増加するネットワークのニーズに応えられるか?
コロナ禍を経たことで、デジタル技術の価値や効果を改めて実感した企業は多く、これらは新常態となって、今後もより加速していくでしょう。
たとえば建設業では、現場でタブレット端末などのモバイルデバイスを活用したDXが進められています。小売・飲食業では人流の回復に伴って、新規テナントや期間限定のポップアップストアとしての出店が回復しており、定着したキャッシュレス決済や業務効率化に適した手段として、タブレット型のPOSレジが活用されています。
こうしたデジタル技術の活用に欠かせないのが、高速で安定したネットワーク環境です。オフィスやテナントビルでは、まず光回線を引くことを考えることになりますが、建物の管理者や工事関係者との調整が必要となるため、迅速な展開が難しく担当者の負担は大きくなります。そもそも許可が得られない場合や、建物が古く配管工事が必要な場合もあり、そうなるとビジネスへの影響は無視できません。
一方で、短期的な利用が前提の場合には、利用開始までのスピードを優先する必要があり、光回線の敷設は工事や撤去、契約などの観点で現実的ではありません。建設現場では、そもそも光回線のサービスエリア外であることも少なくないでしょう。
光回線の敷設に代わる通信環境としては、モバイルWi-Fiルーターも選択肢となり得ます。しかし、上限データ量や常時接続の観点では業務利用に適さず、顧客・従業員向けサービスとしてWi-Fi環境を提供する用途としても現実的ではありません。
光回線もモバイルWi-Fiルーターも一長一短はあるが、これらの選択肢を超えて、昨今のビジネス環境にもっと適した、より柔軟で使いやすい「新しい形のWi-Fi環境」はないのでしょうか?
「コンセントに挿すだけ」で構築できるWi-Fi環境
業務におけるWi-Fi環境の重要性が高まる中、ビジネスシーンでの光回線敷設についてNTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部 クラウド&ネットワークサービス部の川崎拓郎氏はこう実情を語ります。
「多数の出店計画を立てている企業では緻密なスケジュールを考え、積極的に新しいPOSレジのシステムを取り入れて展開している印象です。しかし、設置場所の特性や工事待ちによって、出店計画に影響があったケースもあります。また、工事の調整にかかる担当者の負担も無視できません」
光回線は安定したネットワーク通信に欠かせませんが、ときに設置工事という物理的な障壁に直面します。こうした課題を解消するべく、川崎氏が企画から関わってきたサービスが、2021年8月末にリリースした「home 5G」です。工事不要(*1)でコンセントを指すだけでWi-Fi環境を実現する5G対応ホームルーターです。
「VUCA(Volatility/Uncertainty/Complexity/Ambiguity)の時代と言われているように、顧客ニーズの変化や新サービスの登場が進み、経営判断も速くなってきています。ITを駆使した新たな事業展開を迅速に進めるため、柔軟なインターネット環境を整えたいというニーズも強く、サービス開始後は想定以上の引き合いをいただきました。たとえば、POSレジ用のタブレットと組み合わせて全店舗に水平展開するようなケースでは、工事に左右されず計画どおりに出店を進められるのがメリットです」(川崎氏)
home 5Gの特長は大きく3つあります。1つ目は、設置工事不要でコンセントに挿すだけで、Wi-Fiを導入できる手軽さです。専用の5G対応ホームルーターを購入してSIMカードを挿入すれば、すぐに使えるところが大きな強みです。2つ目は、データ量が無制限(*2)であること。ドコモの5GおよびLTEの提供エリアであれば、データ量を心配することなく利用できます。3つ目が、5G高速通信(*3)への対応です。動画などの容量の大きいファイルを送受信する機会が多い昨今では、特に重要視したい点です。
ビジネス用途を意識した機能と契約形態
home 5Gは「ドコモビジネス」ブランドとして提供していることから、ビジネス用途も意識した機能やサービスとなっています。機能面では、「SSID間通信隔離」を搭載しており、SSIDを業務用と従業員/顧客用に分けることにより、セキュリティを確保できます。
「店舗では顧客向けにWi-Fiを提供するサービスが定着していますが、セキュリティの観点から、POSレジなど業務用途とは分けたいという要件が一般的です。こうしたケースにもhome 5Gが対応しています」(川崎氏)
また、最新機種であるHR02は、同時接続可能な端末数が最大66台(Wi-Fi:64台、有線LAN:2台※規格値)であることや、盗難抑止の観点でセキュリティワイヤーを使用し簡易ロックすることができるなど、ビジネス用途を意識した機能を搭載しており、さまざまな利用シーンに対応できるところも特長です。
home 5Gのご利用にあたっては、5G対応ホームルーターの購入は必要となるものの、一括だけでなく月々サポートを適用し購入機種に応じた「月々サポート割引額」を毎月のご利用料金から割引くこともできるため、イニシャルコストを抑えた料金での購入も可能です。しかも、「home 5G」契約者と同一「ビジネス通話割引」グループ内でhome 5Gとスマートフォンをセットで契約すれば、スマートフォンの各回線の月額料金が、永年最大1,100円/月(税込)割引されます(*5)。
ネットワーク環境の有無に関わらず
広がる活用シーン
home 5Gは、実際にどのようなビジネスシーンで利用されているのでしょうか。通信ネットワークは、企業規模や業種を問わずに求められるインフラということもあって、活用例に枚挙に暇がないが、ここでは特徴的な用途をいくつか紹介します。
まず、光回線が引けない場所での代替手段としての事例では、工事が簡単にはできないショッピングセンターや百貨店などのテナントがあります。そもそも光回線が提供されてない山間部の事例としては、グランピング施設や道路沿いの休憩施設などに設置されています。そのエリアに電波が届く唯一のキャリアがドコモだったからということで導入された事例もあります。
教育施設ではGIGAスクール構想に基づいてネットワーク環境が整備されていますが、広い敷地内の隅々までWi-Fiの電波を届けるのは容易でなく、体育館や特別教室ではhome 5Gで対応しているケースもあります。ほかには、留学生が生活する寮において母国との連絡手段として提供している事例もあります。この事例では、光回線を視野に入れたものの、スピーディーに対応する必要があったため、手軽なhome 5Gを設置したといいます。
「保育園でも導入事例があります。手が離せないときに来訪があるとタブレットで対応したり、園児の入退園管理をDX化したりしているのですが、いずれも利便性の高い通信環境があるからこそ実現できることです」(川崎氏)
すでに光回線を整備している企業が、新たにhome 5Gを追加するケースもあります。外回りの営業職員が多い企業で、外回りを前提に社内ネットワークを設計している場合は、オフィスに戻って一斉に接続するとネットワークの負荷が過度に高まり、一時的な「ネット渋滞」が発生してしまいます。スマートフォンのアプリやノートパソコンのOSはアップデートの頻度が多く容量も大きいため、home 5Gに接続する運用を行い、業務への影響を回避しているのです。
以上のように、さまざまな業種・業態においても、home 5Gの利便性を活かすことで早期にネットワーク環境が整うため、ユーザーは課題解決に集中することができます。
もしもの故障時にも安心の先出し対応
通常、スマートフォンが故障すると最寄りの「ドコモショップ」での対応となりますが、ドコモビジネスのhome 5Gに関しては、電話で故障診断を受けることができ、機器の故障であった場合は、先出し対応ですぐに代替機を発送します。一般的なIT機器と同様の対応フローであり、ビジネス用途でも利用しやすいといえるでしょう。
つながらない、動作がおかしいといった、緊急時の対応についても気になるポイントはありますが、「まずはドコモの携帯電話から『113』でつながる『ドコモ113センター』にお問い合わせいただければ、問診をもとに原因を切り分けて対応します。また、法人営業担当がついている場合には、お客さまサポートをいたしますのでご安心ください」と川崎氏は説明します。長く培ってきたサポート体制が、home 5Gでも生かされています。
「高速インターネット環境があればビジネスを広げられるにもかかわらず、これまで光回線敷設の制約で通信環境をあきらめていた企業も少なくないはずです。home 5Gでこうした課題を解決できる可能性もありますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います」(川崎氏)
home 5Gについて詳しくはこちらから
*1:ご登録いただいた住所以外ではお使いいただけません。
*2:ネットワークの混雑状況により、通信が遅くなる、または接続しづらくなることがあります。
*3:5Gの提供エリアは一部に限られます。Wi-Fi側の伝送速度は最大4804Mbpsとなります。(規格上の最大値)
*4:通信速度は、送受信時の技術規格上の最大値であり、実際の通信速度を示すものではありません、ベストエフォート方式のため、お客さまの通信環境により実際の通信速度は変化します。
*5:「eximo」「irumo(0.5GBを除く)」の契約者が対象です。
こちらの記事は2023年9月13日インタビューに基づく内容です