総務部新庁舎建設・財産管理課 課長 阿部正行氏

総務部新庁舎建設・財産管理課
課長

阿部正行氏

「今回の成功要因は、電話を所管する部署の主導でITを所管する部署を巻き込んで進められたことです。電話を所管する部署が自ら腰を上げる、あるいは腰を上げさせる動機づけが重要だと思います」

総務部危機管理課 課長補佐 佐藤充浩氏

総務部危機管理課
課長補佐

佐藤充浩氏

「今回の仕組みがしっくりきたのはMicrosoft365を利用している前提ですが、いまのところ大きな不具合もなく、得られるメリットも多いので、ぜひ全国の自治体のみなさんにもおすすめしたいです」

総務部新庁舎建設・財産管理課 主幹兼施設管理・経営係長 菅野真一氏

総務部新庁舎建設・財産管理課
主幹兼施設管理・経営係長

菅野真一氏

「契約を決めてから週1回、計32回の定例会を開き細かいすり合わせができたおかげで無事に導入が完了しました。電話環境を切り替える当日のドコモビジネスの手厚いフォローには感謝しています」

 

課題

運用の稼働が大きく、煩雑な取り次ぎが業務の妨げになる
従来の電話システムを庁内のデジタル化推進に向けて刷新

宮城県の最北端に位置する気仙沼市は、世界中から漁船が集う世界三大漁場の三陸沖に隣接しており、リアス海岸の海と豊かな山々に抱かれた美しい自然が魅力だ。基幹産業の水産業とともに、近年では観光や人材育成などを織り交ぜ、地域内外のさまざまな人がまちを盛り上げている。同市では2022年より6カ年計画で「気仙沼市デジタル化推進計画」(自治体DX推進ビジョン)に取り組んでおり、デジタル技術やデータの活用で住民の利便性の向上、職員の業務効率化などを図っている。

このような取り組みの中、従来の固定電話を基盤とした電話システムを使い続けてもいいものかと、当時、総務部財産管理課(現・危機管理課)の佐藤充浩氏(以下、佐藤氏)は悩んでいた。デジタル化推進計画の一環で、職員たちのPCにはMicrosoft365が導入され、いつでもMicrosoft Teamsなどのコミュニケーションツールが利用できる状況で、唯一、電話だけが孤立していたためだ。「従来の電話システムは人事異動などのたびに電話機の工事、内線番号の変更など運用に大きな稼働がかかっていました。簡単な故障対応は自前で行っていたものの、大きなトラブルや工事は業者まかせのため、依頼が混み合う年度末などは、しばらく電話が使えないこともあったのです。すでに新庁舎への移転が決まっていたことから、既存オンプレミスPBXの更新時期が迫るタイミングでリプレイスを決断しました」(佐藤氏)

リプレイスにあたり庁内で電話に関するアンケート調査を行ったところ、いろいろな課題があぶり出されてきたという。庁舎内には交換手が各課への取り次ぎを行う代表電話に加え、各係の島に1台ずつ電話が設置されていた。「各課・係に1台しか電話がないため取り次ぎで業務の手が止まってしまう、使いたいタイミングでかけられない、出先からかけても出て欲しい人が出るとは限らないといった不満が出ていました。加えて、スマホ世代の若い職員たちはそもそも取り次ぎの経験がなく、不慣れという実感もありました。」と新庁舎建設・財産管理課 課長の阿部正行氏(以下、阿部氏)は語る。

そこで、新庁舎建設・財産管理課ではデジタル化推進計画の1つに「テレワークの推進」を掲げる情報政策課を巻き込み、新たな働き方、業務効率化、BCP対策などを視野に入れた電話刷新プロジェクトを始動する。

 

対策

BCP対策の付加提案を高く評価してパートナーを選定
Teamsによる電話でチャット、Web会議の利用促進へ

電話システムの刷新にあたり佐藤氏が取り組んだのは、各社からどのような電話サービスが提供されているかを調べることだった。「オンプレミスのPBXを活かすもの、PBXをクラウドに移行するもの、うまくIP電話を使うものなど、いろいろなサービスがあることがわかりました。しかし、多くはスマホと一緒に導入して利用するもので、コミュニケーションツールがスマホとPCの2台に分かれることに抵抗があったのも事実です。そんな矢先、情報政策課の職員からTeamsで電話が利用できるサービスがあると聞き、コミュニケーションツールがPCに集約できる点が私たちのニーズに合致していると感じました」(佐藤氏)

実はPCでの電話利用にはもう1つの狙いがあった。それはMicrosoft TeamsをはじめとするMicrosoft365の利用を活性化させることだ。「職員のPCに入ってはいるものの、日常的にTeamsを使う職員はごく一部に限られていました。強制的にデスクの固定電話を排除して、PCでしか電話がかけられないようにすれば、おのずと連絡の内容に応じてチャットやWeb会議などを利用する機会が増え、Teamsの利用を促進できると考えたのです」と(佐藤氏)は明かす。

こうして気仙沼市ではMicrosoft Teamsで電話が利用できることを前提とした提案を、複数のキャリアから受けることになる。結果、パートナーに選定されたのはドコモビジネスだった。「今回、BCP対策もポイントの1つでしたが、実はTeamsによる電話が災害時に優位性があるわけではありません。そこで災害時のリスク対応を評価項目にしたのですが、ドコモビジネスから各課に1台ずつ緊急用スマホを配る提案があり、そこがパートナー選定の大きな決め手になりました」(阿部氏)

ドコモビジネスの提案を受けて採用したのは「Direct Calling for Microsoft Teams」、Web会議、チャット、ファイルストレージなど従来の機能に加えて、外線通話がMicrosoft Teamsで実現できるサービスだ。外線通話の発着信、指定したメンバーの一斉着信、他の職員への電話取り次ぎにも対応できるため、いつでも、どこからでも、庁舎内と変わらないコミュニケーションが実現できる。合わせて同市がBCP対策で導入した50台の緊急用スマホにも、アプリをインストールすれば同様の機能が利用可能だ。

「事前トライアルで音声の品質的にも問題ないことがわかっていたので、1年くらいかけて導入を進めました。一部の職員からは不安視する声も上がっていたのですが、ドコモビジネスの支援による説明会の開催、操作マニュアルの配布などで不安を払拭でき、とくに大きな問題もなく導入が完了しました」財産管理課の菅野真一氏(以下、菅野氏)

 

効果

電話の取り次ぎがなくなり住民サービスの向上を実現
Microsoft Teamsの活用が進み情報連携の質も向上

Direct Calling for Microsoft Teamsに電話が集約されたことで、代表電話を除く庁舎内のすべての固定電話が撤去された。各課に1台あった電話の番号はそのまま生かされ、課の職員すべてが受けられようになり、各職員には新たにOABJ番号が割り当てられた。「1人に1つ電話番号が持てるようになったことで担当する業者などと直接やり取りできる、各課・係にかかってきた電話でも相手の名前を確認して出られるので、これまで取り次ぎにかかっていた煩雑な稼働は大幅に軽減できていると思います。さらに外出先や自宅などからでも業務用の番号でやりとりできることが業務改善にもつながっています。もちろん、新庁舎移転を見据えた、異動や工事といった電話システムの運用負荷も軽減できています」(菅野氏)

代表番号にかかってくる電話件数にも大きな変化があった。「導入前は月1万件ほどあった電話が導入後は月5000件ほどに半減しています。直接個人にかける件数が増えたため、無駄な取り次ぎが減り、お待たせする時間が短縮され、結果として住民サービスの向上にも寄与しています」(菅野氏)

なにより、最大の効果は職員のMicrosoft Teamsを使う頻度が飛躍的に上がったことだ。導入後のアンケートでは67%の職員が「Microsoft Teamsを使う機会が増えた」と回答している。「私自身もそうですが、とくにチャットの便利さに気づきました。急ぎではない要件はチャットで要件を伝えればいいし、関係者に一斉に伝えられるのもいいですね。電話と同じような感覚でWeb会議もできますし、電話をしながらファイルの共有もできます。そうした利便性が職員に浸透し、利用促進につながっていいます」(菅野氏)

今後、気仙沼市ではMicrosoft Teamsをコミュニケーションツールの軸として、さらなるデジタル改革を推進していく計画だ。「もっとTeamsで電話をはじめとしたコミュニケーションが使いやすくなる、自治体向けの新たな機能やサービスをドコモビジネスと一緒に考えていきたいと思っています。さらに情報政策課との連携で申請関係などのアプリ内製化も計画中です。市役所に足を運ぶことなく申請が完了できれば、さらに住民サービスが向上できます。ぜひ、ドコモビジネスの力もお借りしたいですね」(佐藤氏)

導入サービス

Direct Calling for Microsoft Teams

「Microsoft Teams」からの外線発信を実現するクラウドサービス

詳しくはこちら
宮城県気仙沼市

宮城県気仙沼市

宮城県気仙沼市

事業概要
世界三大漁場の1つとなる三陸沖に面する港町。港町特有の旅行者や移住者を分け隔てなく受け入れる「おもてなし文化」が息づく。2022年より「気仙沼市デジタル化推進計画」に取り組んでいる。

URL
https://www.kesennuma.miyagi.jp


(掲載内容は2025年1月現在のものです)


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