CX改善の事例

ビジネスポータル「すぐ見える・気づける・アクションできる」へ改善

ご契約中の複数サービスをお客さまご自身で一元管理・運用できる無料のポータルサービス「ビジネスポータル」。お客さまアンケートで「使いづらい」と低評価を受けてからの挽回の軌跡をご紹介します。

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ビジネスポータルの課題
多機能ではあるものの、使いづらさから低評価に

ドコモビジネスを担うNTTコミュニケーションズは、サービスをご利用中のお客さまに対してポータルサービス「ビジネスポータル」を提供しています。お客さまがご利用中のサービスの契約情報や運用情報を確認できるほか、設定変更なども行うことができます。

ビジネスポータルを利用するお客さまは、年商1,000億円を超える大企業から年商1億円未満の中堅・中小企業までさまざま。契約企業数は4万社を超え、登録利用者数は約12万人に達しています。

具体的な利用シーンについて、NTTコミュニケーションズ マネージド&セキュリティサービス部 カスタマサービス部門でビジネスポータルの企画業務を担当する児高拓爾はこう説明します。

「例えば、通信が遅くなったと感じたお客さまがトラフィックを確認する場合、以前であれば、通信グループごとにトラフィックが確認できる専用サイトなど、サービスや目的別に用意された個別のサイトにアクセスする必要がありました。ビジネスポータルであれば、企業単位に情報を集約しており、ここにログインすれば知りたい時に知りたい情報をすぐに確認できます。こうした点でお客さまから一定の評価をいただいています」(児高)

その他、オフィス移転や拠点追加に伴うネットワークアドレスの設定変更、契約するPC用SIMカードの利用データ量の確認、社内ネットワークの運用状況の確認など、利用シーンは広がっています。

しかし、ビジネスポータルには改善すべき点も多くありました。

2021年に実施したお客さまアンケート調査では、ビジネスポータルに関する「他の人にこのサービスを推奨したいか」という評価のスコアが、NTTコミュニケーションズの全サービスの中で最も低かったのです。児高は、お客さまからのコメントを見た時に感じたことを振り返ります。

「知りたい情報や機能にたどり着くまでに手間と時間がかかり、お客さまの大きなご不満につながっていることが伝わってきました。そうなってしまった要因は、私たちがオペレーションを自動化することに主眼を置いて開発を進めてしまったこと。機能が揃っていれば、お客さまのニーズを満たせるであろうと考えていた部分がありました」(児高)

65の改善を実施 必要な情報をすぐ確認できるインターフェースに

ビジネスポータルの改善に着手する前に、まずはポータルサイトの価値を再定義したと、同チームの西村優輝は説明します。

「お客さまがビジネスポータルを活用し、自社のICT環境を最適な状態に維持・改善できるようにすることを、プロダクトビジョンとして掲げました。その提供価値は『すぐ見える』『すぐ気づける』『すぐアクションできる』。これを実現するために改善に取り組みました」(西村)

ビジネスポータル「すぐ見える・気づける・アクションできる」へ改善

改善に向けて、お客さま一人ひとりがどんな目的を持ってビジネスポータルを利用しているのかを分析することから始めました。

「ビジネスポータルは対象としている顧客層が幅広く、ユーザーごとに使い方が違っているであろうという仮説のもと、行動パターンやログインの頻度、企業規模といった条件を掛け合わせて6つのペルソナを立てました」(児高)

さらに、6つのペルソナに該当する人に被験者として協力してもらい、ユーザーテストを実施。その中で、使い勝手が悪いところをすべて課題として抽出していきました。こうして洗い出した65件におよぶ改善を、優先度が高いものから順番に実施していきました。

改善事例の1つが、サービス別のステータスダッシュボードの導入です。モバイルやネットワークといったサービスごとに、アラートの発生状況やトラフィックを、トップページのファーストビューで確認できるようにしました。

「故障しているのか・していないのか、どれくらいの通信量を使っているのか、といった情報はお客さまが気にされる情報であるため、ログインしてすぐにサマリーを確認できるよう、ログイン直後の画面にグラフ表示しました。さらに詳しく知りたい場合は、詳細画面に遷移できる導線もつけています」(児高)

また、利用頻度が高い機能をメニューから都度選択する手間を軽減するため、機能のショートカットを画面上にピン留めしたり、直近に行った手続きを表示し繰り返しアクセスしやすくしたりなど、お客さまそれぞれの目的に合わせて、必要な機能にすぐアクセスできるよう改善に工夫を凝らしました。

ビジネスポータルUI/UX改善例 ビジネスポータルのUI/UX改善例

ポータル開発チームと一体となった検討を進め、約5カ月という短期間で65件の改善すべてに対応。毎週のようにビジネスポータルをアップデートしていった結果、お客さまからの評価は大きく改善しました。「インターフェースも直感的にわかりやすい形式に変化してきている。今後もさらに使い勝手がより良くなっていくと期待が持てる」といったポジティブな声をいただけるようになっています。

ビジネスポータルの新機能「レコメンド機能」を追加

ビジネスポータルでは、新たな機能としてお客さまにとって必要な機能やサービスをおすすめする「レコメンド機能」も追加しました。

お客さまがレコメンドボタンを押すと、ご利用状況に応じたサービス提案を表示します。そのほか、お客さまが自己診断できる問診システムも実現。システム上で、「トラフィックが増えていることに心当たりはありますか?」「最近、ネットワークの使い方が変わりましたか?」「営業担当者に相談したいことはありますか?」といった対話形式で問いかけを行い、それに回答してもらいながらお客さまを次の一手へと導いていきます。

「ビジネスポータルで表示するトラフィックの波形グラフやアラートの履歴を見ても、次にどう対応すべきなのかをお客さまご自身で判断するのは難しいものです。そこで、こちらから能動的にご提案する機能が必要だろうと考えました。弊社の営業担当者は、お客さまのご利用状況を確認し、トラフィックが逼迫しているような状況が見られた場合に、『現在の通信環境の見直しを行いませんか?』とご提案を行います。こうした営業担当が日頃より行っている提案を、ビジネスポータルからもできるようにしました」(西村)

お客さまから相談希望があれば、営業担当者と連携し、改めて詳細なご提案を行います。実際に、レコメンドをきっかけとした商談も生まれており、レコメンドを見たお客さまと見ていないお客さまでは受注率に1.8倍の差が出ています。

「お客さまから『いつもレコメンドを参考にしている』といったコメントも寄せられています。ICTのプロとして、私たちがご提案していくことへの期待がお客さまにあったのだろうなと再認識できました」(児高)

人手でやってきた課題解決型のコンサルティング活動の一部をデジタル化したことで、幅広いお客さまが、自社のICT環境を最適な状態に維持・改善できる状況が整ってきています。

ビジネスポータルの改善によるお客様の評価の変化 ビジネスポータルの改善による、お客さまの評価の変化

ビジネスポータルの使いこなし方をセミナーで解説

ビジネスポータルが新たに取り組み始めていること。それが、お客さま向けの「ビジネスポータル使い方セミナー」の実施です。

「ビジネスポータルを使いこなしているお客さまのサービス満足度は高い傾向があります。ビジネスポータルの価値を知っていただくためには、使い始めから、使いこなせるようになるまでの期間をどれだけ短くするかがポイントになるだろうと考えました」(児高)

2024年10月中旬、第1回のセミナーを開催しました。ログインの仕方や追加された機能を説明したほか、Arcstar IP Voiceを題材にビジネスポータルでできることを紹介しました。40名のお客さまが参加し、質疑応答ではArcstar IP Voiceに留まらず、さまざまな質問がありました。

10月に開催したセミナーの場面 10月に開催したセミナーの一場面

「セミナーでは、とにかくいろんな質問がたくさん寄せられました。ビジネスポータルを使いこなしたいと思っているものの、それができていないと感じているお客さまがまだまだいらっしゃるということだと受け止めています。裏を返せば、活用すれば役に立ちそうだと思ってくださっているということ。その期待に応えていきたいです」(児高)

セミナー終了後のアンケート調査では、「このセミナーへの参加を他の方におすすめしますか?」という設問に対して、肯定的な回答が多くを占めました。今後もセミナーを継続しお客さまをサポートするとともに、サービス開発に生かしていくことにしています。

ビジネスポータルの次なる改善「法人向けモバイルの情報を提供」

機能の拡充やセミナーによる理解促進といった取り組みを経て、ビジネスポータルに対するお客さまからの評価は大きく向上しています。今後のさらなる改善について、西村と児高は次のように話します。

「お客さまから機能拡充の要望を多くいただくのが法人名義でご利用いただいているモバイルサービスです。まずは契約情報を、そして料金情報表示やサービスの追加・変更申込などもビジネスポータル上で実施できるように改善を図っていきます。その後は、お客さま企業の事業成長や、ビジネス課題の解決にさらに貢献できるよう、モバイルサービスと、クラウドやネットワークサービスを組み合わせた複合的なソリューションを、ビジネスポータルを接点にご提案できる世界をめざしています」(西村)

「今後、ビジネスポータルを核にして、お客さま同士がコミュニケーションできる場をつくりたいと思っています。4万社12万人のお客さまがつながり合うことで、ビジネスポータルの活用が促進され、価値がさらに具体化されるといった効果を生み出していけるのではないかと考えています」(児高)

NTTコミュニケーションズは、大企業のみならず全国各地の中堅・中小企業のお客さまに対しても良好な関係構築をめざし、一層のCX向上に取り組んでいきます。

プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 児高拓爾
プラットフォームサービス本部
マネージド&セキュリティサービス部 主査
児高 拓爾

弊社のサービスがお客さまのビジネスのスピードアップや効率的運用にさらに貢献できるようビジネスポータルへの新機能追加や改善に取り組んでいます。お客さまから「これは便利だ!」と言っていただけるようなサイトをめざして、取り組んでいます。

プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 西村優輝
プラットフォームサービス本部
マネージド&セキュリティサービス部 主査
西村 優輝

お客さまのICT環境の最適化に向け、ビジネスポータルが持つWeb接点としての価値の最大化に取り組んでいます。ビジネスポータル改善プロジェクトの関係者の思いが、多くのお客さまに届けられるように努めています。

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