イメージ

フリーアドレスとは?目的や事例、メリットとデメリット、失敗を防ぐ方法を解説

MENU

フリーアドレスとは、固定席を持たずに好きな席で働くワークスタイルのことです。近年、社会情勢の変化と企業の急速なデジタル化によって、働き方やオフィスの在り方が変化しています。在宅勤務の割合が増えたことでオフィス内の固定席が十分に活用されなくなり、フリーアドレスを検討する企業が増加しています。本記事では、フリーアドレスの基礎知識やメリットとデメリット、失敗しないための方法、導入事例をわかりやすく解説します。

1.フリーアドレスとは

イメージ

フリーアドレスとは、社員が固定席を持たず、自由に席を選んで働くスタイルのことです。書類や文房具は共有キャビネットに保管し、ノートPCやスマートフォン、無線LANなどを活用しながら仕事をします。

①背景

フリーアドレスを採用する企業が増加している背景として、新型コロナウイルスの感染拡大でワークスタイルが大きく変化した点が挙げられます。現在、ハイブリッドワークや、働く時間と場所を自由に選択できるABW(Activity-Based Working)など、新たなワークスタイルを採用する企業が見られるようになりました。

その結果、オフィスの使い方が変化してきています。

②目的

フリーアドレスには、主に以下の2つの目的があります。

  • オフィス内のスペースを有効活用すること
  • 他部署の従業員とコミュニケーションを活性化すること

2.フリーアドレスのメリット

次に、フリーアドレスを導入する4つのメリットを解説します。

①組織内での交流が活発になる

フリーアドレスを導入すると、組織内での交流が活発化しやすいです。普段は話す機会がない他部署の社員とコミュニケーションが増え、ビジネスアイデアが生まれやすい環境づくりに効果的です。

さらに、フリーアドレスは偶発的な出会いをもたらし、業務上の悩みを解決するきっかけになります。課題解決やビジネス創出などの社内交流が増えることで、「行きたくなるオフィス」が実現します。

②オフィススペースを有効活用できる

フリーアドレスでは、オフィススペースを有効活用できます。座席数を減らして、空いたスペースにオフィスの拠点集約や快適な職場環境の構築が可能です。

たとえば、通常の会議室に加えて、コミュニケーションスペースを新たに作ることで、目的に応じて社員が適した場所を選択しやすくなります。

③従業員の生産性向上につながる

フリーアドレスの導入で、生産性向上を図れます。社員の業務内容に合わせて働く場所を選択できるようになり、主体性が生まれ働く意欲が高まるからです。

1人で業務に集中したいときは人が少ない座席を選び、コミュニケーションを取りたいときは共同スペースに移るなど、工夫ができます。それぞれの業務内容に合った働く場所を用意することで、満足度や意欲が高まり生産性向上をもたらすでしょう。

④コスト削減につながる

フリーアドレスを採用するとコスト削減を期待できます。たとえば、2フロアを1フロアに集約することで固定費削減ができるからです。また、座席数を減らせるので管理するデスクやチェアーの数も抑えられます。さらにPCや文房具などの備品共有によるコスト削減や、オフィス集約で冷暖房などにかかる電気代の削減につながる点もメリットです。

3.フリーアドレスの課題

フリーアドレスには多くのメリットがありますが、導入済みの企業ではいくつかの課題が見えてきました。2022年9月、サイオステクノロジー株式会社が、勤務先にフリーアドレスが導入済の会社員など1,000名を対象に実施した調査を見てみましょう。

同調査によると、オフィスにおけるフリーアドレスの平均座席割合は約6割という結果でした。また、フリーアドレスを利用している会社員にフリーアドレスの改善点を尋ねると、「誰がどの席にいるかが分かる」ようにしてほしい、と改善要望を持つ人が4割以上いることがわかりました。今後は、社員の位置情報を把握できるツールを導入して改善するなど、対策が必要です。

▼フリーアドレスに関する改善点

フリーアドレスに関する改善点
出典:サイオステクノロジー、「フリーアドレス職場調査」結果を発表|PR TIMES

4.フリーアドレスのデメリット

フリーアドレスのデメリットについても解説します。

①座席や同僚を探すのにストレスを感じる

フリーアドレスは、席探しにストレスを感じる恐れがあります。オフィスが混んでいると空席が見つからないことがあるからです。また、誰がどこにいるか分からなくなってしまう点もフリーアドレスの課題といえます。同僚に相談したいことがあっても、居場所を見つけるまでに時間が取られてしまうでしょう。せっかく出社しても、コミュニケーションを取りたい相手をすぐに見つけられず、ストレスを感じる要因になります。

②座席管理が難しい

フリーアドレスは「誰がどこに座っているか」を把握できず、座席管理が困難です。総務部にとっては、社員の在席状況や出社率を確認しにくくなります。上司にとっては、固定席で毎日チームメンバーの顔を見る機会がなくなり、困っている社員に気づきにくくなります。

③書類や持ち物の管理が難しい

固定席がなくなるフリーアドレスの場合、書類や持ち物の管理が難しくなります。これまではデスクに保管していた荷物を、席を変えるたびに移動させる必要があるからです。持ち運びに負担がかかる点がデメリットといえます。

④電話の取次に手間がかかる

フリーアドレスの場合、電話の取次に手間がかかります。固定席があるオフィスでは、外線が入ると座席表をもとに内線の取次ができます。しかし、フリーアドレスでは社員の居場所がわからず、電話の取次がストレスになってしまうでしょう。

5.フリーアドレスの導入で失敗しないために

フリーアドレスのデメリットや課題が解消されなければ、フリーアドレスは廃止されてしまいます。そこで、失敗を避けるために気をつけるべき6つのポイントを紹介します。

①目的を共有する

フリーアドレスの目的を社員に共有し、賛同を得てから導入することが大切です。たとえば、社内アンケートで社員からオフィスの改善ポイントを抽出し、意見を反映させて取り組むと抵抗なく進められます。フリーアドレス後のイメージも共有し、オフィス改革に参画しているという意識を持ってもらうことで、導入がスムーズに進むでしょう。

②社員の位置情報を可視化できるツールを導入する

社員の位置情報を可視化できるツールを導入すると、「誰がどこにいるかわからない」というフリーアドレスの課題を解消できます。

出社している社員はもちろん、在宅ワーカーも社内の座席状況がわかるツールを使用すると、話しかけやすくなりコミュニケーションの活性化につながります。また、総務部は出社率の統計を把握でき、正確な座席管理が可能です。

③デスクレイアウトを工夫して共創スペースを設ける

レイアウトを工夫して、コミュニケーションやコラボレーションが生まれやすい快適な共創スペースを作ることが大切です。社内交流が活発な「行きたくなるオフィス」作りを目指しましょう。

たとえば、NTTコミュニケーションズは、本社オフィスが入る大手町プレイスの28Fに「ガレージ・アリーナ」を設置。「ガレージ」は最大700名の収容ができる交流ラウンジで、キックオフやセミナー、プレゼンテーションなどに利用できます。「アリーナ」は目的に応じてダイナミックに形を変えられるステージです。情報交流しながら共創を促進する場として活用されています。

イメージ
出典:「共創」を促進するオフィス環境と働き方で次世代に向けた新しい価値を創出していく|ビジネスコミュニケーション (PDF形式 / 3.04MB)

④ペーパーレス化を推進する

フリーアドレスの効果を最大化するためには、ペーパーレス化を促進することが重要です。フリーアドレスを導入したにもかかわらず、紙の書類を使用したワークフローが残ると、フリーアドレスの良さを十分に発揮できません。さらに、承認が必要な担当者の座席がわからないことで、余計なストレスが生まれる恐れもあります。

そこで、電子契約や電子請求書などを導入してペーパーレス化を促進することで、フリーアドレスの効果を十分に高められます。

⑤クラウドPBXを導入して固定電話をモバイル化する

クラウドPBXを導入してスマートフォンを内線化すると、電話の取次に関する課題を解消できます。クラウドPBXとは、クラウド上に設置したPBX(電話交換機)をネットワーク経由で活用するサービスのことです。

インターネットで接続できるスマートフォンを内線化すれば、社員がどこにいても固定電話からの内線に対応できます。

関連リンク
クラウドPBXとは?機能や仕組み、メリットとデメリット、選び方などを紹介

6.NTTコミュニケーションズによるワークプレイスDX

固定席をなくすだけでは、フリーアドレスのメリットを上手く生かせないケースもあります。フリーアドレスの課題を解消しながらその恩恵を最大限に享受するには、ワークプレイスそのもののデジタルトランスフォメーション、すなわち「ワークプレイスDX」が重要です。

NTTコミュニケーションズは、社員の位置情報可視化、共創スペースデザインなどを含めたワークプレイスDXの推進を支援しています。

ワークプレイスDX

専用アプリと社員のスマートフォンなどを活用して位置情報を検知するソリューションは、誰がどこにいるかわかるのでコミュニケーションの活性化を促せます。共創スペースデザインでは、フリーアドレス化を含めたオフィスリニューアルをコンセプト提案から設計、構築、運用までのトータルサポートを実施しています。

7.フリーアドレスの導入事例

フリーアドレスの導入事例として、NTTコミュニケーションズが携わった1件の事例を紹介します。

居場所検知ソリューションを導入|製造業A社

居場所検知ソリューションを導入|製造業A社

製造業A社では、フリーアドレスの「誰がどこに座っているかわからない」という課題を解決するために、NTT コミュニケーションズの支援により居場所検知ソリューションを導入。

社員の位置情報を検知できるだけでなく、社内のスマートフォンとPCから席の予約もできるようになりました。社員情報はMicrosoft 365とActiveDirectoryを連携することで、人事異動の際もスムーズに対応可能です。エリアごとの利用状況を可視化でき、社内交流やより良い働き方を実現しています。

8.まとめ

フリーアドレスを採用すると、社員は固定席を持たず働く場所を自由に選択できるようになります。自主性が生まれるため生産性の向上や、部署をまたいだコミュニケーションの活性化が期待できます。しかし、単にフリーアドレスを導入するだけではなく、効果を最大限発揮するためのツール導入や設計が重要です。NTT コミュニケーションズでは、自社での導入経験を踏まえ、さまざまなソリューションを組み合わせながらワークプレイスDXを支援しています。ぜひお気軽にご相談ください。

詳しく質問したい方はこちら!

お問い合わせはこちら

このページのトップへ