吉田 友哉Tomoya Yoshida

テーマ
ICT基盤

ネットワーク技術の最新動向やインターネットの可能性について、皆さんに分かりやすく伝えていきたいと思います。

吉田 友哉

経歴

1998年日本電信電話会社入社。翌年、NTT再編によりNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)へ異動。約10年にわたってOCNの基幹ネットワークの運用・開発を担い、「Mr. OCN」と呼ばれる。「2011年 日経ビジネスが選んだ100人」に選出。幼少期よりクラシック音楽に親しみ、ピアノ演奏や作曲が得意。日本将棋連盟千葉県支部連合会の副会長兼幹事長も務める。1男1女の父。1975年生まれ、神奈川県出身。中央大学卒。

活動履歴

主な所属団体
  • インターネットトラヒック流通効率化検討協議会 主査
  • Telecom-ISAC BGPワーキンググループ
  • IPv6地理情報共有ワーキンググループ
  • 総務省トラヒック勉強会

(以下は過去の歴任)

  • InteropNOCアドバイザリ
  • JPNIC IRR企画策定専門家委員チェア
  • JPNIC IPアドレス検討委員長
  • APNIC Routing-SIG Chair
  • APRICOT Program Committee
  • 番号資源利用状況調査研究専門家委員
主な講演活動
  • JANOG(27回)
  • Internet Week IP Meeting(20年連続)
  • Interopチュートリアル、NOC講演など多数
  • NANOG、APRICOT、APNIC、JPNIC、ISOC他多数
  • 電子情報通信学会 IA研究会招待講演など
主な執筆活動・論文など
  • 連載 Cyber Security Management(2004年~2006年)ほか、「日経産業新聞」「日経NETWORK」「日経コミュニケーション」「NetworkWorld」などで経路制御技術/ルーティングセキュリティ関連の執筆多数
記事掲載
Web掲載

講演動画

ネットワークインフラ最前線
~インターネット最新動向とこれからのネットワークセキュリティ~

インタビュー

  • 01

    エバンジェリストとしての得意分野とミッション

    入社した1998年より、インターネットサービスプロバイダー「OCN」の基幹ネットワークの運用に携わりました。以来、OCNの設計・開発、他プロバイダーとの相互接続(Internet Exchange)の交渉などの業務を通し、世界中にインターネットが広まり、発展し、安全に動くことに挑み続けています。

    インターネットの要は、相互接続(Internet Exchange)です。ネットワークを構成するルーターなど多様な機器同士が確実につながり、セキュリティの問題が出たときにはお互いの規格を合わせていかなければなりません。今の技術で足りないものがあれば、それを標準化し、一般化していくことも私の役割です。

    例えば、2001年から2002年にかけて、日本中のプロバイダーが正しくインターネット経路制御ができるための経路台帳システム(日本版IRR)を創設しました。2011年には、インターネット黎明期から使用されてきたIPv4アドレスの枯渇問題が起きたため、アジア太平洋地域でIPアドレスを管理している組織(APNIC)の技術トップと共に、残されたIPv4アドレスの分配ポリシーを策定しました。

    実際にインターネットで接続するのはネットワークや機械ですが、その環境をつくるときに重要になるのは、人と人のつながりです。企業の垣根を越えて、お互いに接続し合える方式を築いていくために、競合のプロバイダーたちとも協力関係が欠かせません。目指すのは、インターネットそのものの発展。その上で自社のビジネスを展開していくものだと考えています。

  • 02

    これまでの活動を代表するプロジェクト

    コンテンツプロバイダー、ネットワークの事業者、ゲーム会社など、通信に関わるサービス事業者は多岐にわたります。その中で、例えばコンテンツの配信先は国内なのか海外なのかなど、トラフィックの詳しい状況に関しては、事業者ごとにしか把握できていません。つまり、相互接続している世界においては、意図してないところから急激にトラフィックが流れ込んでくることも日常茶飯事です。災害時も含め、見えない部分がボトルネックとなり、突然、通信が逼迫(ひっぱく)する事態が起こらないよう、全体最適化を図るため、2020年に総務省と「インターネットトラヒック流通効率化検討協議会」を立ち上げ、現在主査を務めています。

    状況を改善する本質的な議論を進める上で欠かせないのは、情報交換と自社の利益にとらわれない建設的な姿勢です。自社のトラフィックを公にすることが難しい中、協議会においては自分から積極的に情報を開示することで、メンバーが情報交換しやすく、協力してインターネットを発展させていく信頼関係をつくっています。現在、グローバルのプラットフォーマーと呼ばれる企業も含め、30数社ほどが参画している協議会ですが、新聞をはじめとするメディアで取り上げられることをきっかけに、参画メンバーが増えています。

  • 03

    NTT Comと共に描く未来

    これまでのキャリアを振り返ると、公共性の高いインフラ事業者であるNTT Comだからこそ、人々の生活にダイレクトに影響を与える規模となるネットワークの発展に携わることができたと感じます。大規模であるがゆえに、自社のネットワークサービスであるOCNのトラブルは、他のネットワークに先んじて起こります。トラブルはもちろん、新たな技術の検証結果など、自社で得られた情報はタイムリーに世の中へ発信することが大切です。トラフィックに関しても、例えば日本中が注目するスポーツの祭典の最中や災害時の接続状況を積極的にレポートしています。このような活動を積極的に行うのは、インターネットを通じて社会貢献したいという強い思いがあるからです。

    あらゆるデータのデジタル化がさらに進んでいくこれからの時代においては、一刻の遅延が重大な損失につながるケースや、日常の娯楽に影響を与えることも発生してきます。用途に応じた通信品質・通信環境を、足回りのアクセス回線を担うNTT東日本・西日本、またモバイルネットワークを担うNTTドコモらと、NTTグループ全体で連携して構築し、お客さまへ確実にパケットをお届けしていきたい。そして、その先にある、世界のインターネット環境のさらなる発展に貢献していきたいと考えています。