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一部のアナログ簡易無線機が使用不可に?
電波法改正のポイントを解説

一部のアナログ簡易無線機が使用不可に?電波法改正のポイントを解説

本記事につきまして、読者の皆様からのご指摘を受け、内容を精査し、一部修正を行いました。

電波法の改正に伴い、アナログ方式の周波数を使用する350MHz帯・400MHz帯の簡易無線局の周波数の使用が、2024年11月30日までに制限されることになりました。そのため、簡易無線局を利用するトランシーバーやインカムなどの無線機の一部は、2024年12月から使用できなくなります。この記事では、アナログ簡易無線機の一部が使用できなくなる理由や規制される機器の種類、代替機器について解説します。

目次

監修
及川善大(弁護士)
1979年生まれ、宮城県出身。2010年9月司法試験合格。2012年1月に山形県弁護士会に弁護士登録し、同年11月に及川法律事務所を開設。民事、家事、刑事、会社関係を問わず、様々な事件を取り扱っている。また、現在は日弁連の災害復興支援委員会の副委員長であり、東日本大震災による原発事故避難者への支援や、各種災害からの復興支援も行っている。

なぜアナログ方式の簡易無線機の一部が
使えなくなるのか?

トランシーバーやインカム、ワイヤレスマイク、店内連絡用無線といった「無線機」は、飲食店や作業現場、イベント会場など、現場で働く従業員の重要なコミュニケーション手段の1つです。しかし、350MHz帯・400MHz帯のアナログ簡易無線機を利用している場合、電波法の改正により、2024年12月1日以降、無線機が使用できなくなります。

トランシーバーやインカムなどが使えなくなると、現場で働く人たちのコミュニケーションに影響が生じるため、デジタル方式の簡易無線機に買い替えるなど、別の通信手段に切り替える必要があるでしょう。

なぜアナログ方式の簡易無線機の一部が使えなくなるのか?

電波は、実は有限で希少な資源です。電波を使うシーンは、携帯電話、テレビ・ラジオ放送、スマホでの音声や画像の送信、消防や警備の現場など年々増加しており、電波のひっ迫を避けるため、今回の法改正が行われました。

アナログ簡易無線の使用制限は、当初は2022年12月から行われる予定でした。しかし、コロナ禍により、デジタル方式への移行が遅れることが想定されたため、2年後の2024年12月から開始されることになったのです。

なお、いわゆる「アマチュア無線(個人的な趣味や活動のために行う無線通信)」が使用できなくなるわけではありません。今回の電波法改正によって影響を受けるのは、アナログ簡易無線局を利用している一部のケースのみです。

どのような機器が使用できなくなるのか?

電波法改正によって使用できなくなる通信機器は、以下の3種類です。

  • アナログ簡易無線機(350MHz帯)
  • アナログ簡易無線機(400MHz帯)
  • 特定小電力トランシーバー(旧規格)

アナログ簡易無線機のなかには、周波数が「150MHz帯」のものも存在します。この150MHz帯のアナログ簡易無線機については、引き続き使用が許可されています。

特定小電力トランシーバーについては、「スプリアス」(所定の周波数を外れた電波)の規格によって、使用できるものとできないものがあります。たとえば、新スプリアス規格のトランシーバーであれば、引き続きアナログでも使用できますが、旧スプリアス規格のものは使用できなくなります。コードレス電話やPHSについても、旧スプリアス規格を採用している機器は使用できなくなります。

今回の改正によって使用できなくなる無線機は、そのまま所持していても問題はありません。しかし、誤って使用した場合、電波法違反として罰則の対象となります。その場合、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられることになります。

また、アナログ方式とデジタル方式、両方の周波数を使用できるデュアル方式の簡易無線機については、アナログ方式の周波数を発射できないよう、無線機のメーカーなどで処置を行った上で使用するようにしましょう。

どのような機器が使用できなくなるのか?

デジタルに変えることで、現場は快適になる

今回の法改正で規制対象となるアナログ簡易無線機を使用しており、今後も無線の利用を継続したい場合は、代替機器に切り替える必要があります。

代替機器として挙げられるのは、「デジタル簡易無線機」「業務用無線機」「IP無線機」の3つです。

簡易無線局を引き続き利用する場合は、デジタル簡易無線機に切り替える必要があります。デジタル簡易無線機は、音声をデジタル信号の数値に変換し、電波に乗せて送信するため、アナログ方式と比べてデータが圧縮され、一度の送信でよりたくさんの音声情報を送れるのが特長です。加えて、アナログ無線機に比べて通信品質が高いというメリットもあります。

業務用無線機は、簡易無線を含むさまざまな無線で使用されており、広域で安定した通信を行うことが可能です。しかし、導入や運用にかかるコストが高く、資格取得時には無線従事者の資格が求められるため、導入のハードルは高いといえるでしょう。

IP無線機は、携帯電話回線を用いて通信を行う通信システムです。携帯電話網を利用することで、基地局を開設することなくトランシーバーやインカムが使用できます。通信範囲も広く、デジタル通信のため音質もクリアです。

わざわざIP無線機を購入しなくても、スマートフォンの「IP無線アプリ」を使う方法もあります。IP無線アプリは、IP無線機と同じく携帯電話網を使ったデジタル通信です。特別な申請も必要なく、スマホにインストールするだけで手軽に導入・運用できる点が最大のメリットです。

デジタルに変えることで、現場は快適になる

IP無線アプリは、携帯電話網の通信が可能なエリア同士であれば距離や人数の制限はありません。加えて、音声だけでなくライブ映像の配信も可能です。音声をテキスト化する機能を備えたものもリリースされています。

現在、アナログ無線機を販売していたメーカーのホームページでは、使用禁止に関する注意喚起が行われています。まだ古いアナログ無線機を使用しているのであれば、デジタル無線機など別の手段に変えることで、現場の業務は便利かつ快適に変わることでしょう。

(イラスト:タカヤマチグサ)

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