2019年12月9日
世界最高水準となる400Gbps伝送基盤の構築
~東京‐大阪間の伝送容量を飛躍的に拡大~
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、長距離・大容量伝送に優れたコア低損失大口径光ファイバー(CSM)ケーブル※1と最先端の高度デジタルコヒーレント光伝送装置※2により、世界最高水準※3となる400Gbpsの伝送基盤(以下 本伝送基盤)を東京-大阪間で構築しました。
なお、本伝送基盤は大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下 NII) が運営する、超高速・低遅延な学術情報ネットワーク「SINET5」※4のバックボーンに組み込まれ、実運用を開始しています。
1.背景
あらゆる業界においてデジタル化が進展する中で、動画や画像、音楽などをはじめ、大容量データの流通や利活用が急速に増加しています。このような環境において、NTT Comは、インターネットやクラウドをはじめとするさまざまな通信を支える伝送基盤の高性能・高信頼化に継続して取り組んでいます。
2.特長
NTT Comは、東京‐大阪間において、長距離・大容量伝送に優れたコア低損失大口径光ファイバーケーブルと高度デジタルコヒーレント光伝送装置を採用するとともに、設計・構築方法を工夫することで、高性能・高信頼なネットワークを実現しました。なお、本伝送基盤を構成する技術は、NTT Comが目指す高性能・高信頼ネットワークの中核となる技術です。
(1)大容量通信を可能とする高性能な伝送基盤を実現
今回構築した400Gbpsの伝送基盤は、WDM※5波長分割多重技術が導入された2000年と比較し約170倍の伝送容量を実現しています。
NTT Comにおける伝送基盤の変遷
(2)光損失値の低減による中継伝送装置数の削減で高信頼化を実現
①コア低損失大口径光ファイバーケーブルの採用、②ケーブルルートの最短化、➂ケーブルの長距離敷設化などの工夫により、光損失値を40%※9低減しました。今回の光損失値の低減によって、光信号と電気信号を相互に変換する中継伝送装置数が半減でき、故障発生リスクを従来と比較して50%に抑制できます。
(3)災害に強い伝送基盤を実現
すべてのケーブルルートにおいて、とう道や管路などの地下化された設備を活用するとともに、近年多発する自然災害(豪雨、地震、津波、地滑りなど)に備え、ハザードリスクを最大限考慮した最適なケーブルルートを選定するなど、災害に強い伝送基盤を実現しています。
400Gbps伝送基盤の全体イメージ
3.今後について
今後もNTT Comは、最新技術とこれまで培ったノウハウを活用し、デジタル化の進展を支える伝送基盤の高性能・高信頼化の実現を推進していきます。
関連リンク
※1:コア低損失大口径光ファイバー(CSM)ケーブルは、ITU-T 勧告 G.654.Eに分類される低ロス低非線形ファイバーのケーブルです。
※2:高度デジタルコヒーレント光伝送装置は、受信側に配置した光源と受信した光信号を干渉させるコヒーレント受信と、デジタル信号処理を組み合わせた次世代光伝送方式を採用した装置です。偏波多重や位相変調などの変調方式により周波数利用効率を向上させるとともに、大幅な受信感度向上を実現します。
※3:2019年12月現在、NTT Com調べ。
※4:SINET5(Science Information NETwork 5)は、日本全国920以上の大学、研究機関等の学術情報基盤として、NIIが提供している情報通信ネットワークです。2016年4月からは、従来の学術情報基盤であるSINET4を発展させたSINET5の本格運用が開始されています。
※5:WDM(Wavelength Division Multiplexing、波長分割多重)は、1本の光ファイバーの中に複数の異なる波長の光信号を同時にのせることにより多重化伝送する技術です。
※6:SMF(Single Mode Fiber、汎用シングルモード光ファイバーケーブル)は、ITU-T 勧告 G.652に分類されるファイバーのケーブルです。
※7:DSM(Dispersion Shifted Mode、分散シフト・シングルモード光ファイバーケーブル)は、ITU-T 勧告 G.653に分類されるファイバーのケーブルです。
※8:TDM(Time Division Multiplexing、時分割多重)は、複数の信号を時間的に重ならないように多重化して伝送する技術です。
※9:光測定器を用い東京-大阪間の既設伝送基盤の光損失値と比較。NTT Com調べ。
本件に関するお問い合わせ先
2019-R120