リモートワークとは?実施するメリット・デメリット・導入時のポイントについて解説
公開日:2023/1/29
近年、働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策の一環として、リモートワークを導入する企業が増加しました。
リモートワークは通勤費や通勤時間の削減をはじめとした多くのメリットをもたらします。一方で、コミュニケーション不足などのデメリットを感じる人もいるでしょう。
本記事では、リモートワーク導入による、メリットやデメリットについて解説します。リモートワークの導入を検討している担当者の方は、参考にしてください。
目次
リモートワークとは
リモートワークとは、「remort(遠隔)」と「work(働く)」を組み合わせた造語です。従業員がオフィスに出社することなく、遠隔地から業務を行うことを指します。多くの場合、PCをインターネットにつなぎ、チャットやメール、Web会議などで連絡を取り合い業務を行います。
テレワークとは言葉が異なるだけ
リモートワークとよく似た言葉にテレワークがあります。
リモートワークという言葉は、IT企業やベンチャー企業などを中心に比較的最近使われ始めた言葉で、明確な定義はありません。一方、テレワークは厚生労働省が「情報通信技術を活用して、時間や場所を有効に使う柔軟な働き方」であると明確に定義しています。
そのため、各省庁から情報が発信される場合、テレワークと称されます。一般的にリモートワークを行う際は、インターネット回線をはじめとした情報通信技術を活用しているため、ほぼ同等の意味と捉えて差し支えありません。
リモートワークの現状
新型コロナウイルス感染症の流行で、日本企業のリモートワーク導入率は大幅に上昇しました。
東京都が公表している「テレワーク実質率」によると、2022年10月現在のテレワーク実施率は54.1%です。
2021年3月には24.0%でした。緊急事態宣言期間は65.0%まで上昇しています。その後は感染状況により52%から63%の間を推移していますが、いまだに半数以上の企業でリモートワークが実施されていることがわかります。
リモートワークの今後
感染症拡大の影響で、リモートワークの実施率は大きく跳ね上がりました。今後どうなるのか気になる人は多いでしょう。
ここでは、国土交通省が実施した「令和3年度(2021年度)テレワーク人口実態調査 調査結果(※pdfファイル 13.4MB)」をみていきましょう。
調査によると、リモートワークを行った人たちの約89%に継続意向があることがわかります。理由の第一位は「感染症対策」です。また、感染症の収束後も継続意向がある人は約84%にのぼり、多くの人が感染症の有無にかかわらずリモートワークの継続を望んでいることがわかります。理由として多いものは次のとおりです。
・通勤時間の有効活用:約43%
・通勤の負担軽減:約32%
加えて、少子化が続いている日本では、2040年までに大幅な労働人口の減少が見込まれています。そのため、多くの企業で人手不足となることが懸念されており、リモートワークによる、労働力不足の解消にも注目が寄せられています。
リモートワークを実施するメリット
通勤コストやオフィスコストの削減など、リモートワークの実施には従業員だけでなく企業にとってもさまざまなメリットがあります。詳しくみていきましょう。
通勤費、通勤時間の削減
リモートワーク導入の大きなメリットとして、通勤時間の短縮が挙げられます。特に首都圏では、満員電車に乗って長い時間をかけて会社に通勤している人は少なくありません。
リモートワークの導入により、従業員は通勤の手間がなくなります。一方、企業はそこに充てていた通勤費の支給を削減できます。リモートワークが可能な従業員数が多いほど、削減できるコストも増加します。
オフィス規模の最適化
リモートワークに移行すると、オフィスに出社する従業員数の削減が可能です。そのため、これまでのように広いオフィスを持つ必要がなくなる点はメリットの1つといえるでしょう。必要なオフィス面積の削減により、より狭い所への移転が可能になります。オフィスの移転により、家賃や光熱費などを抑えることが可能です。
加えて、従業員を新たに雇用する場合でも、リモートワークであれば、机や椅子などのオフィス家具の追加を行う必要がありません。これらの理由により、リモートワークの導入は、オフィス規模の最適化やオフィスコストの削減につながるといえます。
生産性の向上、離職率の低下
リモートワークの導入により、従業員は長時間通勤がもたらす疲労から解放されます。そのため、通勤による疲労から生産性が低下していた場合、生産性の向上につながります。
加えて、リモートワークでは、上司の目や同僚の視線などが気になりません。オフィスにいる時のように頻繁に電話が鳴り、来客のたびに仕事を中断しなければならないということもないでしょう。慣れ親しんだ自宅で作業する場合、落ち着いて業務ができると感じる人も大勢います。そのため、業務への集中が可能となり、生産性の向上が期待できます。
一般的に多い離職理由として、ライフイベントが挙げられます。人によっては、「結婚・出産・育児・介護」などの理由により、離職を余儀なくされることもあるでしょう。
リモートワークの導入により、育児や介護などと仕事との両立が可能になる人も見受けられます。そのため、リモートワークの導入は離職率低下につながるといえます。
離職率が低下すると、新たな人材を雇うための採用コストや新たな人材の教育費を支払う必要がなくなります。企業にとっても採用費・教育費の削減は大きなメリットといえるでしょう。
リモートワークを実施する際のデメリット
リモートワークの実施により、社員同士のコミュニケーション不足や人材評価制度の変更を余儀なくされるといった、いくつかのデメリットも発生します。ただし、デメリットについては、事前に対策を立てることが可能です。
ここでは、デメリットと対策方法について見ていきましょう。
勤怠管理方法に工夫が必要
リモートワークの導入により難しくなることとして、勤怠管理が挙げられます。オフィスに出勤する場合、タイムカードなどにより勤怠管理を行っている企業が多いでしょう。実際にタイムカードを利用していない場合でも、社員の出社状況が一目で把握できます。
しかし、リモートワークではタイムカードを利用することはできません。従業員の勤務実態が見えづらくなります。そのため、勤務管理が困難だと考える担当者もいるでしょう。
リモートワーク時の勤怠管理方法としては、次のものがあります。
・勤怠管理ツールの導入
・チャットや電話などを使った勤怠報告
・Web会議の常時接続による在籍確認
従業員の姿が見えないため、勤怠管理方法を事前に定めておきましょう。
会議だけではコミュニケーション不足になる
リモートワークの導入により、従業員同士の対面コミュニケーションが困難になります。悩みが出てきても簡単に相談できない、顔が見えないため上司にどのタイミングで相談を持ちかけたらいいのかわからない、などと考える従業員もいるでしょう。
音声を使わないテキストだけのやり取りになることも多いため、誤解が生じるケースが見られます。
コミュニケーション不足から、従業員がストレスを感じることもあるため注意が必要です。大勢の人が参加する会議だけでは、コミュニケーション不足の改善は困難といえるでしょう。定期的に出社日を設ける、1on1面談を実施するなど、コミュニケーション不足を前提とした対策が欠かせません。
成果、人材に対する評価制度を明確にする
リモートワーク導入のデメリットとして、従来の人材評価制度が利用できなくなる点が挙げられます。リモートワーク導入前は、オフィスで上司が毎日のように部下を直接見ることができたため、勤務態度などにより人材を評価していた企業が多いでしょう。
しかし、リモートワーク下では毎日部下の様子を直接見ることはできません。そのため、新たな人材評価制度の導入を検討しなければなりません。
そのためには、リモートワーク化で可能な評価項目を明確にします。目に見える成果や実績をもとに評価することが増えるでしょう。
成果発生までに時間がかかる場合は、従業員のプロセスを評価しなければなりません。プロセスの評価のためには、明確な目標の設定と定期的な面談が必要です。また、従業員のレスポンスの速さや業務スピードなどを評価項目に加えることもできるでしょう。
いずれの場合でも、評価項目を明確にし、従業員に公表することが働き方の1つの指針となります。評価方法を統一し、一定の基準を設けておくことが大切です。
成果、人材に対する評価制度を明確にする
リモートワークの導入によるメリット・デメリットについてみてきました。リモートワークの導入を成功させるには、環境を整えることが重要です。
まず、在宅勤務の対象にできる業務について選定しましょう。自社内のすべての業務がリモートワークに対応できるということはあまりありません。消費者と直接対面する業務や、サービス業などリモートワークが不可能な業務もあります。
そのため、自社内の業務を整理し、バックオフィス業務やIT系の業務など、リモートワーク可能な部署を選定しなければなりません。
次に、コミュニケーション不足に陥らないためにも、在宅勤務に関するルール作りが欠かせません。勤務状況の確認方法や新たな人材評価方法なども、従業員に周知徹底します。
加えて、従業員は在宅勤務に必要な環境を自宅に整えなければなりません。会社が貸し出すものや私物を利用する範囲について、明確に定めておきましょう。また、PCや周辺機器、Wi-Fiなどを用いる際は、セキュリティ対策が欠かせません。
まとめ
従業員がオフィスに出向かず、自宅などの遠隔地から仕事を行うことをリモートワークと言います。通勤費や通勤時間のカット、オフィス規模の最適化、生産性の向上や離職率低下など、多くのメリットが生じます。
一方で、従来通りの勤怠管理では管理できない、コミュニケーション不足になりやすい、これまでの評価制度が利用できない、といったデメリットがある点を留意しておきましょう。
導入前にしっかり環境を整備することで、デメリットを緩和できます。
小売業や医療・介護の提供など、消費者と対面するようなサービスの提供、リモートワークの導入は困難です。IT系の業務やバックオフィス業務など、自社内でどの業務がリモートワーク可能か選定した上で導入を検討することが大切です。
また、リモートワークを導入したものの、自宅では業務が困難という場合も少なくありません。そういった場合は、NTTコミュニケーションズが提供しているdroppinの利用を検討してみましょう。利用可能なワークスペースを迅速に検索・予約できます。
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