こんにちは! NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)イノベーションセンター(以下、IC)です! 今回はICで実施しているコミュニケーション施策についてご紹介したいと思います。組織内でのコミュニケーションはどこの組織でも重視していると思いますが、意外とやっていることってマチマチですよね……。ということで、今回は「ICではこんなコトしてるぞ!」というのを、イノベーションセンター長の稲葉秀司さんに直撃取材します! これを見て「ウチでもできそう」というものがあれば、ぜひぜひ活用してください!
【NTT Comイノベーションセンター】
世界最先端のイノベーション理論「両利きの経営」で言われている「知の探索」と「知の深化」のベストミックスを目指し、「B(Business) T(Technology) C(Creative) + S(Strategy)」の四位一体フォーメーションで、新たな技術やデザインの社内支援に加え、将来の社会的課題の解決やCSV(Creating Shared Value)経営、さらにはSmart WorldやIOWN構想実現に資する新たなイノベーションを創造することを目的に、2020年4月に設立された組織です。
一人ひとりにノビノビと創造性を発揮してもらうために
―― というわけで、イノベーションセンター長の稲葉さんに来てもらいました。パチパチパチ。
―― 早速ですが、稲葉さんがICの皆さんとコミュニケーションするにあたって、大切にしていることってなんですか?
いきなり来るね(笑)。
私は、企業の利潤の源泉は、そこで働く社員やパートナーの皆さん、一人ひとりが創造性を発揮することにあるというのを信念にしている。まぁ大学時代の恩師の受け売りなんだけど。ただ、一人ひとりにノビノビと創造性を発揮してもらうためには「心理的安全性が高く、オープンなコミュニケーションができる」ことが不可欠な条件だと考えている。ICは複数の組織が集まってできた組織ということもあり、「ビジネス・デザイン・テクノロジー、そして技術戦略の四位が一体でイノベーションを起こす!」ことを目標に掲げた。四位一体はまだ道半ばだけど、オープンなコミュニケーションをベースに、いろんな化学反応を仕掛けたいんだよね。
――
オープンなコミュニケーション……、なるほど(分かってない)。
具体的にはどういうコトでしょう?
「さぁ、オープンにコミュニケーションしよう!」といきなり言っても困るよね。なので、それを成り立たせるためには3つの条件が必要だと思っている。1つ目は「同じ情報を持つ」こと。私だけが知っている情報に基づいて話をしても、受け手は理解できないよね? 野球見てない人に「昨日の試合、すごかったよねー」と話しかけても、コミュニケーションにならないでしょ?
―― そうですよね! 同じ情報を持っていないとなにもコメントできないですよね。
2つ目は「カベのない場で話す」ということ。物事を進めていくときに、最初から適切な人を巻き込むって難しいよね? 後から「Aさんに入ってもらえば良かった!」とかよくある話だし、「そういう話なら私も入りたい!」って話もあるよね。カベを作るとそういうチャンスをロスすることにもなる。楽しかった遊びの話とか後から聞かされると「誘ってよ!」と思うでしょ?
―― 確かに!
3つ目は「なにを言っても良い」ということ。コミュニケーションを取る際のメッセージはもちろん頭を使わないといけないけど、使いすぎても良くないよね。「もっとちゃんと考えろ!」って言われないかな? と考え込まれても、ドンドン時間は過ぎてしまう。それはマネジメントの観点からは絶対に避けたい。
――
なるほど!
でも、「①同じ情報を持つ」「②カベのない場で話す」「③なにを言っても良い」の3つのポイントって、それに近いことをよく聞きますよね。ということはカンタンではないのでは?
もちろん難しい。だからこそ「仕掛け」が必要だと思っている。なので、今回はICでやっている3つの施策を紹介したい。
幹部間で行われている議論を全社員に共有 ~幹部会議フィードバック~
「①同じ情報を持つ」ために、「幹部会議フィードバック」を毎週実施している。幹部会議が実施されたらその模様をその日のうちにICの社員に対して私から共有する場を設けている。この目的は2つあって、
- 1)情報が正しく伝わる
昔の組織では一般的だった、上からの伝言ゲームのような情報共有の仕方だと情報が減ったり曲がったりしがち。これを防げる。
- 2)会議時間を削減できる
1回で済むということも事業運営上メリット。みんなには会議以外に時間をより多く費やしてほしい。これができるようになったのは、リモートワーク環境(Teams会議)が整備されているおかげだね。これって「リモートワークでの生産性向上へのチャレンジ」で優秀賞をもらえないかな(笑)。
―― なるほど! そうなるとうれしいですね。(そんな表彰あったっけ?)
また、付加価値を添えて説明するよう心掛けている。例えば、「この案件にはこういう背景がある」とか、「こういう議論があった」、「ICとの関わりはココ」といったこと。もちろん、インサイダー情報や営業案件、労務対応前の案件などは、私の判断で削ったりしているけど。あと、面白いのは、フィードバックの場としてSlackにチャネルがあり、いろんな部門の方から、リアルタイムで自由に意見や質問が書き込まれる。私もその場でなるべく拾って答えるようにしているし、時間がない場合でも終了後に確認している。これも良い緊張感と気づきがあるんだよね。
―― へぇ~、幹部会議の様子を稲葉さんの解説付きで共有しているんですね! それなら「自分の業務からちょっと離れてるかな」と思う案件でも「自分ごと」として聞けそうです。
と、偉そうに言ったけど、実はこれって社員からの提案なんだよね。「Teamsの参加人数が増えたのだから、どうせやるなら部内の全社員に向けてやりましょう!」って提案があって、Slackの実況とかもいつの間にか始まってた。私はそれに乗っかってるだけ(笑)。
―― ズコーッ!(昭和)
活動サマリの「誰でも」見える化 ~週報のSlackチャネル化~
「②カベのない場で話す」のためには、各部門から私(センター長)への週報をSlackの特定チャネルにし、部門を超えてオープンにしている(もちろん、社外との秘密保持契約などの関係で伏せるべき案件は個別に報告)。これは私にとっても都合がよく、別部門とつなげたい案件などは、すぐにメンションして引き込むことができるし、私が気付かなくてもこれを読んでいた他部門の方からコメントが付いたりする。日々のこういうことの積み重ねが、四位一体につながっていくと信じている。
―― 連携するにも相手の情報が見えなかったらアプローチのしようもないですからね。あと、スタックしそうなときは稲葉さんがメンションで助けを呼んでくれるというのも、その後のコミュニケーションがしやすそうですね!
なので、私が助けを呼んでいるときもよろしくね。
そういやタブレットの再設定をしなきゃいけないんだけど……。
―― 3つめはなんでしたっけ?(と華麗にスルー!)
生煮え話を味わいながら ~生煮えランチタイム~
「③なにを言っても良い」のためには、毎週木曜のお昼時間に「生煮えランチタイム」というタイトルで、「(煮つめてない)生煮え状態の相談でOK」という時間を設けている。組織として固めたわけではない生煮え案件ということで、上司に相談しなくても持ち込んで良いというのがルール。これは私が経営企画部長のときに、特にスタッフ組織長(スタッフ組織の長)の皆さんで企業理念検討プロジェクト(Reborn)の際にそれを浸透させる施策として考えたことの1つで、ICへ異動後も継続している。
相談者以外のほかのメンバーの参加可否をエントリー時に設定できるので、参加OKな開催になったら、全然関係ない部門でも興味のある人がTeams会議にジョインしてきたりする。最初は、だべりながらのランチ会を想像していたけど、けっこうマジなだいぶ煮詰まった案もあるね。
―― オフィスアワーのような感じですかね! 相談だけでなくほかの参加者は、いわば「その話に関心のある有志」の見える化でもありますね。
でも、相談だけじゃなくて往々にして私の回答も生煮えなんだけど(笑)。
―― そんな言い訳をダブル・ミーニングで込めていたとは!
オープンなコミュニケーションこそがイノベーションの土壌
……というわけでいかがでしたでしょうか? オープンなコミュニケーションを実現するための施策を、稲葉さんの思いと共にお伝えしました。
もちろん、イノベーションを起こしていくという目的に向けてはICもまだ道半ば。NTT Comの各組織もそれは同じだと思います。各組織が実施しているコミュニケーション施策を横展開することでさらに活性化し、活性化した組織同士がよりオープンなコミュニケーションをしていく。そういったことの積み重ねで「NTT Com全体」スコープでの「心理的安全性が高く、オープンなコミュニケーションができる」ことを実現し、「そこで働く社員やパートナーの皆さん、一人ひとりが創造性を発揮する」ことにつながっていけばと考えています! この記事で「おもしろいなー」と思った取り組みがあれば、皆さんもぜひ取り入れてみてください!