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NaaS とは? SASEとの違いと、企業の導入メリット
昨今、クラウドやオンラインツールを活用している企業は少なくありません。しかし、それらの数が増えると社内のネットワーク構成が複雑化し、管理負荷が増大するという課題があります。それを解決するために有効なのが「NaaS」です。本記事では、NaaS の概要やメリット、SASE との違いなどについてまとめます。
NaaS(Network as a Service)とは?
NaaS(Network as a Service)とは?
NaaS(ナース)とは「Network as a Service」の略で、ベンダーが提供するネットワークインフラとその保守運用を、企業がサブスクリプション型で利用できるサービスを指します。インターネットに接続できる環境さえあれば、多様なネットワークインフラを活用して、自社のニーズに合わせた独自のネットワークを構築することが可能です。
従来のオンプレミス環境では、拠点間通信に必要なハードウェアやソフトウェアを用意しなければなりませんでした。しかし、NaaS を活用すれば、こういったハードウェアやソフトウェアの調達は不要になります。また、ルーターなどの機器調達や SI なども不要です。
NaaS と SASE の違い
NaaS としばしば混同されるものに「SASE(Secure Access Service Edge:サシー)」があります。SASE は、クラウドにおけるネットワークやセキュリティを包括的に管理するものを指すのが一般的です。後述する SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)を土台としています。
NaaS はクラウド型のネットワークサービスで、これを利用することにより自社のネットワークインフラ機器を維持・管理する必要がなくなるのに対し、SASE は SD-WAN のセキュリティ機能で、設備を自社で構築する必要がある SI 型です。NaaS は SASE を構成する一つの重要な要素であり、最適なネットワークを構築することができる NaaS は SASE の実現に向けて重要です。
NaaSがいま注目される背景
NaaSがいま注目される背景
NaaSが注目される背景には、テレワークの普及に伴うクラウドやオンラインツールの世界的な利用拡大、政府によるクラウド化の推進などが挙げられます。
テレワークの普及に伴うネットワークの複雑化
従来、企業の情報システムはオンプレミス型が主流で、各企業は社外とのアクセスを遮断した閉域網のネットワークを構築・運用していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響なども受けて、2020 年ごろから世界中でテレワークが普及し始めます。それに伴って、社外からも安全に社内システムへ接続できる環境を求める企業が増加しました。
その際、有力な選択肢の 1 つがクラウドサービスの導入です。ただし、すべてをクラウドに移行するのではなく、自社のシステム規模やニーズに合わせてクラウドとオンプレミスを柔軟に組み合わせるハイブリッド運用を選択する企業も少なくありません。複数のパブリッククラウドを組み合わせる「マルチクラウド」、パブリッククラウドや異なるサーバーなどを組み合わせる「ハイブリッドクラウド」を採用する企業もあります。
複数のクラウドサービスを導入した結果、ネットワーク構成が複雑化し、セキュリティリスクが増加する、といった問題も生じています。そういった課題を解決するために、近年ではネットワークインフラ機器のの管理・運用が不要な NaaS の需要が高まっています。
クラウドサービスの利用拡大による通信量の増加
クラウドサービスや各種デジタルツール、動画配信の利用拡大によって、企業のインターネット通信(トラフィック)の量が増加していることも理由の 1 つです。
トラフィック量が多くなると、帯域(送受信できるデータの最大容量)が圧迫されることで通信速度が低下し、業務に支障が出るなどの問題が起こり得ます。これらのメンテナンスを自社で行うと、情報システム部門の負荷が増えますし、帯域を増やすとコストに跳ね返ってしまいます。そこで、これらの問題の解決につながるサービスとして、トラフィックの最適化をサブスクリプションで容易に行える NaaS に注目が集まっています。
デジタル庁による「ガバメントクラウド」の推進
日本における社会的な流れとして、政府、特にデジタル庁がクラウドを推進していることも、NaaSをはじめとするクラウドサービスが注目を集める一因となっています。
政府は「クラウド・バイ・デフォルト」の原則を掲げ、政府情報システムを整備する際、クラウドサービスの採用を第一候補とすることを方針にしています。すでに政府では、中央省庁や地方自治体などの行政機関が共同利用できるクラウドサービス「ガバメントクラウド」を運用することが決定されました。これまで各自治体が独自に行っていたシステムの構築・運用が不要になるため、各自治体の IT コストの削減、庁内外におけるデータの利活用、住民サービス提供の迅速化などが期待されています。
政府が主導でクラウドサービスを推進することによって、今後 NaaS のようなサービスの活用が社会全体でより一般的になっていくと考えられます。
NaaSに含まれる主な機能の例
NaaSに明確な定義があるわけではなく、提供される機能は各ベンダーによって異なります。ただ、NaaS に含まれる代表的な機能は共通している場合が多く、「SDN」や「SD-WAN」「NFV」といったものが含まれます。
SDN(Software Defined Network)
「SDN(Software Defined Network)」とは、ソフトウェア上で個々のネットワーク機器を集中管理できる技術です。従来はネットワークを構築するにあたってケーブルや機器の設定作業を個別に行う必要がありましたが、ネットワークを仮想化し一元的に設定することで、その作業が不要になります。既存のネットワークを止めずに、新しい用途のネットワークを追加することも容易です。
SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)
「SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)」は、既存の設備や通信回線を生かしながら仮想的な WAN(物理的に離れた LAN 同士を接続したネットワーク)を構築し、WAN、クラウド、セキュリティの構成・管理を一元化できる技術です。
SD-WAN によって、いわゆる「インターネットブレイクアウト」の仕組みを導入することで、通常はデータセンターを通してインターネットにアクセスする閉域ネットワークでも特定のアプリケーションなどを直接インターネットに接続できるため、トラフィックの集中を抑制できます。アクセスの管理・制御も行えるため、安全かつ快適に、企業の拠点間通信や各種オンラインツールへの接続が可能です。
NFV(Network Functions Virtualization)
「NFV(Network Functions Virtualization)」は、ネットワークやセキュリティ機器を仮想化し、ソフトウェアとして実装する技術です。SDN と同じくネットワーク機器を一元的に集中制御できるため、個々のネットワーク機器の設定にかかるコストの削減につながります。自社のニーズや状況に応じて、処理能力を増強するなどの対応も可能です。
企業がNaaSを導入する5つのメリット
企業がNaaSを導入する5つのメリット
クラウドサービスの普及などにより、NaaSの導入によるネットワークインフラの構築はより重要なものとなりました。NaaSを導入することによって、企業は次のような5つのメリットを享受することが可能です。
・管理コストの削減
・ネットワーク遅延の解消
・セキュリティの強化
・テレワーク・ハイブリッドワークの推進
・拠点の増減など環境変化への対応
管理コストの削減
NaaSでは、複数のネットワークやセキュリティをクラウド上で一元管理することが可能です。加えて、これらのネットワークインフラは、基本的にベンダーが継続管理・運用するため、自社の情報システム部門の負荷が軽減されます。
ネットワーク遅延の解消
前述のSD-WANなどの仕組みを用い、必要に応じてWAN接続の帯域幅を拡張・縮小させることで、クラウドサービスを複数導入している場合でも、快適なネットワーク接続が確保されます。ベンダーにもよりますが、帯域幅の拡張・縮小は、事前に閾値などを設定することで自動で行うことも可能です。
セキュリティの強化
SD-WAN などの技術でネットワーク構成を最適化することで、脆弱性などの運用上のセキュリティリスクを低減できます。また、近年ではセキュリティ上の脅威が日々増加していますが、ベンダーが行う最新のセキュリティ対策は非常に有効な手段になります。
テレワーク・ハイブリッドワークの推進
インターネットブレイクアウトを導入し、利用目的を定めた上で一括もしくはアプリケーションからの要求に応じて自動でアクセス制御を行うことも可能です。これによって、従業員はVPNに依存することなく、任意のデバイスで場所や時間を問わず、安全にクラウドやアプリケーションにアクセスできるようになります。不正アクセスを防止する仕組みが備わっているため、テレワークやハイブリッドワークなど、柔軟な働き方を安心して推進できます。
拠点の増減など環境変化への対応
ベンダーの専門的なサポートがあるため、自社の目的やニーズに合わせた柔軟な拡張・カスタマイズも容易になります。拠点の増減や利用するシステムの変更などがあっても、SDN などの機能によって迅速にネットワークの再構成を行えます。顧客やニーズの変化に合わせたスケールアップもスムーズです。
NaaS導入時の課題と注意点
NaaS導入時の課題と注意点
一方、NaaS の導入時には留意すべき注意点もあります。NaaS の導入を失敗しないためには、既存システムとの互換性やベンダーの信頼性などをよく考慮する必要があります。
既存システムとの互換性があるか
旧来のシステムやオンプレミスのデータセンターで稼働しているアプリケーションなどは、NaaSと互換性がない可能性があります。そういった場合には、システム全体の刷新を行うか、NaaS を導入したい理由や目的(接続の遅延、セキュリティの強化など)を精査した上で、それに見合ったほかのサービスやツールの導入を検討する必要性も生じてきます。
例えば、ネットワーク遅延の解消が NaaS を検討する主な目的なのであれば、大容量の接続設備やトラフィック分離によって安定した通信が可能となる「OCN 光 IPoE サービス ワイドプラン」などへの切り替えも有効です
サービスの提供元は信頼できるか
NaaSに限りませんが、特定のベンダーやサービスプロバイダーに依存しすぎることへのリスクもあります。導入を決める際は、サブスクリプションの価格やパッケージの内容をはじめ、高品質なサービスが恒常的・安定的に供給されるかという観点も欠かせません。システム障害やトラブルが発生した場合の回復力やサポートもあらかじめ確認する必要があります。
NTTコミュニケーションズのNaaS「docomo business RINK」
NTTコミュニケーションズの「docomo business RINK」は、「クラウド型セキュリティとネットワーク」「オープン接続とクローズド接続」など、多様なネットワークと複数のセキュリティ機能をスピーディかつリーズナブルに利用できる統合型ネットワークサービスです
docomo business RINKでは、5G回線が利用可能なだけでなく、Webポータル上で帯域を即時に3倍まで拡張できる機能なども備わっています。インターネットブレイクアウトの切り替えも簡単なクリック操作で行えるため、トラフィックの逼迫による通信速度の低下も防止することが可能です。また、テレワーク・ハイブリッドワーク時代を見据え、ゼロトラストをベースに展開しているため、自社でセキュリティ機器の運用をせずとも、容易にセキュアなネットワーク環境を構築できます。
まとめ
NaaSは、ネットワークインフラやセキュリティ対策をサブスクリプション型で利用できるサービスです。社内のネットワーク構成が複雑化し管理負荷が増大している場合、それらを一元管理できるNaaSが解決策として有力になります。NaaSは、SD-WANなどの技術を内包しているため、アクセス管理を行いながらトラフィックの集中を抑制でき、安全・快適な通信環境を構築することが可能です。
NaaSのサービスはさまざまですが、「docomo business RINK」は、多様なネットワークと複数のセキュリティをワンストップで利用できるため、社内システムの運用・管理の負荷を下げながら、安全・快適なネットワーク環境を構築できます。
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