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中小企業のDXはどう進めるべき?
「DX白書2023」から読み解く課題と対策

中小企業のDXはどう進めるべき?「DX白書2023」から読み解く課題と対策

2023年2月に公開された「DX白書2023」によると、日本の中小企業の約6割はDXに取り組んでいないといいます。中小企業はどのようにDXを推進するべきなのでしょうか?

目次

中小企業の過半数がDXに取り組んでいない

「DX」とは、デジタル技術の活用によって作業を効率化し、業務やビジネスモデルをトランスフォーメーション(変革)させることを指す言葉です。日本でもDXは徐々に進みつつありますが、中小企業によるDXの動きは鈍い傾向にあるようです。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2023年2月に公開した「DX白書2023」(※)によると、日本でDXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度調査の55.8%から、2022年度は69.3%に増加しました。2022年度のアメリカにおけるDXに取り組む企業の割合は77.9%だったため、その差は8.6%となっています。

※独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2023」

一方、「全社戦略にもとづいてDXに取り組んでいる」と回答した企業は、米国の68.1%に対して日本は54.2%と、10ポイント以上の大きな差が開いています。

DXの取り組み状況を従業員規模別で見ると、日本は従業員数が多い企業ほどDXの取り組みが進んでいます。従業員規模が「1,001人以上」の企業でDXに着手しているのは94.8%で、これはアメリカよりも高い割合です。しかし、従業員規模が「100人以下」の企業になると39.6%にまで落ち込みます。裏を返せば、DXに取り組んでいない企業が過半数を超える約60%もいるということになります。中小企業のDXが進んでいないということが、このデータからも読み取れます。

中小企業がDXを進めるためには順序がある

中小企業のDXが進んでいない理由のひとつに、そもそもどうやってDXを始めれば良いのか、その順番がわかりづらいということがあるかもしれません。経済産業省・中小企業庁による中小企業向けサイト「ミラサポplus」では、DXの導入を次の1~3の順番で行うことを推奨しています。

  1. アナログだったものをデジタルにする
  2. 生産効率・業務効率が向上し、デジタルデータが蓄積される
  3. ビジネス・組織を変える

1の「アナログだったものをデジタルにする」は、たとえば紙で管理していた帳簿を、会計ソフトに置き換えるようなことも含まれます。アナログな業務をデジタルに切り替えることで、生産効率や業務効率が向上し、同時にデジタルデータも蓄積されていきます。このデジタルデータをさらにビジネスに活用することで、DXが進んでいくといいます。

DXというと、複雑な自社システムを開発したり、多額の予算を投じたりといったイメージを持つ人も多いかもしれません。しかしミラサポplusでは、中小企業の場合は高価なツールの導入はオーバースペックになりがちで、無料のスケジュール管理ツールや、無料のオンラインストレージサービスでも十分足りると指摘しています。

【事例】基幹業務データの連携で原価計算がスピードアップ

【事例】基幹業務データの連携で原価計算がスピードアップ

「ミラサポplus」では、中小企業におけるDXの取り組み事例も掲載されています。ここでは、そのなかの一つを紹介します。

大手ゼネコンや住宅メーカーを顧客とする設計関連会社のA社では、原価計算を行うための「日報」「売上管理」「会計システム」がわかれており、それぞれからデータを取りだして表計算ソフトでまとめて計算していました。しかし、物件ごとの原価や利益が素早く把握できなかったため、システム間でデータをつなぎ、短時間で集計できる方法を探していました。

そこでA社は、中小企業向けの会計ソフトを導入。導入後は、日報データが簡単に原価管理システムと連携できるようになり、処理業務がシンプルになりました。さらに、操作時間が大幅に削減され、受注した物件ごとの月次利益集計に要する期間を1週間以上短縮したといいます。

DXで成果を出すために何が必要か?

DXを推進したとしても、それによる成果が出なければ意味がありません。冒頭で触れた「DX白書2023」によると、DXで「成果が出ている」と回答した日本企業の割合は58.0%で、米国の89.0%に比べて約30ポイント低い数値となっています。

同白書では、DXを推進し、成果を出すために必要なこととして「経営層による積極的な関与」「経営層・業務部門・IT部門などの協調」「DXのための予算確保」などを挙げています。しかし、IT分野に見識がある役員が3割以上いる企業の割合は、米国の60.9%に対して日本はわずか27.8%と、非常に低い数値となっています。

加えて、DXを推進する予算が継続的に確保されている割合も、米国の40.4%に対して日本は23.8%と、こちらも低い数値です。日本にはDXを阻むさまざまな課題があることがうかがえます。

ミラサポplusでは、DXで成果を出すために必要なこととして、「何のためにデジタル化(IT化)するのか」という目的を決めることを挙げています。つまり、単にデジタル化をすることではなく、何のためにデジタル化をするのか、という考えが重要になる、ということです。

経営戦略・ビジョンを実現するために、ビジネスモデル・業務フローをどう変えていけば良いのか、そのためにどんなデジタル化、ITツールが必要になるのか、順序立てて考えていくことで、DX化は徐々に進み、成果も出ていくことでしょう。

※本記事の内容は2023年3月現在の情報で作成されています。最新の情報は官公庁のホームページなどでご確認ください。

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