そもそも「メタバース」とは何か?
メタバースとは、「超越した」という意味の「メタ(meta)」と、そこに「ユニバース(universe、宇宙)」の「バース」を組み合わせた造語で、インターネット上の仮想世界・仮想空間サービスの総称として使われる言葉です。「VR」や「AR」といった技術を通して、利用者を仮想空間に送り込み、実際にその仮想空間でさまざまな感覚が体験できるのがメタバースとなります。
「VR」とは「Virtual Reality」の略称で、「仮想現実」とも呼ばれています。コンピュータで現実に異なる仮想世界を作り出し、ゴーグル型のディスプレイなどを装着することで、その仮想空間の中に入ったかのような体験が可能です。
一方、「AR」とは「Augmented Reality」の略称で「拡張現実」と呼ばれ、情報やコンテンツを現実世界に重ね合わせて表示するなどして、現実での感覚や体験を拡張する技術や仕組みのことを指します。分かりやすい例として、スマートフォンの位置情報を使ったゲームが挙げられます。特定の場所に行ってカメラをかざすと、現実世界の映像に架空のキャラクターを合成して表示されるので、あたかも現実にそのキャラクターが現れた感覚を得ることができます。
VRもARも、いずれも仮想空間に入り込み、アバターなどを用いてほかのユーザーとコミュニケーションを取ることが可能になります。VRとARは、メタバースを実現するうえで欠かせないテクノロジーとなります。
ギャラリー、ショールーム…多くのビジネスで活用されるメタバース
メタバースは主にゲームや音楽ライブなど、エンターテインメントの世界での活用が先行していましたが、今では教育関連、医療や介護など、さまざまな分野で広がっており、ビジネスシーンでの導入例も少なくありません。
ビジネスシーンで特に注目されているのが、メタバースを活用した「イベント(セミナー)」です。依然として続くコロナ禍でリアルイベントが開催しづらいなか、メタバース上で多くの視聴者が参加できるオンラインイベントが開催されています。
仮想空間で実施されるメタバースのイベントは、場所を問わずどこからでも参加が可能です。来場者は自らの分身であるアバターを用いて会場内を自由に移動でき、他の参加者と仮想空間でコミュニケーションをとるなど、実際に会場にいるかのような感覚で参加できます。さらに、会場内に商談ブースやセミナールームなど、用途に応じた部屋を作成し、企業のニーズに応じた使い方をすることも可能です。最近ではメタバース内で製品やサービスの販売、就職セミナーの開催など、より広いマッチングの場としても活用されています。
たとえば、ある自動車関連企業では、メタバース上にバーチャルギャラリーを設置しました。来場者は、ギャラリー内のさまざまな車種を見ることができ、新車発表会や講演なども定期的に実施しています。時間がなくショールームに行くのが難しいと感じている顧客とのコミュニケーションの場としても活用されています。
ある大手住宅メーカーでは、店舗に「メタバース住宅展示場」を設けており、来訪者はアバターを通じて、メタバース内の住宅の内覧ができ、係員のアバターと会話することも可能。さらに壁紙や床、キッチン設備の色を仮想空間上で変えることも可能なので、来訪者の好みに合った雰囲気を確かめることもできます。
メタバースでビジネスの可能性を広げよう!
企業がメタバースでイベントを実施する際にポイントとなるのが、プラットフォームの選択です。
ビジネスイベントといっても、企業の技術や商品の販売促進を目的とした大々的な展示会なのか、少人数に限定したプライベートなイベントなのか、あるいは限られた業種に向けたセミナーや講演会なのか、その目的や種類によって形態はさまざまです。イベントの目的によって必要な機能も変わるため、メタバースでのイベントで成果を得るには、ニーズに合わせたプラットフォームやサービスを選ぶことが大切でしょう。
たとえばNTTが提供しているVR空間プラットフォーム「DOOR」(NTT XR Space WEB)も、企業がメタバースでイベントを行なう際に利用できるプラットフォームの一つです。
DOORでは、展示会やセミナーなど、多くのビジネスパーソンが交流できる独自のビジネスイベント空間が自由に作成可能。アプリやソフトウェアを使用せず、すべてブラウザ上で利用できるため、さまざまなデバイスからイベントに参加できます。テンプレートも豊富に用意されており、自社に合わせたブースの作成も可能です。ブースの定期監視などセキュリティのもと、安心してイベントを行えるのも大きな特徴です。
「DOOR」では、すでにセミナーや講演会、バーチャルショップやバーチャル学校、地域活性化支援、デジタルミュージアムなど、ビジネスシーンから個人利用まで、さまざまなイベントが開催されています。2022年9月に開催された東京ゲームショウVRやアパレルブランドのファッションショーなど大規模なイベントでも活用され、中には約100万人以上のユーザー数が参加したイベントもあります。
今後はメタバースの技術を積極的に取り込んでいくことで、既存のビジネスの可能性が大きく広がる可能性があります。まずはDOORなどのプラットフォームのアカウントを作ることからはじめてみてはいかがでしょうか。