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「デジタル人材」を育成する企業は、
助成金が貰える

「デジタル人材」を育成する企業は、助成金が貰える

従業員のキャリア形成を考える上で、技能の習得やスキルの向上は必要不可欠です。厚生労働省ではその取り組みを後押しする新たな助成金制度をスタートしています。

目次

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国民のアイデアから生まれた助成金がある

厚生労働省では、従業員のスキルアップに投資する企業を支援する助成金制度「人材開発支援助成金」(※)を毎年募集しています。これは、従業員のキャリア形成をサポートするために、専門的知識や技能の習得に関連した講習を行う事業主を支援する制度で、計画的な職業訓練を実施している企業、教育訓練休暇制度を適用している企業が助成の対象となります。

(※) 厚生労働省「人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇等付与コース、特別育成訓練コース、人への投資促進コース)」

人材開発支援助成金には、実施内容に応じてさまざまなコースに分けられています。現在、人材開発支援助成金のコースは目的別に8つありますが、2022年度からは、新たに「人への投資促進コース」が加わりました。

この「人への投資促進コース」は、厚生労働省が2021年12月から翌年1月までの間、「人への投資」をテーマに国民からアイデアを募り、そこから考案されたコースとなります。

(※)厚生労働省「人材開発支援助成金人への投資促進コースのご案内(詳細版)」をもとに編集部で作成

IT業界未経験の人材育成も助成金の対象に!

人への投資促進コースの中にも、さらにさまざまなメニューが用意されており、たとえばIT業界未経験者の従業員を育成する「情報技術分野認定実習併用職業訓練」というものも存在します。

情報技術分野認定実習併用職業訓練は、IT分野未経験者の即戦力化を目的とした訓練を行う企業に対して助成を行う制度です。中小企業の場合、訓練にかかる経費のうち60%の助成を受けることができます。対象となる経費は、講師への謝金や手当、施設・設備の借上費、教科書代などです。さらに、1時間あたり760円の賃金助成、OJT(現場での訓練)を実施した場合に20万円の助成を受けることもできます。

ただし、助成の対象となるにはさまざまな要件を満たさなければなりません。まずは事業者が日本標準産業分類の大分類における「情報通信業」で、かつIT関連業務を担う組織、もしくはDXを推進する組織を有しており、加えて訓練の対象となる従業員は、15歳以上・45歳未満で、かつ情報処理・通信技術者に関連する業務経験がない正規従業員となります。さらに、対面でのOFF-JT(現場を離れた訓練)の実施や、OJTを行う場合には職種に係る資格を持った者が講師にあたる必要があります。

細かな条件をクリアする必要がありますが、IT未経験者をイチから育てる際には有効な手段といえるでしょう。

e-ラーニングの訓練にも助成金が発生する!

Webを活用した「e-ラーニング」による訓練が助成対象となる「定額制訓練」も用意されています。

助成要件は、労働時間内に定額制サービスによる訓練を実施し、かつ対象者の受講時間が合計10時間以上であること、訓練の内容がOFF-JTであることなどがあります。要件を満たした場合、中小企業では45%の経費助成を受けることが可能です。基本料金に加え、e-ラーニングにおいて発生する初期設定費用やアカウント料なども経費の対象として認められます。さらに、対象となる従業員は、正規従業員だけでなく、非正規従業員も含まれます。

先に挙げた情報技術分野認定実習併用職業訓練と比べると、条件や対象従業員のハードルは低いため、比較的申し込みやすいといえるでしょう。

高度な人材の育成にも利用できるが、条件は厳しい

人への投資促進コースには、より高度な人材を育てるための制度もあります。それが、DXの推進や成長分野でのイノベーションを推進するための人材を育成する「高度デジタル人材訓練/成長分野人材訓練」です。

この制度では、従業員がITスキル標準(経済産業省が定めている、IT人材に求められるスキルやキャリアを示した指標)のレベル3・4以上の訓練を受ける際、その際の費用が助成されます。

それだけでなく、従業員が情報科学・情報工学に関連する大学、および国内外の大学院で履修を受ける際の費用、および期間中の所定労働時間内の賃金も助成対象となります。中小企業の場合、経費助成率は70%で、賃金助成額は1時間あたり960円です。訓練の日数や時間にも決まりがあり、大学・大学院・専門実践教育訓練の場合は1,600時間が上限となっています。

ただし、訓練の対象となるためのハードルは高く設定されています。対象となる企業は、産業競争力競争法に基づく事業適応計画の認定、もしくはDX認定を受けていること、さらにDX推進指標を用いて、経営幹部や事業部門、IT部門関係者で自己診断を行い、この指標をIPA(情報処理推進機構)へ提出することが求められます。加えて訓練を行う従業員にも、学士以上の学位を取得していること、大学の成績が一定水準以上であることなどの条件が設けられています。

高度な人材を育成することを目的としているため、かなり厳しい要件が設定されていますが、もし社内に対象となる従業員がいる場合は、ぜひ活用すべきでしょう。

従業員の自発的な学習を支援するコースも用意されている

人への投資促進コースには、これ以外にもさまざまなコースが用意されています。

例えば、従業員の自発的な学習を支援する制度として「自発的職業能力開発訓練」というものがあります。労働者が労働時間外において訓練を受けた場合、その訓練にかかる費用に対し、経費の30%分が助成されます。

ほかにも、訓練のための休暇制度を導入し、従業員がその制度を利用することで助成が受けられる「長期訓練休暇等制度」もあります。助成額は、賃金助成が1日6,000円、経費助成が20万円までとなっています。

自発的職業能力開発訓練も長期訓練休暇等制度も、従業員の正規雇用・非正規雇用を問わず、要件を満たす従業員全員が対象となるため、利用しやすい制度といえるでしょう。

冒頭でも触れた通り、この人への投資促進コースは国民の声から生まれた助成金のため、「ぜひ利用したい!」と考えている企業も多いかもしれません。ぜひこの機会に利用し、従業員のスキル向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

(※)本記事は2022年6月時点の情報で作成しています。正確な情報に関しては 厚生労働省のホームページ などをご参照ください。

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