながら、最大の効果は社内外との連携強化、働き方改革に向けたフリーアドレスの導入を円滑に根付かせる音声基盤が整備されたことだとデータ戦略室スタッフの樋原良伸氏は評価する。
「席を外して実験棟にいる社員もいれば、現場に出向く社員、出張で不在の社員もいます。このような社員にはスマホを持ってもらい、内線として利用することで機会損失がなくなりました。さらに拠点間でも内線が転送できるようになり、シームレスに社内外との連絡が取れているのは大きいですね」
運用管理面での負担軽減も実感できていると樋原氏は続ける。
「社員の異動もクラウド上にあるWeb電話帳の所属拠点を変えるだけです。物理的な電話機の設定は無く、速やかに手配できます。さらに電話機の故障時のリカバリーも代替端末にアプリを入れて、Web電話帳を設定すれば復旧するので、連絡が取れない時間が短縮できることもメリットとして感じています」
札幌支社への導入を終えた同社では、2018年度末までに全国すべての拠点のPBXをクラウド化、スマートフォンの内線利用を進めていく方針だ。「今後はテレワーク制度の導入などにも内線化したスマホを役立てていきたい」と碓氷氏は展望を語る。會澤高圧コンクリートの働き方改革を加速し、国内・海外の事業を躍進させるカギは、音声コミュニケーション基盤が握っているといえるだろう。
樋原氏、碓氷氏とNTTコミュニケーションズのプロジェクト担当者
このページのトップへ
會澤高圧コンクリート株式会社
事業概要
1935年の創業より生コン産業の先端を走り続けるコンクリートマテリアルのプロ集団。生コン、コンクリート製品の製造・販売に加え、従来にはない新製品・工法を積極的に開発。独自のビジネスモデルやマーケティング戦略を構築し、従来型メーカーからの脱皮を目指している。
URL
https://www.aizawa-group.co.jp
(1.05MB)
PDFファイルをご覧いただくためには、「Adobe Reader」がインストールされている環境が必要となります。
(掲載内容は2019年1月現在のものです)
関連リンク