Tier(ティア)とは、直訳すると段、列、階層を意味します。Tier1/Tier2/Tier3は、自動車業界、建設業界などで用いられる場合は、多階層からなるビジネスプロセスのポジションを指します。たとえば自動車業界の場合、大元のメーカーから見てダイレクトに取り引きするシステム企業がTier1、システム企業が取り引きする半導体企業がTier2、さらに半導体企業が取引する素材企業がTier3となります。
あるいはコンタクトセンター、ヘルプデスクといったカスタマーサポートの領域では、ユーザーからの問い合わせを受けるオペレーターがTier1、オペレーターが回答できない問い合わせを担うスーパーバイザーがTier2、スーパーバイザーが対応困難な問い合わせを担うエンジニアがTier3というフローになります。問い合わせのレベルが高くになるほど上位のTierにシフトしていきます。
ISP(インターネットサービスプロバイダ)の領域では、Tier1となる国内大手プロバイダの配下に、いくつかのTier2プロバイダが接続し、さらにその配下にTier3プロバイダが接続する構造になっています。Tier1プロバイダは、配下にあるすべてのプロバイダの経路情報を持っており、これらの経路情報を集約して、他の世界中のTier1プロバイダと相互接続を行い、各端末・機器の接続性を確保しています。インターネットでは、多くのネットワークが複雑に接続して構成されており、ネットワークによって通信容量、混雑度などが異なります。Tier1プロバイダが全体の経路情報を把握し、大量の通信を担うことでインターネット接続が全体最適化され、世界中のユーザーが快適にインターネットを利用できるようになっています。