埼玉西武ライオンズ
埼玉西武ライオンズ「ベルーナドーム」でcoomonitaを積極活用
混雑状況を球団アプリで公開し、来場者の体験価値向上につなげる
事業部 江岡太一さん
侍ジャパンの大活躍など、数々の熱戦が繰り広げられたWBC。いまだ、その熱狂が冷めぬ中、3月末からはプロ野球の2023年ペナントレースが幕を開ける。実はこのプロ野球の球場でもcoomonita(コーモニタ)が活躍している。その舞台となっているのが、埼玉西武ライオンズの本拠地・ベルーナドームだ。
我々のサービスが球場内のどこで活用されているのだろうか。その運用の実態や効果を株式会社西武ライオンズ事業部の江岡太一さんに伺った。
球場内16箇所の混雑状況を球団公式アプリでリアルタイム配信
——まずは江岡さんのご経歴と現在のご担当を簡単に伺えますか。
江岡太一さん(以下、江岡さん)
「当社に勤める前は、日系のコンサルティングファームで企業のBPR(業務改革)等のプロジェクトに4年半ほど携わっていました。当社に入社してからは事業部に籍を置き、事業企画グループとファンクラブ運営の業務を担当しています。そのうち、coomonita(以下、コーモニタ)を運用している事業企画グループは、デジタル活用・DX推進を軸に、中長期的な目線でお客さまの満足度や球団全体の収益の向上をミッションとしている部署であり、私は主に埼玉西武ライオンズの公式スマホアプリの運営や球場内におけるオペレーションの効率化を担当しています」
——「プロ野球チームの本拠地とDX」というのは、多くの野球ファンにとっても関心が深いところだと思います。コーモニタについてはこの後にたっぷりと伺いますが、まず、現在のベルーナドームではどんな視点でDXを進められているのでしょうか。
江岡さん
「球場のDXには『球場来場者の顧客満足度を上げる施策』と『球場来場者のストレスを軽減する施策』という、大きく分けて2つの方向性があると考えています。今、私たちが主に取り組んでいるのは後者の方で、来場していただいた方にストレスレスな体験価値を感じていただくための取り組みが中心です」
「いくつか例を挙げると、例えば、昨シーズンから本格的に始めたのが、球場内で販売しているグルメのモバイルオーダーです。こちらは観客席からスマホで注文いただくと、商品を席までお届けするというサービスです。その他、新型コロナウイルスの感染対策の一環として、球場内のレストランやトイレの混雑状況、各施設の換気情報およびCO2濃度が確認できる機能を球団公式アプリに実装するなど、さまざまな取り組みを進めています」
——そのような中、御社にはベルーナドームに計16台のコーモニタを設置していただいております。導入にはどのような目的があったのでしょうか。
江岡さん
「設置の検討を始めたころはコロナ禍の前だったので、コロナ禍の前後で目的が変わりました。当初は混雑が常態化しているエリアの状況をお客さまがご自身で確認でき、混雑回避に繋げられる手段を探していました。そのうちにコロナ禍が始まり、入場制限などによって人の流れは減ったものの、他の方との距離感を心配されるお客さまに対して、混み具合をお知らせできる手段が必要になりました」
「最初は西武球場前駅からメインゲートまでの導線、ドームに隣接するショップと当時新設された飲食売店が確認できる場所に計3台を導入しましたが、現在は飲食売店などが立ち並ぶ1塁側・3塁側のメインコンコースや喫煙所などドーム内の各所にも設置し、すべての状況を球団公式アプリでご覧いただけるようになっています」
課題が想定通り解決できていることが重要。次の課題は認知拡大
——クラウド録画カメラサービスの中でコーモニタを選んでいただいた決め手はどんなところだったのでしょうか。
江岡さん
「他のサービスとも比較検討しましたが、コロナ禍によって予算にも限りがある中で、第一に初期費用とランニングコストの費用面が魅力的に映りました。また、YouTube Live連携のオプションがあって、公式アプリに組み込みやすいという点も私たちのニーズに適っていました」
——設置後の具体的な効果が見える部分があれば教えてください。
江岡さん
「新しい取り組みゆえに他との比較は難しいですが、試合日には1日に平均500回程度のアクセスがあり、混雑回避のためにアプリに盛り込んだ機能の中では最も多く使われています。特に西武球場前駅から球場のメインゲートまでは、試合開始前になると隣接する県道の歩道のほうまで人の波ができる状況となります。そうした事前の混み具合を知りたいというのは以前からお客さまからのご要望の中にあったことなので、一定の効果をもたらせたと思います。去年はまだ走り出しの側面が強かったので、今年はもっと利用数が増えていくのではないかと期待しています」
——実際に使用している中で好感触に感じた部分や新たに見えてきた課題はありますか。
江岡さん
「我々が運用するというよりも、お客さまに自由に見ていただいて混雑回避に役立ててもらうことを目的にしているツールなので、運用後のプラスアルファよりも、はじめにあった課題が想定通りにクリアできているというところが大切だと思っています。
一方で、現状の課題としてあるのは周知の部分です。我々のケースだと、お客さまに知っていただいてこそ効果を発揮する機能なのですが、そのあたりは当社としてもう少し強化が必要なところです。これについては、シーズンの開幕に向けてオフィシャルサイトで改めて紹介するなど、認知拡大の取り組みを図っていきたいです」
——導入や運用において、当社のサポートにはご満足いただけましたか。
江岡さん
「設置場所を決める際に画角の面や当社側のこだわりをいろいろ伝えながら、ご担当者に細かく丁寧な対応をしてもらえたのは大変助かりました。また、導入後も、ほぼメンテナンスをお願いすることなくシーズンを乗り越えることができたので心強かったです」
コーモニタの導入が「安心・安全な野球観戦」を届けるメッセージに
——江岡さんも野球経験者だそうですね。ご自身の愛するプロ野球、ひいてはスポーツビジネスの世界において、DXで球場の環境を変えていく面白みはどんなところにあるとお考えですか。
江岡さん
「お客さまの声がすぐに跳ね返ってくるところが個人的に面白いと感じている部分です。ライオンズファンの皆さまはとても温かくて、例えば、ファンクラブの皆さまにお願いしている来場者アンケートにしても、毎回ものすごく多くの数の回答をいただきます。そうしたお客さまからの声が届きやすい環境は非常に貴重だと思っています。
DX関連の施策でも新しいものをリリースするとすぐにSNS等に感想が上がってきて、喜んでいただけた時にはやりがいを感じますし、逆に自分たちが思っていたこととギャップがあった時でも生の声が改善への励みになっています」
——これからペナントレースが始まると、たくさんのファンの方々がベルーナドームに来場されます。お客さまを迎えるお立場として、最後にコーモニタや当社に対する期待を教えてください。
江岡さん
「コロナ禍という不安が世間全体に影を落とした中、コーモニタによって混雑状況をリアルタイムで配信できたことは、来場される皆さまに安全・安心な野球観戦をお届けしたいという我々の思いを知っていただくきっかけになりました。その上で、感染対策の状況が徐々に緩和されつつある今年は、コーモニタ設置の価値がさらに増す年になると思っています」
「お客さまにとってどういう位置付けのサービスになるのかは、我々にも想定しきれていないところがあるので、そこを一緒に探っていきながら、お客さまの満足度をあげるために何ができるかを相談させて欲しいです。そしてドコモビジネスさんには、コーモニタ以外にも我々の課題に対してさまざまなソリューションを提案していただき、実現のところまでフォローしてもらっていますので、今後も継続的に良い関係を築いていきたいです」
いよいよ球春到来のプロ野球。ベルーナドームでは今年も、埼玉西武ライオンズの選手たちの素晴らしい活躍が見られることだろう。観戦に訪れた際はぜひ球団公式アプリを活用し、コーモニタの活躍にも注目して欲しい。