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NTTコミュニケーションズ株式会社
日本電信電話株式会社
日本とタイ間でのICT技術を活用した
世界初の遠隔医療共同実証実験について
~最先端のICT技術と医療技術の国際展開と普及を目指して~
九州大学 (福岡県福岡市東区、総長:梶山 千里、以下「九州大学」)、NTTコミュニケーションズ株式会社(東京都千代田区、社長:和才 博美、以下「NTT Com」)、日本電信電話株式会社(東京都千代田区、社長:三浦 惺、以下「NTT」)、の3者は平成17年度より、総務省の“国際情報通信ハブ形成のための高度ICT共同実験*1”の一環として、最先端のICT技術を活用したブロードバンドアプリケーションの普及を目指し、関係国と共同で遠隔医療実験を進めてきました。今回、その共同実験の成果を報告します。
1.本実験の背景と目的
日本を含むアジア諸国において、めざましい医療技術の発展とは対照的に、病院・医師などの不足により医療が受けられない地域の拡大や、高度医療・診断技術の指導環境が十分に整っていないことに伴う医師の不足・技術の継承などが大きな問題となっています。
一方、日本のブロードバンドネットワークの発展は目覚ましく、FTTH環境の構築率やブロードバンド利用料の価格設定などで世界をリードしています。
このようなネットワーク環境をベースにした遠隔医療は、医療の効率化、高度医療技術の平準化などの面から、その応用が期待されています。
九州大学、NTT Com、NTTは、総務省の国際情報通信ハブ形成のための高度ICT共同実験の一環として、ブロードバンドネットワークを活用するアプリケーションの充実と、アジア地域の情報流通の活性化を目指した遠隔医療実験を行いました。その中で、先進医工学技術を中心とした高度医療・診断技術の国際展開・普及、およびその技術取得を可能とする“メディカルテレインストラクション環境構想*2”実現のための課題抽出と実現性の検証を行うことができました。
2.実験概要
日本(九州大学)とタイ(チュラロンコン大学)の医療機関を、研究開発テストベッドネットワークであるJGN2*3などを活用することにより接続し、双方向リアルタイムコミュニケーションシステム、医療技術の遠隔指導に用いるアノテーション*4システム、指導用映像の蓄積・配信システムなどを使用して、高度医療・診断技術のテレインストラクション実験、並びに遠隔手術ロボットを用いた遠隔手術の基本機能検証などを実施しました。
別紙1 実験の役割・体制別紙2 実験システム概要
3. 実験成果
遠隔指導、遠隔手術を実施する際のネットワークシステム構成、コミュニケーション用映像・音声機器の特性・品質、遠隔指導時のICTツールなどの基本要素技術の有効性を確認するとともに、ネットワーク構成や帯域、遅延時間などに関する知見を得ることができました。
また、各種CODEC*5の国際間遅延特性の検証、内視鏡手術に必要となるエンコードレートの明確化に対する主観評価実験、本研究にて開発したシステム(アノテーションシステム、映像同時配信・蓄積システム)の実証実験においても、良好な結果を得ました。(別紙3)
4.今後の展開
今回得られた成果は、アジア地域におけるブロードバンド環境整備の促進剤となる先導的なアプリケーションの実現性や有効性を国内外に示すとともに、今後、日本を中心拠点とする世界規模での遠隔医療を実現するための基盤として活用されることが期待できます。
また、メディカルテレインストラクション実証実験を通して得られた成果の実用化を進めるとともに、遠隔医療全般の技術課題の洗い出しや改良点を検討し、遠隔医療の更なる発展とアジア地域への国際貢献の目標の下、引き続き共同での検討を進める予定です。
日本を国際情報通信ハブとするため、総務省が平成15年度からアジア関係国と取り組んでいる共同実験事業。これまで中国・シンガポール・タイとの共同実験を実施。遠隔医療の他、遠隔教育や電子商取引、機械翻訳システムの実験などが行われた。
*2 メディカルテレインストラクション環境構想NTTと九州大学との共同研究内で掲げた構想。基本要素技術開発、専門分野毎に特化したテレインストラクション機能の明確化、各種センタ構築、高度医療・診断技術の共有化などを含む同構想を実現するために、先進医工学技術を中心とする高度医療・診断技術に関する指導を、情報通信技術をベースにした遠隔指導システムにて実現するメディカルテレインストラクション環境の構築を目指す。
*3 JGN2独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が運用するテストベッドネットワーク。2004年の運用開始から、産・学・官・地域が連携し、次世代ネットワーク関連技術や多様なアプリケーションの研究開発・実証実験が、このネットワークを活用して行われている。
*4 アノテーションあるデータに対して、関連する情報を註釈として付与すること。本実験では、研修医などが訓練の一環で操作している内視鏡画像に対し、遠隔地から指導医が、位置情報や操作するべき方向情報などを直接上書きするシステムをアノテーションシステムと称している。
*5 CODEC通常の映像をそのままデジタル化して伝送しようとすると100Mbps程度の情報量となる。そこで、空間的、時間的な相関関係から映像情報を圧縮する技術装置がCODECである。映像圧縮技術は一般的なものでは衛星・地上波デジタル・DVDなどに使用されているMPEG2、さらには最新技術としてはH.264などが知られている。
九州大学病院 総務課広報室
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