これだけは知っておきたい!
PBXとクラウドPBXの違いとは?

これだけは知っておきたい!PBXとクラウドPBXの違いとは?

クラウド化が加速する中で取り残されている固定電話。そこで注目されているのがPBXのクラウド化です。ここではクラウドPBXのメリットや注意点について解説します。

目次

1.クラウドシフトの潮流で取り残された「固定電話」

「クラウドファースト」「クラウドネイティブ」といった言葉が定着しつつあるように、企業においてもシステム構築を行う際には、最初にクラウドを検討するようになりました。
令和3年版 情報通信白書によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は68.7%にも上り、前年から4.0ポイント上昇しています。

クラウドサービスの利用状況

総務省「令和3年版 情報通信白書」(2021年7月) P314

さらにコロナ禍が長期化したことで、テレワークが一気に普及しました。テレワークが定着したことにより、オフィスをフリーアドレス制にして面積を縮小する企業も存在します。また、これを機に業務のデジタル化に取りくみ、場所を選ばない働き方を推進し、生産性を向上させるためにクラウドを導入する機会も増えています。

クラウド化が加速する中で取り残された形になっているのが、固定電話です。コロナ禍による緊急事態宣言下においても、代表電話の対応だけのために出社しなければならない事態が発生し、「電話出社」と揶揄されました。またテレワーク中の担当者宛に、顧客から電話がかかってきた場合に、折り返しに時間がかかってしまうことから、顧客満足度が低下する問題もあります。

テレワークを阻害する要因になっている固定電話ですが、今後は徐々にクラウド化していくと見られています。情報通信ネットワーク産業協会が発表した「通信機器中期需要予測[2020-2025年度]」によると、ボタン電話装置・PBX・事業所用コードレスホンの2025年需要総額は、2019年と比較して27.6%減少する見通しです。テレワークの浸透により大手企業を中心に音声コミュニケーション基盤の再構築が検討されており、場所を選ばないコミュニケーションのためにクラウド連携が進むと予測しています。

2.PBXとクラウドPBXの違いとは?

従来の固定電話は、オフィス内にPBX(構内交換機)を設置しています。PBXは、公衆交換電話網に社内にある多数の電話機を接続する役割があります。PBXにより外線を担当者の電話機につないだり、社内の電話機同士で通話したり、といったことができるようになります。営業部から電話した時は、営業部の電話番号で発信する、反対に営業部の電話番号で入電があった場合は、営業部の内線電話機を呼び出すといった制御の役割も担います。

クラウドPBXは、従来のPBXの機能をクラウドで提供するサービスです。クラウドにPBXの機能を担うサーバーを設置し、電話機とはインターネットを通じてアクセスします。クラウドPBXの場合は拠点ごとのPBX設置が不要である点、インターネット回線で通話する点に大きな違いがあります。

なお、従来のPBXとクラウドPBXを併用するケースもあります。コールセンターのように大規模な音声プラットフォームが構築されている場合や、既存PBXが設置されている拠点が多い場合など、既存の環境をそのまま移行するのはリスクがあるケースが往々にしてあります。そのため既存PBXの資産はそのまま使い、拠点を新設する際などに部分的にクラウドPBXを導入し、両者を連携させるハイブリッド型もあります。

ハイブリッド型のイメージ

3.クラウドPBXのメリット

クラウドPBXは従来のものと仕組みが異なるため、今までにない機能が実現します。メリットとしては次のようなものがあります。

●場所を選ばず短期間で導入できる
オフィスにPBXを設置する必要がないため、短期間で導入できます。拠点を新設する際も迅速に環境が構築できます。またインターネットに接続できれば通話が可能なため、海外拠点での環境構築も可能です。
●メンテナンスのコストが抑えられる
従来はレイアウト変更や異動で内線番号が変更になる場合やPBXが故障した場合は、専門の事業者に依頼する必要がありました。クラウドPBXでは、故障などのメンテナンスはサービス提供事業者が担当するほか、クラウド上の管理画面で簡単に設定変更できるため、運用コストが抑えられます。また、従来のPBXでは台数に上限があり、上限を超えるとPBXの入れ替えが必要になりますが、クラウドPBXの場合は台数を簡単に増やせます。
●モバイルやPCでも内線や会社の電話番号での発着信が可能に
インターネットを接続できれば通話が可能となるため、携帯電話やノートPCでも内線通話や会社の電話番号での発着信が可能になります。そのため、外出中の担当者にかかってきた電話をそのまま転送したり、自宅で代表電話への入電に対応したりといったことが可能になり、場所を選ばない働き方を実現します。
●通話料のコストが抑えられる
社外にいる場合でも社員同士の内線電話が無料になります。また外線電話もインターネット回線を利用することにより、通話料金が安価になります。

4.クラウドPBXの注意点

一方でクラウドPBXを導入する際に知っておきたい注意点もあります。

●緊急通報へ発信できない
クラウドPBXは場所を問わずに通話が可能です。そのため緊急通報すると、関係機関に通知される位置情報と、実際の通報者の位置が異なる場合があります。通報者情報との紐づけや通報者へのコールバックに支障を来す場合があるため、緊急通報への発信はできません。緊急通報の場合は、携帯回線網で発信するなどの対策が必要です。
●インターネット回線の音声品質は保証されない
インターネット回線を利用するため、音声品質を保証することはできません。ただしインターネット接続回線はベストエフォートではあるものの、高速通信が可能なサービスが次々と登場しており、音声品質は今後も改善すると期待できます。
●電話番号を引き継げない場合がある
携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)があるように、固定電話も既存の番号を引き継ぐ(LNP)ことができますが、固定電話番号の取得方法によっては不可能なケースもあるため、確認が必要です。

5.リスクを抑えて段階的な移行を

クラウドPBXはメリットが数多くありますが、既存の環境を一気に移行するのはリスクが高くなります。クラウドPBXによっては、ローカルゲートウェイを設置して既存のPBXと連携できるものがあります。こうしたソリューションを利用して効果の高い拠点から段階的に移行すると、リスクを抑えられるためおすすめです。

ドコモでは、多数の導入実績で培ったノウハウをもとに、最適な導入計画をご提案しています。ニューノーマル時代を迎え、音声コミュニケーション基盤の再構築をお考えの方は、ぜひご相談ください。

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