1.日本の労働生産性はG7で最下位に。働き方を変えるには
今から約50年前、1970年代の日本では、「企業戦士」「モーレツ社員」という言葉がもてはやされていました。高度経済成長期の中、私生活を顧みず、仕事に打ち込むことが当たり前とされていたのです。現在でこそ「働き方改革」「ワークライフバランス」といった言葉が意識されているものの、「働く時間が長ければアウトプットが増える」という考え方からは脱却していないかもしれません。
日本生産性本部によると、日本の国民1人当たりGDPは、G7 の中で現在最下位です。1996年にG7 の中ではアメリカに続く2位になったこともありますが、経済が停滞しはじめた1990年代後半の頃から他国に後れをとるようになり、2017年からは最下位の状況が続いています。
この問題に危機感を感じ、長らく生産性の向上について取り組みを続けているのが、今回ご紹介する「Microsoft 365」のプロダクトベンダーでもある日本マイクロソフト社です。同社は2002年から働き方の変革に取り組み、事業成長を達成しつつ、働く時間を減少させることに成功しています。
取り組んだのは、予め定められた役割・プロセス・マニュアルに沿って仕事をする旧来のやり方から、時間や場所を選ばずに意見交換や意思決定が行える環境に変えたことです。事業部の枠を超えて必要な人材とコミュニケーションを図る環境を整備し、業務の整理をしたところ、結果的に生産性が向上しました。
2.働き方を変えるMicrosoft 365とは? 全貌を丸ごと解説
時間や場所を選ばずにコミュニケーションを行う基盤となるのがMicrosoft 365です。Microsoft 365は、最新のOfficeソフトが利用できるサブスクリプションサービスで、最新のWindows OS, 多彩で高度なデバイス セキュリティまで場所を選ばない働き方ができる機能を幅広く提供しています。
Microsoft 365は、4つの機能で構成されています。
- ●Microsoft Apps for business
- 常に最新版Officeをダウンロードして利用可能で、1 ユーザー 15 デバイスまで(PC5台、タブレット5台、スマートフォン5台)利用できます。
- ●Exchange Online
- 1ユーザーあたり50GB(Exchange Online Plan2は100GB)の大容量メールボックスを提供します。ルール設定やアーカイブ保持、電子情報開示等のコンプライアンス機能に対応しています。
- ●Microsoft Teams
- チャット・会議・電話でリアルタイムのコミュニケーション手段を提供します。会話をしながらMicrosoft 365アプリで共同編集できます。
- ●SharePoint Online
- チームごとにドキュメントをクラウドで共有し、ブラウザから簡易編集・共同編集が可能です。バージョン履歴が残るため、誤って消してしまった場合でも復元できます。
基本機能の他にも、ビジネスのICT基盤の役割を担う次のような機能もあります。
- ●Power BI
- 企業が蓄積しているデータを分析して知見を得るためのBIツールです。エンジニアやデータアナリストでなくても活用できるセルフサービスBIに位置付けられます。
- ●Power Apps
- プログラミング無しで簡単にビジネスアプリケーションを作成できるツールです。実務をする人が、専門知識がなくても業務を改善するアプリを作ることが可能です。
- ●MyAnalytics
- 個人向けの作業分析ツールです。会議などで中断されない作業に集中できる時間が勤務時間中にどれだけあったか、休養が十分にとれているか、会議やメール、チャット、通話にどれだけ時間をとられているかを見える化し、生産性の改善を支援します。
3.Microsoft 365と旧Office 365、何が違う?
Microsoft 365とは別に「Office 365」があり、違いが分かりにくくなっています。両者はどのような違いがあるのかを整理してみましょう。
まず従来型のOfficeパッケージとOffice 365の違いについてご紹介しましょう。Office 365は、2011年に法人ユーザー向けに提供開始されました。従来のOfficeパッケージは買い切りライセンスで、初期コストが高くなりますが、Office 365はサブスクリプション型で、月額または年額でライセンス料を支払うという点が大きな違いです。またOffice 365では常に最新のOffice製品が利用でき、個人用のクラウドストレージが1TB提供されます。マルチデバイスに対応しているのもOffice 365の特徴です。
次にOffice 365とMicrosoft 365の違いについてご紹介します。Microsoft 365は、2017年に提供が始まりました。当初はOffice 365と同等のアプリ・サービスに、高度な管理機能やセキュリティ機能、大企業向けの「Windows 10 Enterprise」を付加した形で提供されており、Office 365と明確な違いがありました。
しかし2020年に「Office 365」ブランドで提供してきた主なサービス・アプリの名称を「Microsoft 365」に統合したことで、違いがほぼなくなりました。ただし、大企業向け「Office 365 F1/E1/E3/E5」・教育機関向け「Office 365 A1/A3/A5」・政府機関向け「Office 365 G1/G3/G5」は名称やプランがそのまま引き継がれています。
4.一般法人向け・大企業向け料金プランの体系
Microsoft 365には、ユーザー数300以下の一般法人向け、ユーザー数無制限の大企業向けの料金プラン体系があります。さらに、利用できるアプリケーションや機能によって数種類のプランに分かれています。以下の表を参考に、自社に合ったプランを選びましょう。
5.アイデア次第で使い方いろいろ:ユースケースの紹介
Microsoft 365は豊富な機能が提供されているため「どんな活用方法があるのか知りたい」という声も少なくありません。そこでユースケースをいくつかご紹介します。
- ●SharePointで情報共有用のポータルサイト構築に
- SharePointはプロジェクトごとのポータルサイトを簡単に立ち上げることができ、ファイル共有や共同編集ができます。業務に必要な情報を共有し、スペック表や電話対応履歴など、常に情報が変動するものについても共同編集で常に最新の情報に保つことができます。
- ●Teamsで店舗・事務所を遠隔でチェック
- 全国にある店舗・事務所の状態を本社が把握するのは、簡単なことではありません。Teamsで店舗や事務所の状況をWeb会議で映しながら本社でチェックすることで、状況に応じたリアルタイムな対処が可能になります。
- ●Intuneでテレワーク端末を一元管理
- テレワークの普及により、今まで管理者の目に届く範囲にあった端末が、自宅に置かれ、管理も難しくなっています。Intuneは場所を選ばず端末の管理が可能なため、万が一自宅の端末を紛失した場合でも、リモートでデータ消去が可能です。
このようにMicrosoft 365は働き方を変える大きな原動力になります。導入にあたっては、提供される機能について知り、最適な料金プランを選ぶことが大切です。ドコモでは、状況に応じた最適なプランをご提案し、新しい働き方の実現を目指すお客様を支援します。