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経路ハイジャックの予防を実現する
インターネット接続事業者向けルーターの新技術開発について
NTTコミュニケーションズ(以下NTT Com)は、インターネットの経路情報の不正利用*1(別紙1)対策として、ジュニパー・ネットワークス社のインターネット接続事業者向けルーター用に、IRRデータベースと連携して不正経路を未然に取り除く機能を開発しました。
なお、本機能の開発は総務省委託研究「経路ハイジャックの検知・回復・予防に関する研究開発」の一環として実施しました。 NTT Comは今後も、より安心・安全なインターネットの実現に向け、さらに研究開発を進めていきます。
1.背景および目的
インターネットの利用者・利用用途の増加に伴い、ネットワーク間の通信経路に関する情報(経路情報)も増加していく中で、第三者ネットワークによる意図的なインターネットの経路情報の不正利用という脅威があります。実際にインターネットに不正な経路情報が広告され、ウェブサイトが閲覧できなくなる事象も発生しています。
経路情報の不正利用には、ISPにおける、該当事象の素早い検知や予防といった対策が効果的であり、その対策のひとつとして、インターネットを構成するルーターの高機能化があげられます。
NTT Comは総務省委託研究「経路ハイジャックの検知・回復・予防に関する研究開発」において、不正な経路情報がインターネット上に混入することを未然に防止する技術を開発・導入を進めることで、現在のインターネットの経路制御の信頼性向上を図っています。
2.開発概要(別紙2参照)
本機能は、ISPがインターネットから経路情報を受信する際に、インターネット経路情報データベース(IRR:Internet Routing Registry)*2に登録されている正しい経路情報と比較することで、不正な経路情報の選択を予防するものです。
隣接するISP接続先や顧客などの経路情報に対して、ISP自身によるフィルタリングの設定などを用いることで、不正な経路情報に対する予防は可能ですが、現実的には、世界中のISPの集合体であるインターネットの経路情報それぞれについて、その信憑性を自動で確認する手段はありませんでした。
本機能の開発は、NTT Comで並行して開発を進めている、「高信頼性IRRデータベース*3」との連携により、不正経路の混入を予防する技術を確立し、ジュニパー・ネットワークス社のPSDP(Partner Solution Development Platform)開発環境を活用することで実現しました。
3.今後の予定
今回確立した不正経路の混入予防技術は、今後、実証実験を通じて機能の有用性について検証・確認を行う予定です。
インターネットにおける経路情報を不正に広告し正常な通信を妨害する行為。オペレーションミスなどにより意図せず広告される場合も多い。
*2:インターネット経路情報DB(IRR)インターネット内でのデータの通り道を示す経路情報などに関する情報を蓄積するデータベース。ISPなどは、経路情報などをIRRに登録することで自社の経路ポリシーを世界中の他のISPに伝えることが可能となる。
*3:高信頼性IRRデータベース冗長機能や負荷分散機能を向上させたIRRサーバーで構成するデータベース。平成21年2月20日~平成21年2月27日に実証実験を実施し、実用可能性を評価・検証しました。