ホワイトボードを使う最大のメリットは「目線」
根本的な話ですが、なぜ会議において、ホワイトボードを使うべきなのかでしょうか?もちろん、ホワイトボードにキーワードを書き出すことで新たな議論やアイデアを生み出す効果が期待でき、会議の論点を整理したり、確認することにも役立てられます。
しかし本書では、ホワイトボードが会議にもたらす最大の効果は、「参加者全員のみんなの目線を上げること」を挙げています。ホワイトボードというひとつのモノを見ながら議論をすることでチームに一体感が生まれ、理解の一致と共有が促進される、というわけです。
ホワイトボードには、必ず記載しておくべきものが存在します。たとえば、「会議のテーマ」も必須事項のひとつ。ゴールを可視化することで、話題が脇道に逸れるのを防ぐ効果があります。加えて、その会議で話し合うことをあらかじめ書き出しておき、そこにチェックボックスを書き加えることで何を話題にすべきかを明確化します。
とはいえ、会議をしている中で、アジェンダには無くても話しておくべき話題が出ることもあります。その際には、ホワイトボードの真ん中ではなく隅の方に書き残しておけば、メインの話題を阻害せず、かつ次回の会議のアジェンダのリマインドとして残しておけます。
会議の目的と、参加者の役割を事前に決めておこう
本書ではホワイトボードの活用法に加えて、会議をスタートする前の「準備」も重要であることが触れられています。
特に必要な準備としては、(1)目的共有、(2)ゴール設定、(3)終了時間の3点をあらかじめ設定しておくことです。日本の会社における多くの会議では、それらが設定されずに闇雲に会議が行われ、だらだらと議事が進行するケースも見られますが、上記3点を設定することで会議にメリハリを持たせた効率的な進行が可能になります。これらの情報をホワイトボードに明記しておくのも良いでしょう。
さらに、会議の参加者の中から、3つの役割を決めておく必要があるといいます。その3つとは、(A)ファシリテーター、(B)タイムキーパー、(C)グラフィッカーです。
ファシリテーターとは参加者に発言や対話を促し、議事をスムーズに進行させるための役割です。要は「司会者」のような役割です。ファシリテーターの仕事は「みんなの発言を引き出す問いかけ役」であるため、積極的に参加者に問いかけて、発言を活性化していく必要があります。たとえば、話を広げたい場合には「ほかには?」、より深い知見を聞きたい場合は「具体的には?」「たとえば?」といったように深堀りしていきます。
2番目のタイムキーパーとは、その名の通り会議の時間を守るために存在します。単に終了時間をリマインドするだけではなく、「定刻通りにスタートすること」「発言のルールを決めること」「時計やアラームなどを用意すること」といった、会議の時間全般を管理する役回りを担っています。
最後の「グラフィッカー」が会議の参加者の意見や話を聞き、論点をまとめてホワイトボードに書き込む役となります。グラフィッカーの仕事は、前項で挙げたようなホワイトボードに必ず記載しておくべきものを記載することはもちろん、会議で出た話題を「5W1H」を意識してホワイトボードに書き残すことがポイントとなります。
ホワイトボードには、すべての話題を書き残す必要はありません。後日、会議の説明が求められた際に、そのホワイトボードの内容を見ながら口頭説明ができるレベルで十分です。自分のために書き残すというより、自分以外の誰かのために作成するという考え方が良いでしょう。
以上の三役をあらかじめ決めておくことで議事のスムーズな進行が可能になり、より生産性の高い結果が得られるといいます。なお、この三役は必ずしも別人が行う必要はなく、場合によっては一人で数役、または全役を兼務することも可能です。
事前にやるべきことが把握でき、会議中もホワイトボードで議論すべきことが明確になっていれば、会議は必然的に実のあるものになることでしょう。もし実のない会議にうんざりしているなら、一度、事前に準備をしておき、ホワイトボードも積極的に利用してみることをおすすめします。