事業承継はやっぱりかんたんにはいかない
日本の少子高齢化に端を発する諸問題は、中小企業にとっても例外ではありません。中小企業経営者の高齢化は年々進んでおり、中小企業庁によれば経営者年齢のピークはこの20年間で、50代から60~70代へと大きく上昇しているとされています。
これまで中小企業では親から子どもへと引き継ぐ親族内承継が一般的でしたが、少子化や社会構造の変化、景気の停滞などにより減少傾向にあります。そのため、経営が順調であるにもかかわらず、適切な後継者が見つからず、廃業してしまう中小企業も少なくありません。
しかし、親族内承継が減ったといっても、従業員から後継者を選ぶなど他の方法もあるはずです。それでもなぜ事業承継は難しい、うまくいかないと言われるのでしょうか。
後継者が見つからない
前述のように親族内で承継してくれる人材がいればよいのですが、いない場合は自社をよく理解している役員や従業員が次の候補となります。しかし、能力や資質の面、またそれらをクリアしていたとしても、継承候補者に後を継ぐ気がなければうまくいきません。
金銭的な問題
事業承継を行う場合、資産を引き継ぐため後継者には税負担が発生します。また、中小企業では会社の借入金を経営者が連帯保証するケースが一般的なため、事業承継ではこうした個人保証の引き継ぎも行わなければなりません。
このように、事業承継を行うためには、いくつかのハードルが存在します。とはいえ、中小企業は日本経済を支える重要な存在です。「ビジネスは順調なのに、後継者がおらず廃業を余儀なくされてしまう」といったケースを避けるために、国や自治体は事業承継を支援するための補助金・助成金や税制を整えています。ここではその一部を紹介します。
事業承継を支援する税制や補助金
中小企業の事業承継を後押しするために、政府や自治体ではさまざまな支援策を用意しています。いくつか代表的な税制や補助金を中心に紹介します。
【税制について】
法人版事業承継税制
非上場の株式などの承継に伴う贈与税・相続税の負担を実質ゼロとする特例措置です。特例措置を受けるためには、事前手続きとして2024年3月までに特例事業承継計画を提出する必要があります。
(参考)中小企業庁:法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_zouyo_souzoku.htm
法人版事業承継税制
非上場の株式などの承継に伴う、贈与税・相続税の負担軽減措置を目的としています。
(参考)中小企業庁:事業承継税制(一般措置)の前提となる認定
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_gensoku_yoshiki.htm
【補助金について】
事業承継・引継ぎ補助金
事業再編、事業統合を含む事業承継を契機として経営革新などを行う中小企業・小規模事業者に対して、その取り組みに要する経費の一部を補助する仕組み。
(参考)事業承継・引継ぎ補助金事務局:事業承継・引継ぎ補助金
https://jsh.go.jp/r4h/
上記の補助金は中小企業庁が中心となっているため、全国の企業が申請できますが、他にも各自治体でも事業承継を支援するための補助金や助成金が整えられています。都道府県はもちろん、市町村でも支援制度を整えている場合がありますので、一度確認してみてもよいでしょう。
補助金を探す、申請するのが難しい…は解決できる!
事業承継に関する補助金や助成金は目的が明確な分、探すことはさほど難しくありません。しかし、中小企業のビジネスを支援するための補助金は、他にもたくさん用意されています。こうした制度は膨大に存在するため、自社に適用されるものを見つけ出すのは用意ではありません。もし見つけられた場合でも、申請のための手続きには一定の手間がかかるでしょう。
こうした、中小企業の助成金や補助金に関する課題を解決するために、ドコモビジネスでは「dX助成金申請」というサービスを提供しています。このサービスでは、大量に存在する助成金のなかから、自社に適用される制度を手間なく探せるほか、申請作業に関しても専門士業やコンサルタントのサポートを受けることができるため、申請の負担は最小限に、かつ受給の可能性を高めることができます。
事業承継を始めとし、中小企業を支援するための制度は多くあります。このような制度をうまく活用できれば、ビジネスの中長期的な継続や、経営革新などに役立つはずです。
※本記事は2023年11月現在の情報を元に制作されています。最新かつ正確な情報は官公庁や自治体のホームページなどをご確認ください。