ホワイトボードによるスケジュール管理の課題
部署内の誰が、今どこにいるのか。現在もオフィスに設置したホワイトボード(行先掲示板、行動予定表)で従業員の出退勤や在席場所、訪問先、出張予定など、スケジュール管理を行っている企業は少なくありません。
社内外からの問い合わせのほとんどがオフィスの電話にかかってきた時代は、こうしたホワイトボードでもそれなりに対応することが可能でした。
たとえば、お客さまから「○○さんをお願いします」と電話がかかってきた際に、本人が不在だったとしてもホワイトボードを見れば、「ただいま会議中で○○時頃に席に戻ってくる予定ですので、折り返しお電話をさせていただきます」と対応することができます。
しかし、そもそもオフィス内でしか利用できないホワイトボードでは、情報更新が遅れてしまう、リアルタイムにスケジュールを共有できないといった問題が発生します。
たとえば当初の予定を急に変更して顧客先に直行してしまった担当者がミーティングの時間になってもあらわれず、現在の状況も居場所もわからないといったことは、どんな会社でもよく起こっている“あるある”の問題ではないでしょうか。
特にリモートワークが当たり前となった昨今、従業員は必ずしもオフィスを起点に行動しなくなっており、ホワイトボードで各自の行動やスケジュールを把握することはますます困難となっています。もはやホワイトボードは、時代にそぐわない遺物になりつつあるといって過言ではありません。
グループウェアのスケジュール管理機能で課題解決
さまざまな場所で働いている従業員の行動やスケジュールを把握するために、まず検討すべきはやはりデジタルの活用です。
最もおすすめしたいのは、クラウド型のグループウェアです。具体的にはグループウェアに搭載されている「カレンダー機能」を活用することで、関係者全員がオンライン上でスケジュールを管理・共有することが可能となります。
クラウドならではの機能で、PCやスマートフォンを使ってどこからでもアクセスし、必要なメンバーのスケジュールを確認したり、自分のスケジュールを変更したりすることができます。こうしてリアルタイムに情報を共有することで、部署内やプロジェクト内のよりスムーズな連携とチームワークを実現します。
主要なスケジュール管理機能の特徴
クラウド型グループウェアの代表的製品として Google Workspace とMicrosoft 365を取り上げ、それぞれのカレンダー機能を紹介します。
・Google カレンダー
Google Workspace
で提供しているカレンダー機能です。スマートフォンでも普及している個人向けの
Google
カレンダーとほぼ同じユーザーインターフェースで操作することができます。個人向け
Google
カレンダーとの違いは、組織内に限定してカレンダーの公開・非公開を設定したり、予定の詳細を表示するか時間枠だけを表示するかを選択したりすることもできます。また、カレンダー上で会議室や設備の予約を行うことも可能です。
便利な使い方として、スケジュールを作成する際に Google Workspace の管理者によってあらかじめ登録された会議室や車両、プロジェクターなど施設や設備の空き時間を確認し、同じ画面から直に予約をすることができるようになるため、総務部による会議室や物品の管理の手間を削減できます。
また、会議への召集も簡単です。集めたいメンバーの空き時間を各自のカレンダーで確認して会議詳細を入力すれば、全員へ招待メッセージが一斉送信され、参加可否の応答を画面上で確認することができます。
・Outlook for Microsoft 365
Microsoft
365で提供しているカレンダー機能です。Outlookの予定表画面から自分のスケジュールを管理したり、会議室など共有施設を予約したりすることができます。
自分のカレンダーを複数種類作成することができ、そのうちの任意のカレンダーに他のメンバーの閲覧権限や編集権限を付与することで共有が可能となります。もちろん社内メンバーだけに限らず、社外の相手にも権限を付与すればスケジュールを共有できます。
なお、スケジュールを共有するにあたっては、事前にOutlookでグループを作成するとともに、グループ内の内容を確認できるメンバーの権限を設定する必要があります。たとえば「プライベート」に設定すれば、あらかじめ承認された参加メンバーのみがそのグループ内の内容を確認することができ、「パブリック」に設定すれば、組織内の全員にグループ内のスケジュールが公開されます。
・Microsoft Planner(参考情報)
Microsoft
365では前述したシンプルなカレンダー機能のほかに、チームやプロジェクトのより高度なコラボレーションを支援するMicrosoft
Plannerと呼ばれるタスク管理機能も提供しています。
プロジェクトの各タスクについて、誰が担当しており、進捗はどうなっているのかなど、グラフに可視化して把握することができます。これにより納期が遅れそうなタスクや作業が集中している担当者などをチェックし、チーム内で負荷分散やスケジュールの見直しなどを行うことができます。
まとめ
コロナ禍を経て従業員の働き方が多様化し、チームコラボレーションが企業の成長にとって不可欠となった昨今、スケジュールは個人で管理すればすむ時代は終わりました。上記で紹介した Google カレンダーやOutlook for Microsoft 365などのツールを活用すれば簡単に解決できる業務課題ですので、デジタル化への第一歩として手軽に始めてみてはいかがでしょうか。