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ネットの世界は「Web 3.0」へ進化。
何がどう変わるのか?

ネットの世界は「Web 3.0」へ進化。何がどう変わるのか?

Web1.0→2.0と進化してきたインターネットの世界は、現在「Web3.0」と称されるフェーズに移っています。Web3.0とは何なのか?「トークン」というキーワードとともに解説します。

目次

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Web1.0→Web2.0→Web3.0で何が変わるのか?

Webの利用法の進化を表す言葉として「Web 1.0」「Web 2.0」というワードが存在しますが、最近はこれに続く「Web3.0」というワードも登場しています。

経済産業省は2022年12月、「Web3.0事業環境整備の考え方」(※)という資料を公開しました。この資料では、インターネットはメールやホームページを通じた情報の受発信を可能にした「Web1.0」から、ビッグデータのような集合知が価値を生み出す「Web2.0」 へと進化しているものの、一方でプラットフォーマーである大手企業による情報管理の独占に対する懸念が大きくなっているといいます。

(※)経済産業省「Web3.0事業環境整備の考え方」

資料ではWeb3.0について、こうした大手企業による情報の独占に対抗するものであり、情報管理を自律分散的に処理するというコンセプトが支持され、台頭し始めていると解説しています。

Web1.0
一方通行なHPや Eメールなど
“Read only”

Web2.0
双方向型のSNSなど
“Read and Write”

Web3.0
トークンを介して、
あらゆる価値の 共創・保有・交換が可能に
“Read & Write & Own/Join”

(※)経済産業省「Web3.0事業環境整備の考え方」

デジタル庁も2022年12月に「Web3.0研究会報告書」という資料を発表。Web3.0の大きな動きとして、経済社会の中核的要素(「金融」「資産・取引」「組織」など)で新たなサービス・ツールが出現しはじめており、既存のサービス・ツールの役割を一部技術的に補完・代替する可能性があるとしています。

ビジネス・社会の形を変える「トークン経済圏」とは

この「Web 3.0」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

経済産業省では、Web 3.0を「トークン経済」と定義(※)しています。トークン経済とは、ブロックチェーン上で、暗号資産などのトークン(代用貨幣)を媒体として「価値の共創・保有・交換」を行う経済のことです。つまり、現実世界における貨幣ではなく、その代わりとなるデジタルマネーによって成立する経済ということになります。

(※)経済産業省「Web3.0」

経済産業省の資料によると、Web3.0の世界では「トークンを介してあらゆる価値の共創・保有・交換が可能になる」とされています。具体的には、さまざまなプロジェクトでトークンが発行され、プロジェクトごとに「トークン経済圏」が構築され、暗号資産やNFT(非代替性トークン、Non-Fungible Token)などのトークンを活用した、新たなサービスの創業環境や消費活動、資産形成環境が生まれ、メタバースとの掛け合わせも含めた新たな経済圏の形成が進んでいくことが予見されています。

トークンを活用したサービスはすでに始まっている

トークンを活用したサービスはすでに始まっている

トークン経済は、遠い未来の話ではなく、すでに運用されているものもあります。現状では、ゲーム・アート・スポーツなどの文化経済、金融の領域が先行しているようです。

たとえば、バルセロナやパリサンジェルマンなどの海外のプロサッカークラブでは、すでに運営会社によってトークンが発行されています。トークンを購入したファンは、保有者のみに開催されるイベントへの参加や、クラブ運営の投票などに参画できる権利が得られます。これにより、クラブ側はトークンの販売による資金調達の選択肢が増え、ファンはトークンを保有しないファンとは異なる体験が得られるというメリットがあります。

海外だけでなく、日本の地方都市においてもトークンを活用した事例があります。新潟県長岡市の山古志住民会議では、名物である錦鯉のデジタルアートをNFTとして販売し、そのNFTの購入者をデジタル村民と見なすという仕組みをつくりました。NFTの購入者には、意思決定の会議に参加する権利が与えられます。

その結果、2022年11月末時点で、約800人のリアル村民に対し、1000人を超えるデジタル村民を獲得しています。同会議ではNFT売却で得た資金を元手に、村の地域プロジェクトを構想しています。

Web3.0の浸透を妨げる「信頼性」の問題

冒頭で挙げた経済産業省の資料によれば、Web3.0を推進することで、仮想空間と現実空間を融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を目指す「Society5.0」の取り組みにつながる可能性があるとしています。

しかし、Web 3.0を推し進めるためには、現状ではまだ課題が山積みです。特に課題となっているのは、トークンの信頼性です。現実世界の貨幣の代用品として、安心して利用できるかどうかは、業界全体の課題といえます。

たとえば2022年11月には、アメリカの暗号資産交換業者が経営破綻しました。この企業は2019年に誕生し、数年で業界大手の座へと上り詰めましたが、4億ドル以上の仮想通貨がハッキングによって盗まれたうえ、創業者自身も詐欺などの容疑で逮捕されるなど、運営は不安定なものでした。

こうしたトークンの信頼性の問題について、経済産業省は資料にて「いずれ解決できる」「先端技術の初期的な課題は、常に研究者や技術者の知恵と工夫、市場での自然淘汰によって乗り越えてきた」と述べ、中長期的な視座で見ていく必要があるとまとめています。

技術の発展によって、インターネットを利用したビジネスの形態は変化していきます。今後、Web3.0が日本においてどのように発展し、定着していくかはまだわかりませんが、トークンの信頼性が高まれば、一気に普及する可能性もあります。Web3.0というビジネスの形があるということを、今のうちに覚えておいても損はないでしょう。

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