シフトプラス株式会社
業界最安値のストレージとセキュアな通信接続で
80自治体のふるさと納税の申請処理を大幅に効率化
シフトプラス株式会社
代表取締役社長
中尾裕也氏
「マイナンバーを扱うサービスは、ふるさと納税をはじめ、“LGWAN(総合行政ネットワーク)”への接続が前提条件です。NTT Comのストレージ、ネットワークなどを利用することにより、国が求める高い信頼性を担保できると考えています」
課題
ふるさと納税の新ソリューション開発へ
課題となったのはデータ保管のコスト
シフトプラス株式会社(以下、シフトプラス)は、自治体の業務を改善するスペシャリストとして幅広いサービス、ソリューションを提供している。特に、ふるさと納税管理システム「LedgHOME(レジホーム)」は、340以上の自治体が導入(2021年2月末時点)し、全国寄付額の半分近くにあたる約3,000億円の寄付金を管理。ふるさと納税の分野で圧倒的なシェアを獲得している。
同社は、新しいソリューションの開発にも意欲的だ。従来、ふるさと納税は、寄付者が申請する際も、それを自治体が処理する際も、紙ベースの煩雑な作業が必要だった。そこで、シフトプラス代表取締役社長の中尾裕也氏は、新たなソリューション開発を決意したと語る。
「ふるさと納税には、確定申告が不要になる“ワンストップ特例”という便利な申請制度があります。ところが、寄付者には、申請書類へのマイナンバーの記入、押印、さらには、免許証など本人確認資料のコピーを郵送するといった手間がありました。寄付先の自治体からも、受け取った申請書類の不備をチェックし、控除用の書類を作成するための負担が大きいという声が寄せられていたのです」
「motiONE(モーション)」は、こうしたワンストップ特例の申請処理の流れを改善するためにシフトプラスが開発したソリューションだ。従来紙ベースで行われていた寄付者の申請と自治体の処理をデジタル化し、寄付者の個人情報もセキュアに管理できる。しかし、その開発には大きな問題があったという。
「当社のIT基盤は、閉域接続で利用するプライベートクラウドをストレージに使用していたのですが、データ保管量を試算すると、想定を超える運用コストが発生することがわかったのです」(中尾氏)
運用コストの高騰は顧客となる自治体への提供価格にも響きかねず、ソリューションの競争力にも大きな影響を与えてしまう。この状況を打破するために、同社ではIT基盤の見直しに着手する。
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対策
業界最安値のクラウドストレージへ移行
閉域接続でセキュリティの課題も解決
シフトプラスのIT 基盤は、NTTコミュニケーションズ(以下、NTTCom)が一括して構築してきた。その理由を中尾氏は、次のように説明する。「もともと、クラウドサービスは、NTT Comを含め複数の事業者を利用していたのですが、自治体のお客さまから“クラウドサービスやNTT以外の事業者は、本当に大丈夫なの? ”と、不安視されることが少なくありませんでした。そこで、NTT Comのクラウドを前面に押し出したところ、見違えるようにお客さまの反応が変わり、多くのシステムを受注できるようになったのです」
クラウドストレージの選定にあたり、シフトプラスは他社サービスの検討も行った。しかし、看過できない懸念があったという。「当初検討したサービスだとコストが膨らみすぎ、ソリューションのローンチが難しいとわかったのです。また、別の事業者に切り替えると、再び自治体のお客さまに説明する必要があり、過去と同じ轍を踏みかねません。しかも、ゼロから移行準備をする稼働や期間を考慮すると、NTT Comで完結する従来のスタイルがベストだと判断しました」(中尾氏)
こうして、シフトプラスは、NTT Comにストレージを含むIT 基盤の見直しを打診。クラウド型ストレージサービス「Wasabi オブジェクトストレージ」(以下、Wasabi)の提案を受け、導入を決定した。
Wasabi は、業界最安値水準の利用料金に加え、アップロード、ダウンロード、APIリクエストなどのデータ転送を無償で提供。加えて99.999999999%の高い堅牢性を持つサービスだ。「高い信頼性が担保されつつ、当初検討したサービスより圧倒的に運用コストを抑える提案をいただいたことが選定の理由です」(中尾氏)
図版 システム構成イメージ
Wasabi はインターネット接続で利用するパブリッククラウドサービスであるため、同時に「Flexible InterConnect(以下、FIC)」を提案されたことも決め手となった。FIC とは、顧客の拠点と各社クラウドサービス、顧客のデータセンター間を閉域でセキュアに接続する次世代インターコネクトサービスだ。最大10Gbpsの広帯域接続に対応し、大容量データが安定してやりとりできる強みもある。
WasabiとFICの同時導入により、motiONEは理想的なIT基盤を手に入れたのだった。
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効果
全国80自治体の導入が決定
マルチクラウド接続で広がるビジネスチャンス
2020年9月、ふるさと納税の混み合う年末年始を見据え、シフトプラスはmotiONEの提供を開始した。LedgHOMEを利用する自治体を中心に、導入が相次いだという。
motiONEを導入すると、ふるさと納税のワンストップ特例申請者は、スマホなどで撮った書類、免許証をシステムにアップロードするだけでよくなる。「加えて、書類のチェック、データの作成は自動で行われ、自治体はそれをダウンロードするだけでいいのです。導入されたお客さまからは、作業が圧倒的に楽になったという声を多くいただいています。すでに、ふるさと納税受入額上位の都城市、紋別市、南さつま市など、80自治体への導入が決まっています」(中尾氏)
ちなみに、LedgHOMEを利用する自治体から届いたワンストップ特例申請の依頼は、約170 万件、そのうち約4 割、70 万件以上がmotiONE経由だったと中尾氏は説明する。「寄付者、自治体のお客さまのみならず、バックヤードでふるさと納税の管理を行う私たちの業務も大幅に軽減されました。まさに“三方よし”の効果を実感しています。当初、懸念していたデータ保管のコストが1/3ほどに抑えられたことで低価格が実現できたことも、お客さまの導入のハードルを下げる追い風になったと思います」
年末年始の利用者が殺到する繁忙期も、motiONE を支えるWasabiとFICのIT基盤は安定して稼働しているという。「当社は、自社のVPNからFIC でストレージに閉域接続できる仕組みを高く評価しています。このセキュアな環境を利用して今後は全国拠点への業務分散、さらにはパートナー企業を増やし対応のキャパシティを拡大していく計画です」(中尾氏)
さらにFIC のマルチクラウド接続の強みを活かし、他社クラウドサービスと連携による新たなビジネスにも挑戦していきたいと中尾氏は続ける。「現在、多くの自治体では予算が削減され、人材も不足しており、さらなる業務の効率化が求められています。多くの先進技術を持つNTT Comと一緒に、弊社以外の企業も巻き込んで自治体の健全運用に資するソリューションを提供したいと考えています」
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シフトプラス株式会社
事業概要
2006年に設立。ストラテジー、コンサルティング、デジタル、テクノロジー、オペレーションという5つの領域で自治体向けサービスを提供している。ふるさと納税管理システム「LedgHOME(レジホーム)」は、340自治体以上の提供実績を持つなど、各自治体のデジタル化を強力に推進。地方のイノベーション創出、より豊かな生活と仕事の実現に取り組んでいる。
URL
https://www.shiftplus.co.jp/
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(掲載内容は2021年3月現在のものです)
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