町立八丈病院 院長 木村和義氏

町立八丈病院
院長

木村和義氏

国民はすべからく先進的な医療を受けられるべきです。しかし、人口の少ない地域すべてに先進的な大病院を作るわけにもいきません。テレビドラマにもなったように、離島にもその人口規模に応じて病院が建てられていますが、そのすべてが大都市にあるような病院ではないのです。
「医師もスタッフも、都会の病院では信じられないほど、自らの専門領域を超えて医療に携わることが求められます」と話してくださったのが、八丈島で医療に携わっている町立八丈病院の木村和義院長。木村院長は22年前に「1年間だけ、担当を」と乞われて、八丈島に渡ってこられました。以来、ほかに希望する人がいなかったことと、「さまざまな分野を横断して携われることが性に合っていた」ということもあり、離島医療に取り組み続けています。

ヒョウタン型をした八丈島の中央部、わずかな平地部分に空港、そのすぐ横に町立八丈病院があります。

町立八丈病院院長の木村和義さん。

八丈病院。東京の島嶼部唯一の病院だが、全身麻酔を必要とする手術や、心臓カテーテルなどを行うほどの体制はありません。

都心部にありながら、東京島嶼部の医療を担う東京都立広尾病院。屋上にヘリポートを持っています。

 

課題

離島には専門医が少ない
万全を期して意見を聞きたい

日本には400以上の離島があり、東京都にも都心部から約1,000km離れた小笠原諸島をはじめとして、多数の離島があります。東京都の離島の中でも、八丈島にある八丈病院は最大の医療施設です。

八丈病院では、CTスキャナーなどの近代的な設備を多数揃え、勤務されているドクターが領域を超えて奮戦しています。多くの病状について対処が可能ですが、それでも心臓カテーテル手術や全身麻酔が必要な手術はできません。
「緊急時には東京都立広尾病院まで患者さんをヘリコプターで搬送する体制もありますが、搬送には往復約4時間半を要し、また多大な費用もかかります。できれば早期に診断し、旅客機で移動できる段階で都心の病院に移動することが望ましいのです」と木村院長は語ります。

八丈病院にもさまざまな検査機器があり、島にいるドクターの専門領域でない場合には都内の病院の専門医の意見を聞くことができる仕組みがあります。しかし従来の送信方法では、CTスキャナーなどの静止画で見ることのできる画像を共有することはできますが、心臓や弁の動きをリアルタイムに評価することが重要な心臓のエコー診断では専門医への相談ができませんでした。

「分業でなく広い範囲の医療に携わらなければならない島嶼医療にやりがいを感じています」と語る、木村院長。

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対策

Zao-Xを使ってエコー動画を転送
低遅延だから解決できる

エコーでの診断は、技術的に容易なものではありません。単純に動画を撮って送信するというような従来の共有方法では、正確に症状を診断することが難しかったのです。
「弁の動きのテンポや様子を見ることで、心臓の異常の具合を診断するのですが、そのためにはリアルタイムで画像を見ながら『もうちょっと弁が見やすい右側から』、『もうちょっと上の方を』という操作が必要なのです」。と語る、木村院長。

そこで、ドコモビジネスのZao-Xを使って八丈病院と広尾病院を接続し、遅延なく画像伝送できるようにしました。
「その結果、『もうちょっと右を見たい』という要望に、リアルタイムで応えてくれるようになりました」

「エコーはリアルタイムの画像で見ることが重要で、施術者とのやりとりが大切です」と、木村院長は語ります。

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効果

ヘリ輸送の高コストをかけなくても
診断ができる

離島医療の課題は、ほかにもさまざまなものがありますが、八丈病院と広尾病院のZao-Xを使った連携は解決への1つの答えで、大きな一歩だと言えるでしょう。

木村院長は「これまで我々だけでは、都心の病院に移送すべきか迷う場面もありました。『念のため』と、都心に行ってもらうのは、体力的にも経済的にも患者の負担になる場合もあります。このシステムのおかげで、正確な判断をすることができるようになりました」と語ります。

一方、広尾病院循環器科の深水誠二部長は、「現在の制度では、遠隔での診療支援に対しては、診療報酬が支払われないという課題もあります」と話します。これらは制度として解決していくべき問題でしょう。

しかし、将来的に制度が改革されて、技術が進歩すれば、低遅延の回線を使っての遠隔手術を行うなど、さらに離島医療を改善していくことも夢ではないかもしれません。

八丈病院から転送されたエコー動画を見ながら、遠隔で診断を行う広尾病院循環器科の深水誠二部長。

八丈病院の制服の背中。島嶼医療の中心としての責任感を感じるデザインとなっています。

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