「サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management、SCM)」は日本語では「供給連鎖管理」といい、サプライチェーン(供給連鎖)全体を一元的に管理することを指します。
サプライチェーンは原材料調達~製造~物流~販売までの物流システムを指します。これまではそれぞれの工程において個々の組織の企業努力により利益の最大化や在庫の最適化、コスト削減が図られてきましたが、サプライチェーンマネジメントではその対象をさらに広げ、組織の壁を超えてサプライチェーン全体の最適化を図ります。
サプライチェーンマネジメントの概念自体は1980年代から存在しましたが、ビジネス環境の変化により現在ふたたび注目されています。具体的にはECサイトの興隆により消費者の商品購入行動が変化したこと、小売店が海外まで顧客層を広げることが容易になったこと、災害や地域紛争などにより既存のサプライチェーンが崩壊するケースが増加したことなどがあります。
特に近年のコロナ禍によりサプライチェーンに大規模な変化が生じたことは再評価が進む契機となりました。
しかし、現実的には製品の製造はメーカーが、物流は物流会社が、販売は小売店が、など、各工程はそれぞれ別の組織が担っています。そこで、サプライチェーンマネジメント体制を構築しようとする際には、まずは組織間での情報共有が必須となります。
大規模企業であれば、サプライチェーン全体を受発注システムで一元管理することにより、AIによる需要予測に応じてスマートファクトリーによる自動生産を行ったり、生産状況に応じて物流手配を行ったり、といったような効率化が可能となります。
また、中堅・中小企業であれば、クラウドサーバーなどを活用して各組織の情報を共有することで「小売店がメーカーの在庫状況や生産計画をリアルタイムで確認できる」「メーカーが消費者の購買行動や商品に対するクレームなどのフィードバックをリアルタイムで把握できる」などが可能となります。