プロンプトは、コンピューターが命令の入力待ちの状態を表す記号やメッセージであり、入力促進記号とも呼ばれています。プロンプトにはキーボードでコマンド（命令）するシステムツール「コマンドプロンプト」と、AIが出力を生成するための指示文「AIプロンプト」とがありますが、ここでは、「AIプロンプト」について説明します。

ChatGPTをはじめとする生成AIが台頭することにより、AI技術は飛躍的な進歩を遂げています。生成AIがさまざまなコンテンツを生み出すためには、最適な指示や命令を送って生成の精度を上げるAIプロンプトの存在が欠かせません。これはユーザーが入力する指示や命令そのもののフォーマットを指します。

生成AIにプロンプトを用いることで、さまざまな作業を実行できます。たとえば、文章の作成や顧客サポート、一般的な会話に対応するチャットボットの構築などです。また、画像や動画の生成、プログラムのコード生成やコードのエラー修正、さらには歌詞の作成といった多岐にわたるタスクに対応できるのも特長です。

非常に便利な生成AIですが、最大限に活用するためには、質問や命令文などのプロンプトをどう作るかが重要になります。精度の高い回答を得るには、明確な指示出しやAIの役割の明示が大切です。AIの役割とは、たとえばプログラミングを行ってほしい場合は、冒頭に「あなたはプログラマです」と役割を与える工程です。

加えて、#（ハッシュタグ）の活用も重要です。ハッシュタグを使うことでAIは関連するコンテンツを分類し、整理ができます。プロンプトによるAIへの指示内容が明確になり、自分が欲しい回答に近付ける可能性が高まります。ほかにも、よりよい回答を得るため、質問や要求に関連する背景情報を提供したり、段階的にわけて質問するといった方法で、生成AIの精度を高めることができます。

中小企業においても、メール文面の作成、タスクの洗い出し、情報収集、ウェブ広告の作成、アイデア出しなど、生成AIの活用用途は広がりを見せています。慣れていない作業や外注に任せていた業務を、生成AIを使って内製で実施する企業も増えています。最近では、生成AIのなかでも特に自然言語処理を担う言語モデルに対してより望ましい回答を導き出すために、AIへの指示や命令を最適化する技術や手法の「プロンプトエンジニアリング」が注目されています。

一方で、一部の生成AIサービスにおいては、情報漏えいの防止や著作権保護、内容の正確性のために利用上のルールが設けられているものもあります。最新情報や正確性が必要な情報の検索や、数学的な計算などでプロンプトを用いる場合は、求めた回答と異なる可能性があることを留意する必要があります。