学校法人立命館 理事補佐兼学長特別補佐 リスクマネジメント推進室長 立命館大学理工学部教授 深川 良一氏

学校法人立命館 理事補佐兼学長特別補佐
リスクマネジメント推進室長
立命館大学理工学部教授

深川 良一氏

「災害発生時、学生や教職員など学園構成員の安否を速やかに確認するためのシステムの導入は急務でした」

学校法人立命館 総務部 総務課 西能 宏和氏

学校法人立命館
総務部 総務課

西能 宏和氏

「Biz安否確認/一斉通報を導入して初年度ではありますが、目指していたことがしっかり達成できました」

学校法人立命館 総務部 総務課 課長 米倉 潤氏

学校法人立命館
総務部 総務課 課長

米倉 潤氏

「安否確認システムの検討においては、システム部門と総務部などの非システム部門が連携して検討することが重要です」

 

課題

大地震の際に利用できなかった当時の安否確認システム
システム面や使い勝手において大きな課題を認識

1869年に西園寺公望が創始した私塾「立命館」と、その意思を引き継いで中川小十郎が創立した「私立京都法政学校」に端を発するのが「立命館大学」である。学校法人立命館(以下、立命館)は現在、北海道、滋賀県、京都府、大阪府、大分県にキャンパスを有し、2大学、4附属中学校・高等学校、1附属小学校を運営している。

この立命館において、危機管理やその対処、管理体制の整備などを行う中心的な組織として、2020年に設置されたのがリスクマネジメント推進室である。その初代室長である深川良一氏は、私立総合学園として直面するさまざまなリスクへの対応を強化していると語った。

「我々の周りには多くのリスクが存在します。特に西日本は地震の活発期に入っているうえ、集中豪雨や台風などの自然災害もあります。さらに現在では、予想もしなかった新型コロナウイルス感染症のリスクに直面しています。このように数多く存在するリスクへの対応として、学生および教職員といった学園構成員の安否を把握できるシステムは重要になっています」

立命館において、安否確認システムの必要性を認識する出来事となったのが、2011年に発生した東日本大震災であった。この際の安否確認は大きな苦労を伴った経験から、安否確認のための仕組みを検討するワーキンググループが発足する。そして学園の各々の部門において、いくつかの安否確認のシステムが導入されたと西能宏和氏は説明した。

「教職員は人事給与システムをベースとした安否確認システム、附属校ではクラウド型の安否確認サービス、大学の学生向けには既存の学生向けシステムを利用しました。しかし2016年4月16日未明に熊本地震が発生した際、教職員を対象に安否確認システムを初めて本番稼働しようとしたのですが、人事給与システムは24時間365日連続して稼働しているものではなかったため、実際に安否確認を行うまでに大きなタイムラグが生じてしまいました」

また2018年に発生した大阪府北部地震、そして北海道胆振東部地震でも安否確認に手間取った。たとえば北海道胆振東部地震では、北海道江別市にある立命館慶祥中学校・高等学校が影響を受けたことから、導入していたクラウド型の安否確認システムを使って安否確認を行おうとしたが、そのときに初めて使用する職員が多く、使いこなせなかった。

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対策

導入実績などの観点で新たにシステムを選定
マニュアルの充実度やアプリの使い勝手も評価

このような背景から、特に喫緊の課題となっていた教職員の安否確認システムを新たに導入することを決める。この際、将来的に立命館大学と立命館アジア太平洋大学の両方で使う可能性を踏まえて、数万件単位のユーザーで稼働した実績がある製品を選ぶこととした。またデータ更新作業の負担を軽減するために、既存システムと連携できるインターフェイスを備えていることも条件となった。

ユーザーの権限を柔軟に設定できることも、要件の1つに加えている。これには学校法人特有の事情があると西能氏は説明する。「学校組織で組織階層を作ろうとすると、職員の組織と教員の組織、学生が所属する組織の3つの山ができてしまい、一般的な企業の組織体系に合わせるのは容易ではありません」

外国籍の教職員が戸惑うことなく使えることも要件になった。立命館アジア太平洋大学は、学生・教員のおよそ半分は外国籍であり、日常的な学生・教員への連絡事項も日英併記が基本になっている。当然、安否確認システムに対しても日本語と英語のどちらでも使えることが求められた。

これらの条件を満たす安否確認システムとして、最終的に選ばれたのはNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)の「Biz安否確認/一斉通報」だった。事前に検討していた要件を満たしていたことに加え、使い勝手がよかったことも選定のポイントになったと西能氏は述べる。

「安否確認システムは、一般の教職員がログインして、迷わずに使えることが重要です。この点でBiz安否確認/一斉通報は優れていました。またマニュアルが充実していることも選定のポイントでした」

特に立命館が評価したのは、スマートフォン向けに提供されているアプリだった。単に実用的であるだけでなく、「こんな用途でもアプリを活用できる」と発想が膨らむことがすごく大事だと米倉氏は指摘しつつ、具体的なメリットを次のように話した。

「『J-anpi』と連動しているほか、位置情報にもとづいて防災マップを表示するなど、便利な機能が数多く盛り込まれています。このように、利用者が自らインストールしたくなるメリットがBiz安否確認/一斉通報のアプリにはありました」

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効果

新たな安否確認システムを教職員にスムーズに展開
大地震発生時には自動で安否確認を実行するよう設定し、運用を整理

Biz安否確認/一斉通報の導入を決めたのは2021年5月で、そこから導入作業がスタート。Biz安否確認/一斉通報に入力するために、人事データを変換する変換テーブルの作成などで苦労はあったが、NTT Comのサポートもありスムーズに導入することができた。

この導入フェーズでは、教職員がBiz安否確認/一斉通報を使うためのマニュアルを用意したうえ、お問い合わせ窓口も設けている。しかし、お問い合わせは少なかったと西能氏は語った。

「お問い合わせがそれほどなかったため、教職員はBiz安否確認/一斉通報を使っていないのではないかと当初は考えていました。しかし安否確認訓練を実施すると、多くの教職員がBiz安否確認/一斉通報で安否回答をしてくれました。使っていなかったのではなく、多くの教職員がわざわざお問い合わせることなく使えていたというわけです。あらためて使いやすいシステムだと感じました」

Biz安否確認/一斉通報では、あらかじめ設定した震度以上の地震が発生した際に、自動で一斉メール送信やアプリで安否を確認する機能を提供している。この機能を利用し、立命館では、京都府と大阪府、滋賀県に加え、オフィスや学校がある北海道、東京都および大分県で震度6弱以上の地震が発生した際に、自動的に安否確認を行う設定にしている。

「Biz安否確認/一斉通報を導入して初年度ではありますが、目指していたことがしっかり達成できたことで満足しています。今後は教職員におけるBiz安否確認/一斉通報の認知度を高めるための活動を丁寧に取り組んでいきたいと考えているところです」(西能氏)

なお、安否確認システムの導入に悩みがある学校法人へのアドバイスを求めると、米倉潤氏は「システムを管理する側だけがわかっている状態では、いざというときに機能しない恐れがあります。そのため、安否確認システムの検討においては、システム部門と総務部などの非システム部門がしっかり連携して検討することが非常に重要ではないかと思います」と話した。

大規模地震などが発生した際、迅速に安否確認を行えるかどうかは、その後の対応に大きく影響する。安否確認に少しでも不安があるのなら、この立命館の事例も参考にして早急に安否確認システムの整備を検討してほしい。

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導入サービス

Biz安否確認/一斉通報

地震の際、システムから自動で安否連絡を配信できる安否確認サービス。台風や豪雨、豪雪時、感染症対策など、総合的に危機管理をサポート。

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学校法人立命館

学校法人立命館

事業概要
1900年、私立京都法政学校として創設。日本の私立総合学園のなかでも、歴史と伝統をもつ学園の1つでありながら、昨今、わが国でも最も積極的に大学改革、学園創造をすすめる学園として高い評価を受けている。その先進性、創造性は、「自由と清新」という建学の精神に根ざしている。

URL
http://www.ritsumei.ac.jp


(掲載内容は2022年4月現在のものです)


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