飛岡 良明Yoshiaki Tobioka(Toby)

テーマ
ICT基盤

クラウドを利用するだけでなく、クラウドを作っていく中で培った「大規模なシステムをいかに効率的に安全に管理、運用していくか」の知見などを広く共有、議論していきたいと思います。
一緒に安全なシステムを作っていきましょう。

飛岡 良明

経歴

2005年NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)入社。サーバー運用やネットワーク設計を担当し、2013年に米国カーネギーメロン大学へ留学。SDN/NFVの研究に専念した。帰国後はEnterprise Cloud2.0のサービスを立ち上げ、アーキテクトとして設計・開発をリード。その後も、ネットワークとソフトウェアの融合への挑戦を続けている。休日は子どもと一緒に遊びながらリフレッシュしている。1981年生まれ、兵庫県出身。東京大学 大学院修士課程修了。

活動履歴

講演動画

ビジネスの継続的な成長を実現するインフラシステム設計のベストプラクティス
~ソフトウェア開発経験からのフィードバック~

インタビュー

  • 01

    エバンジェリストとしての得意分野とミッション

    入社以来、「物理的なネットワーク構築」と「ソフトウェアの開発」それぞれの分野に携わってきました。ネットワークのベースとなる物理領域のエキスパート、あるいは難易度が高いコードが書けるソフトウェアのエキスパートはたくさんいるのですが、ネットワークとソフトウェアのどちらも80点、90点くらい理解していることが私の強みです。

    NTTは通信ネットワークを作ってきましたが、既存のネットワークは光ファイバーや機器、人の手による設計・設定など、多くの物理的な設備の力を最大限利用するように進化してきました。一方、ソフトウェアはそれらに強くは依存せず、ソフトウェアの力を使って自動でどんどん物を作っていっています。そのため、双方の作業や展開のスピードに差が生じ、ネットワークがソフトウェアの変化、進化の速度についていけないという現場を何度も経験しました。今後テクノロージをより進化させていくためには、ネットワークをソフトウェアでいかに柔軟に変化させていくかが重要だと常々考えています。ネットワークとソフトウェアを融合・連携させることで、ネットワークの品質、性能を維持したまま、柔軟な変化を可能とさせるよう、ネットワークを新しい時代へトランジション(移行)させることがエバンジェリストとしてのミッションであり、私自身が挑戦したいことでもあります。

  • 02

    これまでの活動を代表するプロジェクト

    アメリカ留学後、アーキテクトとしてEnterprise Cloud 2.0の立ち上げに関わりました。お客さまがクラウドの中で自由に使える柔軟なネットワークを作りたかったため、いかにネットワークをソフトウェア化できるかを考えながら、インフラ、SDN/NFVなど全体の設計・開発をリードしてきました。その際、堅牢で安定したネットワークをきちんと作っておけば、その後どんな設計変更がきても、ソフトウェアで対応できるだろうと考えていました。

    立ち上げ当初、Enterprise Cloud 2.0のネットワーク機器は数十台くらいでしたが、今や3000~4000台ほどあります。拠点も増え、1つの拠点だけで光ファイバーが数万本敷かれており、付随してネットワーク機器やサーバーも数千台ある規模まで、システム的に大きく破綻することなく成長してきました。多くのお客さまにご利用いただき、ソフトウェアによってさまざまな機能を追加することができているのは、ネットワークの設計、技術検討における一つの成果だと実感しています。

  • 03

    NTT Comと共に描く未来

    私が NTT Comでやりたいことを説明する際、よく例えに出すのが自動運転の話です。現在、自動車の自動運転技術は目覚ましい進化を遂げていますが、私の出身地である神戸市では、30~40年前から自動運転技術を使ったポートライナー(神戸新交通 ポートアイランド線)、六甲ライナー(神戸新交通 六甲アイランド線)といった電車が走っています。

    「人を乗せて自動で走る」という共通の役割を果たしている自動車と電車の一番の違いは、どこにあるのでしょうか。

    電車は線路の上を走り、走行中、外から物や人が入ってくることは滅多にありませんが、自動車には線路がなく、どこへでも自由に走れます。複雑な交通標識もありますし、いつ、どこから歩行者が飛び出してくるか分からないようなカオスな状態をソフトウェアだけで制御しなければなりません。

    われわれは通信事業者なので、「電車」のようなシステムをつくりたいと考えています。NTTが持っている回線やファイバーなどのインフラ設備によって線路を敷き、その上にソフトウェアや機能というようなダイヤグラム(列車運行図表)を積み上げる。下のレイヤーである物理的な領域をしっかり作っておけば、ソフトウェアや機能などの上のレイヤーがさまざま追加されたとしても、混乱しない安定したシステムを構築することができます。

    ハードウェアの部分をしっかりと作りこみ、その長所を十分に活かした上で、ソフトウェアで機能追加、自動化していく。そのバランスをとることで、NTTならではの強みを活かしながら、お客さまに価値を提供していきたいと思います。