会社も容認?従業員の個人端末の業務利用は是か非か
コロナ禍でリモートワークへの移行が進み、2020年3月を境に急激に実施割合が急増し、その後も5割以上の高い水準をキープしています。やや調査から時間は経過していますがリモートワークの新しい働き方が定着し、実施率はいまだに高い状況であることは容易に想像できます。
こうした状況のなかで業務における携帯電話の利用率は69%に達している一方、実態としては約3割の企業しか携帯電話の貸与を行っていないようです。このため、在宅勤務や外出時といったリモートワーク下では従業員の個人端末を仕事で頻繁に利用することになり、セキュリティや通話料の負担が課題となっているケースは少なくありません。
多くの企業が携帯電話の支給を行わない一因となっているのが、すべての従業員に端末を行き渡らせるには多額の費用を要することに加え、端末の管理、番号の割り当て、更新管理といったといった大きな稼働がかかることです。この問題を解決する有効な方法の一つがBYOD(「自分のデバイスを持ち込む」という意味のBring Your Own Deviceの略語)で、従業員が個人で所有しているスマートフォンなどの端末を業務に活用する仕組みを指します。
実はBYODはそれほど新しい言葉ではありません。一時期、注目されたこともあったもののセキュリティへの懸念、移行のコストといった問題があり導入を見送る企業が少なくありませんでした。しかし、コロナ禍でテレワークへの移行を加速せざるをえなくなった昨今、固定電話での業務対応といった音声環境に関連する課題を解決する方法として再び注目されつつあります。
BYODを実現することで従業員、企業の双方にメリットが生まれます。まず従業員側は情報管理を1台のスマートフォンに統合することで、公私での端末の使い分けが不要になり業務効率を向上できます。そして企業側はスマートフォン支給が不要になることで購入コストに加えて、端末や番号の割り当てや更新管理といった稼働が抑制できる利点があります。さらにオフィスの固定電話を減らす、あるいは撤廃でき、リモートワークやフリーアドレスといったワークスタイルへの対応が容易になるメリットもあります。
一方でBYODにはデメリットもあります。会社の機密情報が入った個人端末の紛失や盗難に備えた情報漏えいリスク対策が必要です。
BYODに向けて最初に手配すべきはPBXのクラウド化
スマートフォンを活用するBYODへの移行でオフィスの固定電話を撤廃するいくつかのポイントがあります。最初のポイントは「PBXのクラウド化」です。オンプレミスPBXで構成される従来の電話環境をクラウド化することで、さまざまなメリットが生まれます。まず初期費用を抑えてスピーディに導入できること、続いて音声設備など自社固定資産がなくなり運用コストが抑えられること、そしてスマートフォンを内線として利用できるようになることなどです。たとえば、NTT Comが提供する「 Arcstar Smart PBX 」は、PBXやビジネスホンのクラウド化により、設備・保守コストを削減。スマートフォンやPCなど多様なデバイスで、ロケーションを問わず無料で内線電話を利用できます。つまり電話にかかるコスト、稼働を抑えて利便性も大幅に向上できます。
PBXのクラウド化によりスマートフォンを内線として利用できるようになると、基本的には無料で従業員間のコミュニケーションが取れるようになります。さらにNTT Comが提供するIP電話サービス「 Arcstar IP Voice 」と組み合わせることで通話料を抑えられ、スマートフォンからでも会社の代表番号、部署番号からの発着信が可能になります。しかも業務関連の通話料は企業負担にできるため、従業員の端末を利用するBYODへの移行も容易に行えます。PBXのみならず、オフィスのビジネスホン、固定電話も撤廃できるようになるため設備運用の稼働もなくなり、リモートワーク、フリーアドレスへの移行も可能になります。まさにPBXのクラウド化とBYODの合わせ技はいいことずくめといえるでしょう。
さて、BYOD導入の際には端末の紛失・盗難に備えたリスク対策が必須となりますが、この課題の解決策の1つがWeb電話帳です。たとえば、NTT Comの「 PHONE APPLI PEOPLE for ビジネスプラス 」は、クラウド上の内線、外線といった業務用アドレス帳を従業員間で共有して利用できるサービスです。スマートフォンなどの端末に客先の電話番号といったアドレス情報は残らないため、万一の紛失、盗難時でも情報漏えいのリスクが抑えられます。そのほかにも二要素認証などにも対応しているため安心してBYODが利用できます。併せてチャット機能も利用できるため、電話をかけるほどではない連絡事項などを従業員間で円滑にやり取りできるメリットも生まれます。
オフィスの固定電話を全廃したケーススタディを解説
今回、ご紹介したソリューションを実際に導入した際のイメージをご紹介します。まずクラウド上にPBXを置く「Arcstar Smart PBX」によりスマートフォン、PC、IPフォンといったさまざまな端末で内線が利用できるようになります。もちろん、オフィスの固定電話の代表番号だけを残す、あるいはすべて撤廃することも可能です。さらに自宅や外出先のスマートフォンからでもオフィス内と同じ内線番号で発着信できます。社外で利用する端末はWeb電話帳「PHONE APPLI PEOPLE for ビジネスプラス」を利用することで紛失や盗難時のリスクも抑えます。更改期間が残っているオンプレミスPBXをお持ちの場合でも、クラウドとオンプレミスPBXを併用するハイブリッド運用ができるため安心です。外線通話のコストを抑えるなら同時にIP電話サービス「Arcstar IP Voice」の導入をおすすめします。
続いて実際のケーススタディをご紹介します。A社では拠点によって電話環境がバラバラでした。複数キャリアの電話網、複数台のPBXを利用していたため電話の管理にかかるコスト、稼働を抑えたいという課題がありました。加えて将来的なリモートワーク、フリーアドレスの導入も計画しており、この煩雑な電話環境が導入障壁になっていたといいます。
そこでA社では「Arcstar Smart PBX」の導入により電話環境をクラウド上でシンプルに一本化し、管理にかかっていたコスト、稼働を半減。もちろん、通話料の大幅な削減も実現しています。加えて「PHONE APPLI PEOPLE for ビジネスプラス」の導入で安全性を担保しつつBYODに舵を切り、各拠点の固定電話を撤廃。いつでもリモートワーク、フリーアドレスに移行できる環境を構築しています。なお、BYOD導入にあたっては、個人のスマートフォンを利用する対価として会社側が端末利用料を支払う条件で従業員との合意を図ったそうです。
それでは、ここで「PHONE APPLI PEOPLE for ビジネスプラス」の便利なオプション機能をご紹介します。「PHONE APPLI PEOPLE for ビジネスプラス」では提供する内線番号、電話番号のみならず、OCRで読み取った名刺情報を読み込める名刺管理サービスと一体となっているため、社内・社外のコミュニケーションがスムーズにとれるようになります。さらにクラウド上の共有アドレス帳は、部署ごとチームごとなど共有先を適切に設定して利用でき、端末内のメモリーが0件でも誰からの電話かが即座にわかります。
また「PHONE APPLI PEOPLE for ビジネスプラス」では、社内連絡先からアプリ上ですぐに連絡できるトーク機能が利用できます。これにより従業員同士でのグループチャットやファイルの送受信でコミュニケーションの活性化も図れます。さらにトークログのダウンロードにも対応しているため緊密な意思疎通が図れます。つまり電話とチャットの2ウェイコミュニケーションが実現できます。
NTT Comならリモートワーク、フリーアドレスなど働き方改革に貢献できるBYOD環境が手軽に実現できます。オンプレミスPBXによる従来の電話環境の管理にかかる稼働、コストにお悩みなら、クラウドPBXに乗り換えてみてはいかがでしょうか。オンプレミスPBXの更改タイミングが迫っているのであれば、ぜひとも導入をご検討ください。