中小企業でもAIは導入できる!
経産省が導入ガイドを公開

中小企業でもAIは導入できる!経産省が導入ガイドを公開

経済産業省はAIに詳しくない中小企業向けに「中小企業の経営者・担当者のためのAI導入ガイドブック」を公開。どうすればAIが導入できるのか、同ガイドの内容を紹介します。

目次

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「AIとは何か?」初歩レベルから解説してくれるガイドブックがある

2022年4月、経済産業省は「中小企業の経営者・担当者のためのAI導入ガイドブック」(※)を公開しました。これは、自社に適したAI取組領域がどこなのかを分析し、AI導入のための「はじめの一歩」を踏み出すためのガイドブックとなります。

(※) 経済産業省「中小企業のAI活用促進について」

このAI導入ガイドブックは全部で7種類用意されていますが、「これからAIにチャレンジする企業は、まずコチラ!」と案内されているのが、「構想検討パンフレット」です。

同パンフレットでは、まず「AIとは何か?」という基礎的な解説からスタートしています。それによると、AIはさまざまな情報(データ)を、脳(アルゴリズム)が処理し、判断(予測)を行うものとのこと。つまり、人間が何かを見て、考え、判断することを代行してくれるのが、AIなのです。

さらに、AIを導入することで、中小企業に4つのメリットがもたらされることも指摘されています。

①生産性向上
AIを活用することで売上の増加やコスト削減など生産性の向上が見込めるようになる

②単純労働からの解放
従業員がより創意工夫が求められる業務への転換する時間が増え、仕事の満足度が上がることから、従業員の離職防止が期待できる。

③ 技術継承の促進と若手の育成
熟練した技術や知識を体系化・定義化することで、より良い人材育成につながる。

④人材採用への好影響
AIを用いた先進的な取り組みによって、新しい人材の採用やアピールに貢献できる。

資料ではさらに、AI導入・成功のポイントとして、「AI導入の心構え」と「AI導入・活用の社内浸透」の2つが必要だと指摘しています。

「AI導入の心構え」とは、将来達成したいビジョンに対し「小さく・素早く始め」、「継続的・段階的に育てていくこと」、「AI導入・活用の社会浸透」については、社長や経営者の側から従業員へ変革の必要性を訴え、AI導入への業務変革に従業員が一丸となって取り組んでいくことが必要とされています。

AI導入には3つのステップを踏む必要がある

AIを導入に向けて具体的にどう取り組みを進めるのが良いのか、パンフレットでは3つのステップに分けて説明しています。

ステップ1:自社の経営目標・業務課題の把握
経営目標を明確化し、業務プロセスの見える化や現場へのヒアリングなどにより、課題を抽出していきます。その後、それぞれのプロセスがシステム化されているのか、自社にはどのようなデータがあるのかを確認します。まずは、自社の課題を経営者と現場の目線から見つめ、業務プロセスの全体像と課題を整理することから始めるということでしょう。

ステップ2:AIによる活用の可能性を考える
ステップ1で抽出した課題に対し、実際にAIによる活用の可能性を考えます。既にAIを導入している企業などの事例を参照しながら、自社で実現可能な案をディスカッションしていきます。

ステップ3:実際に取り組む内容を決める
ステップ2で検討した事項を、「すぐできそうか」「できたらどれだけのメリットがあるか」という2つの軸で評価し、実際に取り組んでいく内容を決めていきます。

パンフレットには、各ステップに内容を検討するためのワークシートが用意されており、ステップ3で用いる解決案の実現難易度と得られる効果を評価する採点表も含まれています。ここで高得点となったものが、すぐに実施すべき取り組み領域となります。

どのような順番でAIを導入すれば良いのか?

AIの導入において取り組むべき課題が見つかった後は、実際にAIを運用していくまでの全体像を描いていきます。パンフレットでは、「構想」「設計」「検証」「実装・運用」の4つのステージでまとめられています。

「構想」のステージは、まだAIについての基本を知る段階です。本パンフレットを活用しながら、AIで実現可能なことを理解し、自社での取組領域を決定します。

「設計」のステージでは、自社の業務プロセスにおいて、どこにAIを導入するのかを考えます。加えて、実際に導入までにどのような体制でどれくらいの期間と費用をかけてスタートすべきかを検討します。

例えば、「業務の発注業務の予測精度を上げる」という課題をAIで解決する場合、まずは現状の業務における予測精度がどのくらいであるかを把握しておく必要があります。もしAIが、人間と同程度の精度で予測できるのであれば、需要の予測はAIに任せ、その確認作業は人間が行う、といったように業務分担を決めていきます。取組領域における実施内容や予算などを具体的に固めていく重要なステージといえるでしょう。

「検証」のステージでは、設計のステージで構築したAIモデルを実務で適用できるかを確認します。適用可能と判断した場合は、次の「実装・運用」のステージに進み、システムへの組み込み方や運用方法を検討していきます。この「実装・運用」ステージに入ることで、ようやく自社のビジネスでAIが活用できることになります。

AIはあくまでも「手段」である

今回公開されたこのガイドブックでは、特に何度も繰り返されているポイントがあります。それが、「現場への丁寧な説明」です。

たとえば「AI導入ガイドブック 需要予測(製造)」のPDFの73ページでは、「人は変化を嫌うものです。現場を巻き込む際には、社長・経営層から『変革の必要性』をまず語っていただき、その為の『手段としてのAI』として、活用方法を丁寧に説明していきましょう」と記載されています。これは、AI導入成功のポイントとして指摘されていた「AI導入・活用の社内浸透」とほぼ同じ内容となっています。

なぜ変化が必要なのか、何のためのAIなのか、それがわからないままAIを導入することは、従業員にとっては不毛な時間です。「AIが流行っているからAIを導入する」というのでは、手段の目的化になってしまい、生産性も向上しないことが予想されます。本資料では、そのようなことが内容、度々「手段としてのAI」 が強調されています。

AI未導入の企業も、AIについてよくわからないという経営者・従業員も、本資料を読むことで、まずはAI導入のための正しい一歩を踏み出すことが可能になるでしょう。

※本記事は2022年7月時点の情報を元に作成されています。

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