大阪ガスマーケティング株式会社 リビング営業本部 CX推進部 カスタマーサポートチーム 福岡 浩仁 氏

大阪ガスマーケティング株式会社
リビング営業本部 CX推進部 カスタマーサポートチーム

福岡 浩仁 氏

「従来はPBXのデータから回線数を導いていましたが、CXサポートの生のトラフィックデータから回線数不足が判明し、つながりやすさを高めるために接続先CH数の増設を行いました」

 

課題

都市ガス小売りの全面自由化を背景に設立、
数十番号のフリーダイヤルが大阪ガスから移管

大阪府を中心に2府5県[*1]に都市ガスを供給している大阪ガス。その100%子会社として、家庭用ガスおよび電力の販売と、ガス器具の販売やリフォーム事業を手掛けているのが、大阪ガスマーケティング株式会社だ(図1)。2017年4月に都市ガス小売りの全面自由化が始まり、ガス製造部門、小売部門、導管部門の会計分離および法的分離が義務付けられたことを受けて、2019年に設立された。

大阪ガスマーケティングでは0120から始まるフリーダイヤルを数十番号運用している。そのほとんどが大阪ガスから移管された回線だ。

代表的な番号が「大阪ガスお客さまセンター」の「0120-x-94817」である。移転や引っ越しに伴うガスや電力の使用開始と中止、料金の問い合わせ、ガス器具の修理依頼などの総合窓口だ。中間の「x」は地域別を表し、大阪市内が「0」、大阪府南部と和歌山県が「3」など、全部で5番号が設けられている。ちなみに後半の「94817」は、「暮(9)らし(4)のパ(8)ート(10)ナ(7)ー」の語呂合わせだそうだ。

「数十回線あるフリーダイヤルのうち、お客さまからの入電が最も多いのが0120-x-94817で、この5番号だけで全体のおよそ9割を占めています」と、大阪ガスマーケティングの福岡浩仁氏は説明する。「暖房器具を使う冬の間と、引っ越しの多い3月から4月に入電が増加する傾向があります。また、引っ越し手続きの場合は、現住所や新住所をお尋ねしたり、移転先でのガス開栓の手配も必要ですから、1回の通話が数分から10分以上に及ぶことも特徴で、通話時間が長いなかでつながりやすさをいかに確保するかが課題となっています」(福岡氏)。

[*1] 大阪府、京都府、和歌山県、奈良県、兵庫県、滋賀県のそれぞれ一部

図1. 大阪ガスグループ(Daigasグループ)において家庭向けガスの販売などを担う大阪ガスマーケティング(図提供・大阪ガスマーケティング)

図1. 大阪ガスグループ(Daigasグループ)において家庭向けガスの販売などを担う大阪ガスマーケティング
(図提供・大阪ガスマーケティング)
https://www.daigasgroup.com/recruit/osakagas-marketing/atfirst/ から】

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対策

「大阪ガスお客さまセンター」の5番号を横串で分析するために、
NTTコミュニケーションズの「CXサポート」を導入

同社では、サービス品質を維持するために、所定の応答率が維持されるようにコールセンターの人員配置を決めている。「応答率はPBXのデータで確認するとともに、各フリーダイヤル番号毎にの『カスタマーコントロール』を使ってCSV形式でトラフィック・データを取得し、予測値との乖離をチェックしていました。機能としてとくに不足はありませんでしたが、『カスタマーコントロール』で取得できるデータは回線単位ですので、0120-x-94817の5番号を横串で見るには人手による集計作業が必要で、かなりの負担になっていました」と、福岡氏は従来の課題を述べる。

応答率をはじめとする各種分析作業の効率化を検討していた同社が導入したのが、NTTコミュニケーションズが提供する「CXサポート」である(図2)。「『CXサポート』には複数番号を横串で分析ができるなどのメリットがあることがわかり、2021年12月のリリースと同時に無料版を導入し、2022年4月に有料のスタンダードプランに切り替えました」と福岡氏。

ここでCXサポートについて簡単に説明しておこう。フリーダイヤル番号ごとに提供される「カスタマーコントロール」は、コールの振り分け(ルーティング)など、フリーダイヤルに関連した設定が中心だ。トラフィックデータも取得できるが、あくまで回線単位のデータになる。

一方のCXサポートは、0120または0800から始まるフリーダイヤルと0570から始まるナビダイヤルの分析を目的に開発されたサービスである。契約中の複数回線をまたいで分析できるのが特徴で、分析機能もスタンダードプランの場合で12種類が用意されている。ユーザーが持つデータと組み合わせた分析も可能だ。

図2. NTTコミュニケーションズが提供する「CXサポート」サービスの利用イメージ

図2. NTTコミュニケーションズが提供する「CXサポート」サービスの利用イメージ
https://cloud.watch.impress.co.jp/img/clw/docs/1374/426/html/nttcom_o.png.html から】

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効果

CXサポートの分析結果から
回線数(接続先番号)の不足が判明し、
回線を増設してつながりやすさを向上

CXサポートの導入によって、次のようなメリットが得られていると福岡氏は説明する。まず、分析作業の効率化だ。「従来は数時間はかかっていた分析作業が、CXサポートの画面を開くだけで済むようになりましたので、体感的には1/10程度に短縮されたように感じます」。

分析作業が効率化されたことで確認の頻度も上がったという。「今までは一カ月に1回か2回程度しか確認していませんでしたが、CXサポートを使い始めてからは基本的な情報は毎日チェックするようになりました」と福岡氏は述べる。

なによりも、同社が重視している「大阪ガスお客さまセンター」のつながりやすさの改善に効果を上げているという。

まず、必要な回線数(フリーダイヤルから接続される接続先ch数)の見直しが挙げられる。「従来はPBXのデータから回線数を導いていましたが、CXサポートの生のトラフィックデータから回線数不足が判明し、つながりやすさを高めるために接続先ch数の増設を行いました」と福岡氏。

CXサポートは基本データ画面(直近3カ月トラフィック画面)に曜日別の入電数が表示される。これまで月曜日の午前中が多いことは経験としては分かっていたが、理由は不明だが水曜日も多いことが分かり、コールセンターの人員配置も見直した。

また、同社は顧客対応品質の改善を目的にIVR(自動音声応答システム)の組み換えを不定期に実施している。利用頻度の高いメニューを一番最初に置いたり、言い回しを微調整することで、利用者の迷子を減らしたりストレスを軽減することが目的だ。CXサポートによって、IVR組み換え前後の比較もしやすくなった。さらにCXサポートの「通話時間他分布」機能によって、平均通話時間やIVR接続時間の定量化も可能になった。

以上は0120-x-94817を対象にした取り組みの一端だが、同社では大阪ガスが過去に販売してきたガス器具などのリコールあるいは修理・点検用の回線も数多く抱えていて、なかにはおよそ20年前に告知した番号も残してある。CXサポートのグループ化機能を使って、そうした番号を含む数十回線ものフリーダイヤルの管理を行っている。

「お客さまをお待たせしないことを常に念頭に置いて各フリーダイヤルを運用しています。CXサポートはユーザーデータと合わせた分析も可能ですので、今後は気温や人口分布などの情報と紐付けながらコール予測の精度を上げて、つながりやすさを含めたサービス品質の向上に努めていきます。ビジネスパートナーであるNTTコミュニケーションズからの音声データの分析などの提案にも期待しています」と福岡氏は総括した。

図3. CXサポートの「同時適正回線分析」画面の例。赤は同時接続数、緑は適正回線数を表す(大阪ガスマーケティングの実際のデータではありません)

図3. CXサポートの「同時適正回線分析」画面の例。赤は同時接続数、緑は適正回線数を表す
(大阪ガスマーケティングの実際のデータではありません)

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大阪ガスマーケティング株式会社

事業概要
家庭向けのガス・電気の販売および保守、ガス機器などの販売、およびリフォーム事業を手掛ける。

URL
https://www.osakagas-marketing.co.jp/index.html


(記載内容は2022年12月末現在のものです)


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