従来型AI
従来型AIは、特定の機能や目的に特化していました。こうしたAIは「ANI」(Artificial Narrow Intelligence、特化型AI)とも呼ばれ、たとえば、画像データから製品の良品・不良品を判断するAIや、音声データをテキストに変換するAIなどがこれに該当します。現在、最も一般的に利用されているのはこの従来型のAIです。
AGI(Artificial General Intelligence:汎用型AI)
「AGI」は、さまざまな知的課題を解決できる汎用的なAIを指します。従来型のAIとは異なり、人間と同様の知識・能力を持っており、複数のタスクに対応したり、柔軟な問題解決や創造活動をおこなったりすることができます。また、自ら学習し、経験を通じて知識を獲得することも可能で、未知の問題に対しても自ら考え試行錯誤しながら解決できるとされています。人間に近い知的活動を実現するため、現在AGIの開発が活発に進められています。一部では、将来的に意識や感情を持つ可能性も指摘されています。
ASI(Artificial Super Intelligence:超知能AI)
「ASI」は、AGIからさらに進化したものであり、人間の知能を超える能力を持つAIを指します。自律的に学習し続ける機能を持ち、時間の経過による知識の劣化もないことから、将来的には人間を超える知的能力を持つと期待されています。米国のAI研究者レイモンド・カーツワイル(Raymond Kurzweil)氏によれば、2045年にはASIが登場し、科学技術が急激に進化する「テクノロジカル・シンギュラリティ(技術的特異点)」が訪れると予測されています。この「テクノロジカル・シンギュラリティ」とは、AIの能力が人間の知能を大幅に超え、技術革新が加速度的に進むことで、人間の予測を遥かに超えた変化が社会にもたらされるという概念で、このころには、AIが人間と同等、あるいはそれ以上の知能を持つようになり、AI自身がさらに高度なAIを開発するようになると予測されています。
各AIの種類についての違い
上記で説明した通り、従来型AI、AGI(汎用型AI)、ASI(超知能AI)は、それぞれ異なる特徴を持ち、AI技術の進化段階を示しています。これらのAIの違いをより深く理解するために、汎用性、学習能力、問題解決能力、意識・感情といった複数の観点から比較してみましょう。
従来型AI | AGI(汎用型AI) | ASI(超知能AI) | |
---|---|---|---|
特徴 | 特定のタスクや分野に特化したAI | 人間と同様の知識・能力を持ち、複数のタスクをこなす汎用的なAI | 人間の知能を超える能力を持つAI |
主な利用分野 | 音声認識、画像認識、翻訳、診断など | 人間のような柔軟な問題解決、創造活動 | 科学技術の進化、地球規模の課題解決 |
汎用性 | 特定のタスクにしか対応できない | 複数のタスクに対応できる | 人間が想像もつかないような広範囲のタスクに対応できる |
学習能力 | 与えられたデータにもとづいて学習 | 自ら学習し、経験を通じて知識を獲得 | 人間を遥かに凌駕する速度で自律的に学習 |
問題解決能力 | 事前に定義された問題を効率的に解決 | 未知の問題も、自ら考え試行錯誤しながら解決 | 人間では解決できないような複雑な問題も解決 |
意識・感情 | 意識や感情を持たない | 意識や感情を持つ可能性 | 意識や感情を持つとすれば、人間とは全く異なる形である可能性 |
このように、従来型AI、AGI、ASIはそれぞれ異なる特徴を持ち、AI技術の進化段階を表しています。現在のAI研究開発の中心は従来型AIですが、AGI、ASIの研究も将来のAI社会を見据えて重要な取り組みとなっています。
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※本記事は、2024年10月時点での情報にもとづいて作成しています。