2022年11月30日
川崎市
トランスコスモス株式会社
学校法人聖マリアンナ医科大学
NTTコミュニケーションズ株式会社
聖マリアンナ医科大学病院・川崎市立多摩病院・川崎市消防局の連携によるローカル5Gなどの先進技術を活用した次世代医療のユースケース創出に向けた実証実験を開始
トランスコスモス株式会社(以下 トランスコスモス)、学校法人聖マリアンナ医科大学(以下 聖マリアンナ医大)、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)、川崎市は、聖マリアンナ医科大学病院(以下 聖マリアンナ医大病院)が川崎市内に新たに開院する入院棟および川崎市立多摩病院、川崎市消防局の救急車両などを活用して、ローカル5Gなどの先進技術を活用した次世代医療ユースケース創出に向けた実証実験(以下 本実験)を、2022年12月7日より開始します。
なお本実験は、総務省が公募した「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に採択され、実施するものです。
1.背景
都市部では、救急患者の受け入れ要請数や手術・検査数の増加に伴い、慢性的な医師不足が課題となっています。救急患者の適切な受け入れ体制の強化が求められる一方で、医療品質を維持・向上しつつ、2024年に始まる医師の時間外労働時間上限規制などにも対応しながら、医療従事者にとって働きやすい環境や、より医療に集中できる環境を構築するためには、医師や看護師の負荷軽減が必要です。
2.本実験の内容
本実験では、5Gや自律走行ロボットなど先進技術の活用により、次世代医療のユースケースを創出することで、医師不足の解消や医師・看護師の負荷軽減に貢献します。
3.今後の展開
本実験で利用したシステムを聖マリアンナ医大病院に導入予定です。また将来的には、本実験で創出したユースケースの他地域への展開を目指します。また、本実験結果について、政府への報告や学会での発表を行うことで、全国の医療機関が抱える医師不足の解消や負荷軽減に貢献します。
本件に関するお問い合わせ先
トランスコスモス株式会社
公共政策本部
浅野
03-6709-2251
学校法人聖マリアンナ医科大学
デジタルヘルス共創センター
若佐
044-977-8111
NTTコミュニケーションズ株式会社
ソリューション&マーケティング本部
事業推進部門
三浦・髙田
045-226-8041
川崎市
健康福祉局
保健医療政策部
神田
044-200-2420
<別紙>
本実験の内容
(1)概要
本実験では、3つのテーマを設定しています。これらを通じて、5Gなどの先進技術を活用した次世代医療ユースケース創出を目指します。
なお新型コロナウイルス感染症の拡大状況によって、実験時期や内容を変更する場合があります。
(2)実験期間
2022年12月7日(水)~12月26日(月)
なお実証実験への自治体や医療関係者などの視察については、聖マリアンナ医大病院(川崎市宮前区菅生)において、12月26日(月)に予定しています。
(3)実験テーマ、実験項目、主な使用機材・技術
実験テーマ | 実験項目 | 主な使用機材・技術 |
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キャリア5Gを活用した救急搬送時の映像伝送による地域医療機関の連携強化 | 搬送・転送先の選定に要した時間、コミュニケーションの正確性・効率性など |
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ローカル5Gを活用した医療支援の遠隔化 | 内視鏡検査・挿管手技などの支援に伴う上級医の稼働時間など |
|
自律走行ロボットを活用した患者移動の負荷軽減 | 看護師やその他のスタッフによる病室から検査室・リハビリ室に患者を移動させることに要した時間など |
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(4)各者の主な役割
社名・団体名 | 主な役割 |
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トランスコスモス | 本実験の統括 |
聖マリアンナ医大 | 本実験のフィールド提供 |
NTT Com | 本実験のシステム構築 |
川崎市 |
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<参考>
各実験テーマの詳細
(1)キャリア5Gを活用した救急搬送時の映像伝送による地域医療機関の連携強化
現状 | 三次救急※1・二次救急※2を担う地域医療機関と救急車間のコミュニケーションは、携帯電話を用いた音声コミュニケーションで実施 |
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実験テーマ詳細 | 救急搬送時の患者や救急車両内の映像を、高精細カメラやキャリア5Gなどを活用して三次救急や二次救急を担う地域医療機関に伝送することで、地域医療機関が連携した適切な搬送先の決定や受け入れ準備の高度化・効率化に対する効果を実験 |
期待される効果 | 適切な搬送先・転送先決定および受け入れ準備に要する時間の短縮・高度化 |
(2)ローカル5Gを活用した医療支援の遠隔化
現状 | 内視鏡室での内視鏡検査や手術室での挿管手技は、上級医がオペレーションのたびに現場に赴いて処置および診断を実施 |
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実験テーマ詳細 | 内視鏡室や手術室の映像を、高精細カメラ、360度カメラ、内視鏡カメラ、ローカル5Gなどを活用して上級医の待機するオペレーションルームに伝送し、遠隔からの指示出しを可能とすることで、医師の稼働効率や医療品質に与える効果を検証 |
期待される効果 | オペレーションルームで支援する上級医のタスクシフトや稼働時間削減 |
(3)自律走行ロボットを活用した患者移動の負荷軽減
現状 | 病室と検査室・リハビリ室間の患者の移動は、医師や看護師が補助しながら約1,500件/日を実施 |
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実験テーマ詳細 | 患者を自律走行ロボット、ローカル5G、高精細カメラ、360度カメラなどを活用し、病室と検査室・リハビリ室間を安全に移動させることで、医師や看護師の稼働に与える効果を実験 |
期待される効果 | 患者移動に伴う医師や看護師の稼働時間の軽減、患者本人の負担軽減 |
※1:三次救急とは、二次救急で対応できない重篤患者や特殊疾病患者の受け入れに対応する救急医療機関です。本実験においては、聖マリアンナ医大病院が該当します。
※2:二次救急とは、手術や入院などが必要な重症患者に対応する救急医療機関です。本実験においては、市立多摩病院が該当します。
2022-R093