2024年8月1日

Interop Tokyo 2024 出展レポート

国内最大規模のインターネットテクノロジーイベント「Interop Tokyo 2024」が、6月12~14日に幕張メッセで行われました。今年のテーマは、「AI社会とインターネット」です。社会に生成AIが普及していく中で、インターネットが果たすべき役割や必要なネットワーク、運用、リスクとその対策に関する情報、最新の技術動向などを国内外の各社が発信。イベントは3日間の開催で12万4482人にも及ぶ多くの来場者が訪れ、大盛況となりました。

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)もイベントにてブースを出展し、生成AI活用やフレキシブルな働き方を支える企業向け次世代ICT基盤「docomo business RINK」「Green Nexcenter® 」、IOWN構想に基づく実証実験の取り組みであるOpen APN技術を採用したマルチベンダー相互接続やOPEN HUB Windowを用いた「触覚伝送 over APN」 、2024年4月22日に提供開始した新サービス「docomo business プライベート5G」、工場などの生産現場向けセキュリティソリューション「OsecT(オーセクト)」「制御システムセキュリティ教育」「ネットワークセキュリティソリューション」などを紹介しました。

さらに、エバンジェリストの林雅之さんによる「IOWN始動」に関する基調講演も実施。今回は、その模様をお届けします。

*1 OPEN HUB Window:離れた場所の共創パートナーと同じ空間にいるかのようにつながることができる、カメラ・スピーカー・マイク一体型のディスプレイ。

IOWNの最新技術を体感できるデモンストレーションや講演で人が溢れる展示ブース

NTT Comのブースでは、国内初の動態展示として、400Gbps光波長パスを経由し、第2世代光電融合デバイス、Whiteboxトランスポンダなどの最新製品を採用し、Open APNによるマルチベンダー環境を相互接続しました。その他、第2世代光電融合デバイスが搭載された小型プラガブルトランシーバーの実機も展示され、人気を集めました。


台座下にあるスピーカーの振動により触覚を再現

その展示の隣では、触覚伝送 over APNとして、幕張メッセ会場の展示ブースとOPEN HUB ParkをAPN専用線でつなぎ、ものづくりなどの職人の熱量を遠隔地に届ける仕組みを紹介。NTT社会情報研究所の触覚デバイスを活用し、音の振動を基に手に伝わる微弱な振動で触覚を再現しています。革職人が革をたたく感覚や、OPEN HUB Window越しに遠隔地にいる社員と紙相撲をするなど、触覚伝送 over APNを体感できました。


「リモート“バーチャル”プロダクション」による映像配信の様子

また、「リモート“バーチャル”プロダクション」では、NTT西日本と共に、遠隔×複数拠点の映像配信を行いました。会場である幕張メッセと、NTT西日本が大阪で運営するオープンイノベーション施設 QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)、そして東京のOPEN HUB Park、この3拠点をIOWN APN(All Photonics Network)でつなぎ、それぞれの拠点で収録している映像をあたかも同じ場所で収録しているような映像として制作し、配信しています。

*2 リモート“バーチャル”プロダクション:リモートプロダクションとは、映像や音声の制作において撮影と制作を別の場所で行う撮影手法。今回は、そのリモートプロダクションに、大容量・低遅延を特長とするIOWN APNを組み合わせました。

従来、複数拠点への同時配信では、遅延による映像のズレや、通信回線の敷設に課題がありましたが、IOWN APNの特長である「低遅延」と「大超量」により、複数拠点の同時配信であっても利便性の高い映像撮影・制作が実現可能です。今回、VTuberによる配信プログラムの実施や来場者向けの体験機会を設けたことで、溢れるほどの来場者で人気を集めました。

そして、生成AIの利用拡大に伴うGPU/CPUの消費電力の急速な増加に対応するべく、従来の空冷方式よりも冷却効率が良い液冷式のサーバーラックの展示が開発されています。Green Nexcenter®の展示ブースでは、超省エネ型データセンターサービス Green Nexcenter®と、液冷方式のサーバーやAPN専用線によるデータセンター間接続についても紹介されました。

データセンターに加えて、生成AIの基盤に必要なGPUストレージの活用においては、複数GPU間の高速通信が不可欠です。そこで距離の離れた異なるデータセンター間を高速かつ低遅延なAPNで接続し、計算資源やデータを最適配置して、GPUクラウドを柔軟に実現できる環境を展示しました。

その他にも、安心・安全・簡単につながるセキュリティ一体型のネットワークサービス docomo business RINK、法人向け5G 総合コンサルティングサービス docomo business プライベート5G、Global InfoSec Awardsにおいて5部門で受賞したOT(Operational Technology)・生産現場向けセキュリティソリューション OsecTなどが展示されました。

IOWNがもたらす未来を伝える講演

基調講演を行う、エバンジェリストの林さん

6月14日の基調講演では、エバンジェリストの林さんより、NTTが推進するIOWN構想を基に、NTT Comの取り組みや今後の展開、IOWNがもたらす社会や産業の未来像について語られました。

「現在、生成AIの普及により電力使用量が加速的に増加しています。そして、既存の情報システムは伝送能力と処理能力に限界が見え、半導体業界でも競争が激化しています。2032年に向けて持続可能な社会や技術革新をめざしていく中で、環境負荷を大幅に下げ、ネットワーク、コンピューティング インフラストラクチャの高度化を実現するため、ネットワークから端末まであらゆる場所に、光電融合デバイスなどのオールフォトニクス技術、光技術を活用した次世代プランとして、IOWN構想を推進していく動きがあります」(林さん)

NTT Comでは、2024年3月1日に「APN専用線プラン powered by IOWN」の提供を開始。今後は2025年度以降に、大容量化や、SD(Software Defined)化して、オンデマンドで帯域の増減速に対応することを検討しています。APN専用線はすでに事例が生まれており、北陸新幹線延伸に伴い、東京―金沢間をつなぐ遠隔音楽ライブ実証実験や、データセンター間をAPN専用線でつなぎ、可用性を高める分散型データセンターなどのユースケースを紹介しました。

IOWN Global Forum(NTT、インテル株式会社様、ソニー株式会社様が設立した国際フォーラム)での検討の中では、「現在はネットワーク領域ですが、2025年度以降にはボード接続用デバイス、2028年度以降にはチップ間向けデバイス、そして将来的にはチップ内光化と進み、これに伴って電力効率100倍をめざしていくロードマップを描いています。電力効率を100倍にすることで新たなビジネスチャンスの創出が期待されます」と語っています。

エバンジェリストの林さんによる基調講演、そしてdocomo businessの展示ブース、ともに多くの来場者が訪れ、イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。

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今回ご紹介した一部のソリューション・サービスは、 2024年10月10日(木)・11日(金)に開催される、docomo business Forum'24でもご紹介しております。
docomo business Forum'24に関する詳細はこちらをご覧ください。

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズイノベーションセンター IOWN推進室

林 雅之

イノベーションセンター IOWN推進室に所属し、IOWNを中心としたエバンジェリスト活動、マーケティングや法人案件などを担当。国際大学GLOCOM客員研究員/埼玉工業大学 非常勤講師。主な著書に「この一冊で全部わかるクラウドの基本」など。

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