CASE of Re-connect X 04
スマート畜産を通じた
地域創生の取り組み
畜産業の担い手不足が課題
人口減少時代を迎え、畜産農家の高齢化や将来の担い手不足が社会的な課題となっています。技術の伝承や労働力の確保が課題となる一方で、家畜の一戸あたりの飼養頭数は増加傾向にあります。加えて昨今、家畜の健康を守る獣医師不足が問題になっています。農場は広い場所を必要とするため、居住地域から離れた中山間地が多く、往診には片道数時間かけることも一般的です。近年、グローバル化が進展する中で、海外で発生した口蹄疫や鳥インフルエンザなどの家畜伝染病が国内に侵入するケースが増えており、伝染病発生時には殺処分から埋設までを受け持つ産業動物獣医師の重要性とその負担は増す一方です。
畜産DXの推進により効率化や生産性向上を目指す
NTTコミュニケーションズは、産業動物獣医師の人手不足の解消や負担の軽減に向け、遠隔による診療や感染症診断といった畜産DXを実現するソリューション開発に取り組んできました。2019年12月には、国内有数の畜産拠点に存する岩手大学と協力し、高精細リアルタイム映像伝送やウェアラブルカメラを活用した遠隔診療および感染症診断の実証実験を行いました。その結果、技術的な課題はほぼ解消されたことが確認され、遠隔診療などの導入が産業動物獣医師の大幅な稼働軽減につながることがわかりました。今後は社会実装に向けた具体的なルール作りが課題となっています。
また、将来の畜産業界従事者の育成に向け、農芸高校の教育教材に「モバイル牛温恵」や「Farmnote Color」などのスマート畜産ソリューションを活用する試みも推進しています。両商品は、AIを活用して牛の活動情報などを収集・解析し、繁殖管理や分娩事故の防止に役立てるもので、畜産農家の稼働軽減と省力化に大きく寄与します。学生たちがスマート畜産に触れることは、将来自らが関わる未来の畜産を実感することにもつながります。NTTコミュニケーションズはオンライン講座を開催するなど学校や地域との交流にも努め、スマート畜産を通じた地域創生への貢献を目指しています。
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東北支社 ソリューション営業部門
佐々木 明彦ブランド和牛など、日本の畜産製品は海外でも需要が高く、将来性も期待できます。NTT ComのICTソリューションが若い世代に畜産というビジネスの魅力を広めるきっかけとなり、将来の畜産農家や産業動物獣医師の担い手不足を解消する一助になればと考えています。
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関西支社 第二ソリューション&マーケティング 営業部門
山本 一磨黒毛和牛の源である兵庫県の但馬牛の飼養技術は、地域に伝わる伝統文化の一面もあります。その伝統を守りつつ、時代に即した発展的承継の一部分として、ICT機器が省力化や飼養データの蓄積に貢献することが、後継者不足の課題解決、魅力ある産業につながるとうれしいです。
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SM本事業推進部 地域協創 推進部門
金平 真由美スマート畜産によって省力化できる部分は非常に大きいですが、最後の重要な判断や診断は人間が直接下さねばならず、そこに畜産に関わる仕事の価値があると思います。スマートでカッコいい畜産を広めるお手伝いを通じて、日本の畜産を地域から盛り上げていきたいです。
※本記事の内容は2022年12月現在の事実にもとづくものです。