アフターコロナのニューノーマル時代における、テレワーク・リモートワークをどうすべきか
新型コロナウイルスは、2022年7月に全国で一日当たりの新規感染者の過去最多を記録するなど、ピークを迎えていました。そのタイミングでの東京商工リサーチの調査によると、「現在、在宅勤務・リモートワークを実施している」企業は29.16%となっていて、「実施したが、取りやめた」企業は27.27%となっています。
コロナ禍を機に急速にテレワーク、リモートワーク環境に切り替える必要があったため、十分な準備期間をとれず見切り発車した企業は少なくありません。このため、社内インフラの整備が追い付かなかった、従業員の充足度を満たすことができなかったといった理由で、コロナ禍が一旦落ち着きを見せたタイミングで、テレワーク、リモートワークを取りやめた企業も多いとみられています。
コロナ禍で浸透したテレワーク、リモートワークの取り組みを後戻りさせてはなりません。オフィスワークからのシフトで顕在化した課題をふまえて、まず取り組みたいのは「安全性」「利便性」という2つの観点からネットワーク構成を最適化することです。この観点からテレワーク、リモートワークの環境を整備することは、今後のさらなるSaaS利用拡大はもとより、豪雨、台風といった自然災害を想定したBCP対策などでも効果を発揮します。もちろん、取り組みの主役となるのはIT部門です。
ネットワーク目線で安全性、利便性を考えてみる
オフィスという限定された空間と異なり、テレワーク、リモートワークでは多様なロケーションが仕事場になります。ネットワーク環境をオフィスに集約できなくなるため、オフィス中心のワークスタイルよりも強固な情報漏えいリスクに備える「安全性」を担保する必要があります。すでに業務効率化に向けてSaaSを導入(あるいは今後導入予定)している場合、さらにネットワーク接続の頻度が高くなるため、SaaS利活用の観点からのセキュリティ対策も重要です。どこからでも社員がネットワークで接続できる状況は、どこからでも悪意のある第三者がネットワーク経由で侵入できるということでもあります。アクセスやダウンロードの制限、ウイルス・スパイウェア対策など、ネットワークまわりを中心としたセキュリティ対策の抜本的な見直しを推し進めるべきでしょう。以前よりセキュリティ管理にかかる稼働も大きくなるため、そのリソースをどこから確保するかも検討する必要があります。
社内のIT基盤を管理するIT部門にとってテレワーク、リモートワークに最適なセキュリティ対策を講じることは最優先のミッションです。しかし、IT基盤を利用する社員にとってセキュリティ対策は二の次であり、自宅などのオフィス外でも、オフィスと同等のレベルで快適に仕事ができる「利便性」の高さが優先されます。この利便性を左右するのもネットワーク環境です。テレワーク、リモートワーク環境の運用経験があるIT部門であれば、社員から「チームのコミュケーションを活性化するためにSaaSを導入したい」といった声、あるいはSaaSを導入済みであれば「ネットワーク接続が遅くて仕事にならない」といった要望を受けたことがあるのではないでしょうか。
声をかければ返事がもらえるオフィスとは異なり、さまざまなロケーションに社員が点在する状況では従来のコミュニケーション基盤を大きく見直す必要があります。リアルタイムな意思疎通、情報連携ができるSaaSの導入はオフィスと同等の「利便性」を実現する有効な手段です。しかし、その際にはSaaSの利活用を想定した、遅延のない安定したネットワーク環境の整備もポイントになります。特にテレワーク、リモートワークでは場所によりネット環境にばらつきがあるため通信の安定性、安全性といった観点で平準化する必要があります。これが実現できればテレワーク、リモートワークで働く社員のモチベーション、生産性を上げる大きな一歩になるでしょう。
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逆境をチャンスに変えるニューノーマル時代の働き方へ
現在のビジネスの取り巻く環境を窮地ととらえるか、チャンスととらえるかでIT部門が進む未来は大きく変わってくるでしょう。ここは前向きにチャンスととらえるマインドセットで、IT部門が先導して社内のIT基盤、ネットワーク環境の刷新を推し進めるべきです。まず「安全性」を担保するためのセキュリティ対策については慎重な検討が必要になりますが、対策を回せるリソースが確保できないというのであれば、総合的なセキュリティ運用を専門家にアウトソースすることも視野に入れて考えてみるべきでしょう。
快適なSaaSの利活用に向けてはインターネットと高信頼な閉域ネットワークをハイブリッドに組み合わせ、ネットワークの利便性と安定性を両立させる取り組みが効果的です。加えて社内システムとSaaSなどのインターネット接続を分離するLBOにより、SaaS通信の遅延、切断を解消するという手もあります。さらにテレワーク、リモートワークのネットワーク環境を高いレベルで平準化するのであれば、回線工事不要で容易に導入できるSIMタイプのモバイルサービスがおすすめです。品質、安全性、コストの観点から比較検討を進めましょう。
このようなネットワーク観点からテレワーク、リモートワークの安全性、利便性を高めるサービスは各社から提供されています。たとえば、NTT Comの「クラウドファーストネットワークパック」は、テレワーク、リモートワークでのSaaSなどのクラウド利活用に最適なネットワーク、セキュリティサービスをワンパッケージで提供するサービスです。
アフターコロナのニューノーマル時代を勝ち抜くには、変化を受け入れて前に進む勇気が必要です。IT部門が先陣を切って、素早い決断を下し、迅速にテレワーク、リモートワーク環境を最適化する変革に取り組んでみてはいかがでしょうか。きっと達成後には社員、経営層からのIT部門への大きな賞賛が待っているはずです。
下記「ニューノーマル時代のネットワーク最適化のポイント」では、テレワーク・リモートワークの安全性や利便性を高めたい、といったお悩みを抱える方へネットワーク観点から解決方法をご提案していますのでぜひご覧ください。