Arcstar Universal One
導入事例
エス・イー・シーエレベーター株式会社
エス・イー・シーエレベーター株式会社
エレベーターのメンテナンス業務における
モバイル回線を使った遠隔映像監視の有用性とは
防災、防犯を目的としたエレベーターの遠隔映像監視を支えるモバイル回線に
エレベーターの遠隔監視は設備につながる制御盤からのデータ、カゴ内の通話装置による音声をネットワーク経由でやりとりするのが一般的だ。監視カメラによる映像は現場のハードディスクに記録されるのみで、映像をネットワーク経由で監視するサービスは追加料金のかかるオプションで提供されることが多い。全メーカー、全機種の保守・管理に対応するエレベーターメンテナンスのスペシャリスト エス・イー・シーエレベーター株式会社様(以下、エス・イー・シーエレベーター)では、顧客の防災、防犯体制の強化に向けて映像による遠隔監視サービスを無償で提供。サービスを支える高品質な回線として“Arcstar Universal Oneモバイル”を採用し、エレベーターメンテナンスにおけるさらなる顧客拡大を狙う。
課題
- エレベーター保守・管理の顧客拡大に向けて新たな付加価値を提供したい
- 無償で提供するサービスのため通信コストがかさむ有線回線は利用できない
- 高画質の映像を遅延なくスムーズにやりとりできる高品質な回線が欲しい
- ビル、商業施設などでも確実につながる通信エリアの広さを重視したい
対策
- “Arcstar Universal Oneモバイル”の従量プランを採用。合わせて導入した“Arcstar Universal One”により効率的に映像を収集できる環境を構築
効果
- エレベーター保守・管理の提案時に遠隔映像監視サービスを無償で提供
- 30MBの無料通信が付いたモバイル回線の選択により通信コストを抑制
- 閉域接続により高画質の映像が安定して収集できる通信環境を実現
- 国内人口カバー率100%のFOMA®網により市街地のワイドなエリアをカバー
結果
遠隔映像監視により顧客の防災、防犯体制を強化。加えて映像データ収集によるメンテナンスや定期点検費用も削減。今後の海外進出を視野に防災・防犯映像、設備データ、音声通話の統合によるコスト削減に取り組んでいく。
導入ソリューション
導入の背景
エレベーター設備のリニューアル特需を受け、遠隔映像監視をシェア拡大の起爆剤に
一般的にエレベーターの耐用年数は25年といわれ、安全面、経済面からのリニューアル工事が必要だ。昨年あたりからバブル期に設置されたエレベーターがリニューアルの時期を迎え、エレベーター業界は空前の活況に沸いている。半世紀近くにわたり日本のエレベーターの安全を見守ってきたエレベーターメンテナンスのスペシャリスト、エス・イー・シーエレベーターでは、この機を最大のチャンスとにらんでいる。同社専務取締役 九州支社 支社長 稲森一幸氏は「シェア拡大のためには、これから2、3年が勝負です。私たちはリニューアル提案の切り札として“新・遠隔映像監視直話システム”を開発。従来のデータ、音声による遠隔監視に映像を加えることで、お客さまに防災、防犯の観点から大きな安全を提案しています」と語る。
“新・遠隔映像監視直話システム”は顧客のビル、商業施設などに設置されたエレベーターと主要都市にある同社の緊急監視センターをネットワークで結び、設備データ収集、音声通話、防災・防犯映像の収集によるトータルな遠隔監視を行うシステムだ。通常のエレベーターの遠隔監視では追加料金がかかっていた映像による監視を無償で提供できる点が最大の強み。「まだ提供を開始して1年ですが、すでに九州圏では契約が300件に届く勢いです。これから関東、関西、北海道などでも展開し、年内には1000件の導入をめざします」と稲森氏は高い目標を掲げる。
“新・遠隔映像監視直話システム”の特長
選択の決め手
もとより通信品質は評価。懸念だった通信料の値下げを機に導入を決断
映像による遠隔監視サービスを提供するにあたり、もっとも同社が頭を痛めたのが通信回線の選択だった。「他社では有料のサービスを、エレベーターのメンテナンス料に含めて実質無料で提供するわけですから、回線に余分なコストはかけられません。有線ではとても採算が合わないので、低コストで利用できる無線のサービスをいくつか検討しました」(稲森氏)。すでに音声の遠隔監視で利用している安価なPHS回線が第一候補に挙がったが、監視カメラの高画質な映像を送信する目的を考えた場合、通信品質に不安があったという。「PHS回線だと大容量の映像を送るための品質が確保できないのです。さらに、つながりにくいエリアが多いというのも問題でした」と稲森氏は当時を振り返る。
そこで同社では携帯電話網を使った複数の回線サービスを比較し、通信の安定度の高さ、提供エリアの広さで“Arcstar Universal Oneモバイル”を選択する。「以前から通信品質については高く評価しており、他の遠隔監視用の回線にも検討しましたが、料金面で折り合いが付かなかった。そんなとき、これまでの約1/3の料金で利用できる従量プランの登場を知り、これが決断の後押しになりました」(稲森氏)。
“Arcstar Universal Oneモバイル”では、30MBまでの無料通信が付いた従量プランを月額500円(税抜)で提供。しかも回線間でパケットを融通しあえるパケットシェアにより無駄のない通信ができるため、コストを抑えたいM2Mへの利用に最適な回線といえる。また、日本全国をカバーする提供エリアの広さ、インターネットを経由しない閉域通信で安定して映像が送信できる点もポイント。なお、このセキュアな閉域通信を利用することで、映像に映った顧客のプライバシーを守るというメリットも生まれている。
遠隔映像監視に最適な“Arcstar Universal Oneモバイル”
評価と展望
高画質な映像のスムーズな収集を実現。映像、データ、音声の回線統合に意欲
同社の遠隔映像監視のしくみは、エレベーターの状況を顧客の建物に設置したハードディスクにフルタイムで録画。このすべての録画映像から、エレベーターが利用された時間の映像のみを“Arcstar Universal Oneモバイル”を使って緊急監視センターに送るようになっている。「もちろん、見たい監視カメラを指定すれば5秒ほどで画面に表示でき、エレベーターやビルの状況をリアルタイムで確認することも可能です。高速なモバイル通信による高画質かつ、なめらかな動きの映像に満足しています」と稲森氏は導入後の通信品質を高く評価する。これまでデータや音声でしか判断できなかった現場の状況を、鮮明な映像により正確に把握することで、より迅速かつ的確なトラブル対応が実現できているという。
また、従来のエレベーターメンテナンス業務では、ハードディスクに録画した映像を回収するために作業員が顧客の建物に足を運ぶ必要があった。「いまでは契約先のエレベーターの映像が自動的に緊急監視センターで収集できるため、メンテナンスや定期点検にかかっていたコストも削減できています。また、お客さまに提出する報告書をすべてファイルサーバーに集約、全社で共有。いつでも、どこからでも、必要に応じて報告書を取り出せるため、迅速なお客さま対応も可能なっています」(稲森氏)。
さらに顧客の防災、防犯対策の強化のみならず、地域の安全にも貢献しているという。「監視カメラには建物の外の道路も映ります。いまでも月に1~2件は警察から協力の要請があり、提供した映像で事件が解決することもあります。このサービスを導入する件数が増えるほど地域の安全も向上できる。私の最大の狙いはそこにあるのです」と稲森氏は熱弁する。
現在、同社の“新・遠隔監視直話システム”では、設備データ収集、音声通話、防災・防犯映像の収集用に別回線を使っている。将来的にはこの回線を“Arcstar Universal Oneモバイル”に一本化する方針だ。「達成できれば年間5000万円から1億円の通信費が削減できると試算しています。回線統合に向けて現在は音声通話用のVoIPのしくみを開発中です。なお、高速・低遅延のXi®に対応できる準備はすでに完了しています。あとは通信料が下がるのを待つだけですね」と稲森氏は笑顔で今後の展望を語る。
同社では映像による遠隔監視で介護分野への進出も計画。また、“新・遠隔監視直話システム”をフィリピンやベトナムといった東南アジアで展開するプランも進行している。
九州から日本全国へ。そして世界へ。同社の果てしないチャレンジを、NTTコミュニケーションズはトータルなICTソリューションで支援していく考えだ。
“Arcstar Universal Oneモバイル”導入後の評価
サービス構成イメージ
会社概要
エス・イー・シーエレベーター株式会社
- 本社
- 〒110-0016 東京都台東区台東3-18-3 SECビル
- 設立
- 1970年11月
- 従業員数
- 950名(2014年1月現在)
- 事業内容
- エレベーター製造・販売、保守・管理事業