AI(Artificial Intelligence、人工知能)は、言語の理解、推理や判断など、それまで人間特有の活動とされてきた知的な活動をコンピューターに代行させようという取り組みで、コンピューターが登場して、間もなくの1950年代から研究が開始されました。
その後、しばらくは主に性能面の問題などから実用化されませんでしたが、ティープラーニング(深層学習)や強化学習といった、学習技術の登場により急速に精度が向上し、2010年代からは各種AIが次々に実用化されました。スマートフォンの顔認証使用されている画像認識AI、スマートスピーカーに使用されている音声認識AIなどはその一例です。
2020年代になり「生成AI(ジェネレーティブAI)」が登場しました。これまでのAIが、インプットされた画像や音声などのデータについて、主に推理や判断を行っていたのに対し、生成AIは自ら新しいデータを生み出す(生成する)ことができます。
例えば「ChatGPT」をはじめとした文章生成AIは、入力した質問にまるで人間が書いたような自然な文章で回答したり、入力したキーワードやテーマに応じた文章を作成することができます。また、「Stable Diffusion」をはじめとした画像生成AIでは、入力したテキストからイメージに合ったイラストやリアルな写真を生成することができます。そのほかにも、プラグラムコード、音声、動画などを生成できるものもあります。
これらを上手に活用し、業務の効率化が可能となる生成AIですが、同時に学習データ収集時における著作権侵害や、入力したデータによる情報漏えいなどの課題もあります。特に生成AIを悪用して政治家など特定の人物が、虚偽の内容を話しているかのような動画を作成する「ディープフェイク」は、全世界を巻き込む問題となりました。
登場時には単独のソフトウェアとして提供されていた生成AIですが、オフィスソフトウェアやメールソフトウェアなどに組み込まれ、ますます身近な存在となりました。それに伴い、2023年5月には日本ディープラーニング協会(以下JDLA)により「生成AIの利用ガイドライン」が策定されるなど、生成AIの適正利用を促進する取り組みも開始されています。また、日本国内での利用拡大が見込まれるなか、NTTの「Tsuzumi」を始めとした国産の生成AIサービスも開始されました。