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【岡田武史】組織を成功へ導くカギは
「キャプテンシップ」(後編)

【岡田武史】組織を成功へ導くカギは「キャプテンシップ」(後編)

日本各地からU30の若者たちが集まり地域課題解決に挑むプログラム「Bari-Challenge University」(BCU2024)が、愛媛県今治市で開催されました。発起人であり、BCUの学長を務めるのは、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏です。岡田さんは長年の環境問題への危機感から、VUCAの時代を生き抜くための次世代のリーダー育成に取り組んできました。岡田さんはこれからの時代には、リーダーシップの先を行く「キャプテンシップ」が重要だといいます。今後、変わりゆく社会を生きていくために、私たち一人ひとりが意識すべきことは何なのでしょうか。BCU2024の中で、参加者に向けて実施された岡田氏による「リーダーシップ論講座」の様子をお届けします。

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目次

桃太郎はリーダーのロールモデル

岡田さんは、リーダーシップの本質について興味深い視点を示します。

岡田「実はリーダーというのは、『自分がリーダーになりたい』って最初から思ってるわけじゃないんです。桃太郎は鬼を退治すると言って、動物たちがついてきたでしょう。あれがまさしくリーダーの姿。
リーダーというのは、『自分がトップに立ちたい』って思う人じゃなくて、『みんなをより良い未来へ導きたい』っていう強い気持ちを持っている人なんですよね」

岡田さんによれば、人が誰かについていこうと心から思うのは、その人の財力や知性ではありません。

岡田「大事なのは、私利私欲のためでなく、純粋に夢や目標に向かって死に物狂いでチャレンジしているかどうか。そういう姿を見たときに、人は自然と集まってくるもの」

(イラスト:yuoak / gettyimages)
(イラスト:yuoak / gettyimages)

さらに、岡田さんは真のリーダーシップの核心に迫ります。

岡田「格好つけたり、うまく見せようとしたりせず、ありのままの自分で生きること──。
私もまだできてないし、おそらく、死ぬまでできないのかもしれない。でも、真のリーダーが目指すべきは、そこなんじゃないかと思っています」

組織を成功に導く「マネジメント」の力

岡田さんは、リーダーシップとマネジメントの違いについても言及します。

岡田「いくら高い志があったとしても、それだけでは組織を円滑に回すことはできません。リーダーシップだけあって、マネジメントができなかったら話にならないですから。
よくリーダーシップとマネジメントというのはいろいろな解釈があるけど、私は異なるものだと思っています」

岡田さんは、マネジメントの個別性についても強調します。

岡田「同じことを言って、同じ練習をして、同じ結果になるんだったら、オシムさんの横にいたコーチはみんな素晴らしい監督になってるはず。要は人のまねをするだけでは、成功はつかめないんです。
自分の歩んできた道、経験や価値観によって、100人いれば100通りのマネジメントスタイルがある。
性格、キャリア、容姿、オーラ。マネジメントにはそんな風に自分の生き様が影響するから、誰かと同じマネジメントにはならないはず。重要なのは、いろんな経験を積んで、自分流のスタイルを確立することなんです」

(写真:trendobjects / gettyimages)
(写真:trendobjects / gettyimages)

マネージャーには研ぎ澄まされた「直感」も大切

岡田さんは、マネージャーの重要な資質として「直感」を挙げます。

岡田 「マネージャーにとっての大きな仕事は『決断すること』。答えのない問題に対して、たった一人で全責任を負って決断しなければならないときもあります。
そんなときに、どうやって決めるか。論理的に考えても答えの出ないときには、最終的に直感が大事になってきます」

岡田さんは、直感を磨くためにメディテーション(瞑想)を取り入れているそうです。

岡田「私が決断する時には、2つの選択肢どちらにするかではなく、自分の状態──つまり、雑念がないかを確認し続けます」。

(写真:Yusuke Ide / gettyimages)
(写真:Yusuke Ide / gettyimages)

「正しいか間違いか」の議論が戦争を起こす

岡田さんは、価値判断の方法と社会の状況の関係性について興味深い見解を示します。

岡田「人が価値判断をするときにはいくつかのパターンがあって、これは興味深いことに景気と連動していると言われています。
つまり経済が悪いときは、人間というのは『損か得か』で判断する。経済が良くなってきたら『好きか嫌いか』で判断する。そして頂点から転落し始めたときには『正しいか間違いか』で判断し出すんですよね。
そして、『正しいか間違いか』の時に争いが起きます。だから私は、『美しいか美しくないか』という基準で判断するようにしています」

さらに、岡田さんはチーム作りにおける多様性の重要性を強調します。

岡田「大事なのは、チームのメンバーが一つの共通目的のために、お互いを認め合うこと。
サッカーだったら、『アイツのことどうも好かんけど、絶対点を決めてくれる』とお互いを認め合う。『アイツとはどうもそりが合わんけど、アイツに任せたら絶対止めてくれそうや』とお互いをリスペクトする。
勝利という目的のためにお互いを認め合う。そうしているうちに、チームは一つになっていくんです」

これからの時代に求められる「キャプテンシップ」

最後に、岡田さんは次世代のリーダーシップ像として「キャプテンシップ」を提唱します。

岡田「これからの時代は、そんな風にお互いの違いを認め合い、メンバーの良いところを生かしてチームをゴールに導く『キャプテンシップ』が求められるのではないでしょうか。
従来のリーダーシップは、『自分についてこい!』と命令するタイプだったけど、キャプテンシップは、先頭に立ってリードするんじゃなくて、同じピッチの中で戦いながらメンバーと一緒にチームを率いていく存在を指します」

岡田さんは、これからの時代に必要なリーダーシップの在り方を示唆して、講義を締めくくりました。

岡田「一人では生きていけないこれからの時代だからこそ、多様な個性を受け入れてメンバーを巻き込んでいく『キャプテンシップ』こそが、必要になるんではないでしょうか」

執筆:小林友紀(合同会社企画百貨)
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)
編集:奈良岡崇子

【岡田武史】組織づくりについて(全2回)

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