NTTコミュニケーションズ
ビジネスソリューション本部 事業推進部
佐藤 晴紀
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ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートインダストリー推進室 Catalyst
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東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)のゴールドパートナーとして、大会運営を通信サービスで支えるのがNTT(持株会社、NTT東日本・西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ)。各会場における通信設備工事や大会本番での通信関連業務を統括するのが「べニューテレコムマネジャー(VTCM、Venue Telecom Manager)」と呼ばれる運用・保守責任者です。中でも、「国際放送センター(IBC、International Broadcasting Centre)」「メインプレスセンター(MPC、Main Press Centre)」「選手村」「オリンピックスタジアム」は、長年NTT Comで通信関連業務に当たってきた4人の熟練技術者たちがVTCMを務めます。現場の様子や準備状況、大会に向けての思いを伺いました。今回は国際放送センターを担当する笠原裕道さん(2019年7月からNTT東日本にてご就業中)です。
※この記事は2019年7月時点の情報です
私にVTCMのお話があったのは、活動が本格的にスタートする1年前(2018年)の夏くらいですかね。その時は、非常に責任のある仕事でうれしく思う反面、自分にできるだろうか、と心配もありました。各国へ放送データを送るという大きな責任を持つ事業者たちと、英語で渡り合わなければいけない……。怒りまくった外国人の剣幕みたいなものが頭に渦巻いて、不安だったんです。
でも、少しずつその担当者の方々とのコンタクトが始まり、会ってみると、まあ当たり前ですが、ちゃんと落ち着いて話す方たちなので、その不安はだいぶ和らぎました。
一緒に活動しているNTT東日本の皆さんは、ケーブルを引く際にわれわれがあまり分からないような勘所や安全管理について熟知している。そういう技術面での強みがあります。NTT各社で、助け合えていると感じます。「日本の大会は良かったな」と、各放送事業者や関係者の皆さんに思っていただけるように、全力を尽くしたいと思います。
国際放送センター、メインプレスセンター、選手村、競技会場などの施設(Venue)への通信サービス提供については、通信サービスのゴールドパートナーであるNTTが東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)からの依頼に基づき、施設利用者のニーズや要望に沿って、構築や設計、運用を行います。Venueなどでの通信サービス提供は主にNTT東日本が中心となり、各社が連携して対応しますので、私たち(笠原さん、石田さん、津島さん、松沢さん)も2019年7月からNTT東日本に常駐してVTCMの活動を行っています。
通信サービスを提供する際は、故障やトラブルに対して大変気を使います。基本的に、引き込みルートや電源などの各装置は既存の設備を補強、または新設しながら全部二重化し、さらに多重化するところもあります。すべて何重にもできるなら安心ですが、予算と時間の範囲内で、できる限りの安全策を考えながら進めている状態ですね。
現場では、大容量の電気を使うので、駐車場のような巨大な2階建てラックを構築し、発電機や空調設備などを大幅に増設します。骨組み工事は2019年6月までにほぼ終了。現在は、建物内を区切った編集室やサテライトスタジオなど個々の部屋の内装工事に進んでいます。2020年には完成する予定です。
実は、各競技場とつなぐ光ケーブルや海外に配信する国際専用線などのテスト、チェックなどにも時間がかかりますので、2019年の10月くらいから国際放送機構(OBS)の方が本格的に日本に入ってきます。その後、順次RHB(放送権を持つ放送事業者)もやってきます。大きいところだとアメリカのNBCやディスカバリー、あとはイギリスのBBCなどヨーロッパの放送事業者ですね。日本はNHKと民放放送事業者でつくるジャパンコンソーシアム(JC)が入ります。
一番の課題は、「直前に出てくるさまざまな要求にどう応えるか」というところ。事前に各方面から数回にわたってニーズを聞いていますし、過去の大会などを参考に、何がどのくらい必要かはほぼ算定しているものの、予想できない部分も多いんです。
例えば、海外の放送事業者としてやってくる技術的専門職の方々は直前に日本に来るわけで、そういう人たちが来てみないと現場レベルでの細かなニーズについては分からない部分も多い。そのため、ある程度の変更要求にも対応できるように、備えておかなければいけません。
これまでどう対応していたのか、リオ2016大会や、平昌2018冬季大会で通信サービスの提供を担った方々に話を聞きましたが、国によってずいぶん違うようなんです。例えば、リオ2016大会を支援した通信事業者にとっては、大会期間中の通信サービス提供をやり遂げることが重要。土壇場での、いわゆる“柔軟な対応”もお国柄というか(笑)。日本では、実際に施工した分と請求額が1円でもズレたら大変なことになりますから、“丼勘定”なところはなかなか真似できません。平昌2018冬季大会では、そういうことはないですが、できないものは断る、無理な要求はのまない、という感じだったようです。
東京2020大会のゴールドパートナーであるわれわれの目的は、皆さんに満足して帰ってもらうこと。“おもてなし”の心を重んじますので、そうむげには断れません。それでも、期日に間に合わなければ意味がない。もし万が一、失敗や落ち度があれば、NTTへの評価だけでなく、日本のインフラへの評価、ひいては日本という国の評価にまでつながってしまいます。レピュテーションリスクですね。そちらの方がはるかに大きい。いわば「国の名誉」も背負う事業だと思っています。
こうして、限られた予算とリソースで、期限内に必ずすべてを構築し、保守・運用する。大会期間中は輪番(交代制)で24時間体制の監視・保守に当たる。それが、VTCMの役割ですね。
NTTコミュニケーションズビジネスソリューション本部 事業推進部
佐藤 晴紀
東京オリンピック・パラリンピック推進室では、大会に関するNTT ComグループやNTTグループの動き、また、大会成功に向けて挑戦する社員の姿・経験などを社内向けに情報発信するほか、NTTグループ各社と連携したさまざまな活動を行っています。そういった情報をShinesでもご紹介します。
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