大容量のファイルはどのように共有すべきか?
ビジネスシーンでは、文書や表計算、画像といった、さまざまなデータファイルのやりとりをメールで行うことがあります。ただし、メールは添付できるファイルの容量に上限が定められており、大容量のファイルは送信ができないケースがあります。特に動画ファイルを共有する場合は、たとえ短時間のファイルだったとしても、添付できない可能性が高いです。
メールに添付ファイルの容量制限が設定されている理由は、メールサーバーに負担が掛かるためです。送信側と受信側でサイズの制限が異なる場合もあるため、たとえ送信できたとしても、受信側で受け取れないというケースもあります。
こうした大容量ファイルのやり取りをスムーズに行うサービスも存在します。それが、インターネット上でデータを送受信できる「大容量ファイル送信サービス(ファイル転送サービス)」です。送信側が特定のサイトにファイルをアップロードし、そのファイルを受信側がサイトを介してダウンロードする仕組みとなります。中には無料で利用できるサービスもあり、普段から利用しているという人も多いかもしれません。
無料サービスは攻撃の対象になりやすい!?
ただし、大容量ファイル送信サービスはインターネットを介して利用するもののため、セキュリティ面で不安があります。
2019年には、あるファイル送信サービスでセキュリティの穴が狙われ、約480万ユーザーの個人情報が流出する事件が発生しました。このサービスには有料サービスもあり、有料ユーザーについても被害は発生しましたが、大部分が無料ユーザーの個人情報でした。無料という性質上、多くのユーザーが登録していたことから、悪意のある攻撃者の対象となった可能性が考えられます。
無料の大容量ファイル送信サービスは、有料サービスと比べるとどうしてもセキュリティ面での強度が不足しており、こうした被害を生むリスクをはらんでいます。たとえば有料のサービスではあれば、アップロードやダウンロードの履歴が管理できるものもありますが、無料のサービスには履歴がつかないものもあります。
もし社内のファイルサーバーを利用していれば、アクセス履歴を辿ることは可能ですが、ファイル送信サービスは社外のサーバーを利用するため、履歴は辿れません。そのため、情報漏洩が起きた際、なぜ発生したのか、原因を解明するのは簡単なことではありません。
もちろん、有料の大容量ファイル送信サービスだからといって、完全に安全というわけではありませんが、ビジネスシーンで使用するのであれば、セキュリティ対策が講じられたサービスを選ぶことが大切になります。
ファイル送信サービスを使わなくても共有する方法はある
セキュリティの不安を抑えてファイルを共有するためには、どうすれば良いのでしょうか? 解決法のひとつとしては、そもそも大容量ファイル送信サービスを使わずに、別のサービスを使用するという方法があります。
たとえば、クラウドストレージを使用したファイルの共有です。クラウドストレージにファイルをアップロードすると、そのファイルにアクセスできるURLが発行できます。このURLを相手に送ることで、メールにファイルを添付せず、ファイルの共有が可能になります。ファイル単位ではなく、フォルダ単位の共有も可能なため、複数のファイルも簡単に共有できます。
契約書などの重要書類を共有する場合は、電子契約サービスの中に、ファイル送信サービス機能がついているケースがあります。まず送信側が契約交渉済みの契約書をアップロードし、そのファイルを送信相手が確認・承認することで、契約が自動で締結できるというものです。サービスによっては、ファイルが改ざんされていないことを証明するためのタイムスタンプが自動的に付与されるものもあります。
社内・社外において、ビジネスではさまざまなファイルのやりとりが欠かせません。かつてはファイル共有といえば、無料のファイル送信サービスを利用するのが主流だったかもしれませんが、クラウドサービスの普及により、より便利に、より安全にファイルを共有することが可能になっています。さまざまなサービスを利用し、自社のビジネスに適したサービスを見つけることで、業務をスムーズかつ安全に進められるようになるでしょう。