いまやコンタクトセンターの在宅化は追い風状態?
長年、コンタクトセンター業界では慢性的な人手不足という課題を抱えています。最大の理由はオペレーターに女性が多く結婚、出産などでライフスタイルが変わり退職を余儀なくされるためです。
さらに昨今では、新人の多くが数カ月で退職するケースが増えているのをご存じでしょうか。総務省の調べによると、インターネット注文の増加から高齢者がセンターを利用する割合は全体の6割強に上り、PCやインターネットに不慣れな高齢者に電話応対できる経験とスキルが求められるようになっています。つまり、経験の浅いオペレーターが定着しづらい状況が生まれているのです。
新人オペレーターが定着しづらくなっている状況を考えると、豊富な経験とスキルを持つベテランのオペレーターを簡単に手放すことがあってはなりません。プライベートの育児、介護と仕事を両立しやすく、企業側も優秀な人材を確保できる在宅化の対応は不可欠といえるでしょう。一方、自宅で顧客情報を扱う情報セキュリティの懸念から、これまでなかなか在宅化は普及しませんでした。ところが、コロナ禍で状況は一変、センターの事業継続のためには在宅化が急務になっています。情報セキュリティ、通信環境などの課題はあるものの、在宅対応は優秀な人材を確保、定着させる手段であることに間違いありません。
在宅化のカギを握る、不可欠のサービスとは?
コンタクトセンターの在宅化を実現するために欠かせないものが「CTIのクラウド化」です。これはコンピューターと電話を統合することで電話応対業務を高度化するシステムです。かかって来た電話を自動的に振り分けて業務の均質化をはかるACD、音声による自動応答により適切なオペレーターグループへつなぐIVRといった便利な機能が利用できるようになります。今回は設備への初期費用がかからず、スピーディに在宅化に対応できるクラウドCTIをご案内します。たとえば、NTTビズリンクの「クラウドCTI」は小規模からの対応が可能な高機能クラウド型CTIサービスです。
もう一つ、クラウドCTIに加えて在宅化のカギを握るのは高品質な企業向け「IP電話サービス」です。ドコモビジネスが提供する「Arcstar IP Voice」では、NTT ComのIP電話サービスやFMC、内線機能を備えたクラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」への通話は無料、さらに、NTTドコモ携帯電話への通話も定額で利用できるため通話コストが大幅に削減できます。また、目的に応じて03や06から始まる固定番号、050番号の選択、オフィスの電話番号での発信も可能です。通話かけ放題サービスを利用すればBYODへの移行も容易になるでしょう。
在宅化で配慮したいポイントとしてはセキュリティ対策も重要です。顧客の個人情報などを扱う業務には漏えいリスクを最小化する必要がありますが、自宅PCに情報が残らない仮想デスクトップを利用することで、在宅でも情報を残さずに安全性が担保できるようになります。
これらの対策を講じることで、育児、介護などで自宅でしか業務ができない人材、地方在住で通勤できない人材なども広く雇用できるようになるため、人材難を打開する一手になるのではないでしょうか。
在宅化をグレードアップするケーススタディ
最後にコンタクトセンターの在宅化にあたり、さらに業務を効率化するいくつかのケーススタディをご紹介します。コンタクトセンターではオペレーターによって応対品質にばらつきがあり、経験が浅いオペレーターの場合にはクレームが発生することもあります。再発防止、応対品質を向上させるために日次で反省会を行っているセンターも少なくありません。しかし、その準備に時間、稼働を要してしまうこともあります。そのような課題に有効なのが、オペレーターの応対音声を自動でテキスト化できる音声マイニングツールです。優秀なオペレーターの応対音声をテキスト化できれば、チームでのナレッジ共有が容易になり、応対品質が全体的にレベルアップできるようになります。結果としてセンター全体で高いレベルの応対を実現することで、顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。
次に、新人オペレーターの定着率を高めたい場合のケーススタディを紹介します。電話応対の現場では経験の浅いオペレーターほどお問い合わせに対しての調べ物に多くの時間を費やしており、結果として顧客を待たせてしまうことになります。そういったオペレーターをAIがサポートするソリューションである「COTOHA Voice Insight」では、あらかじめ想定されるドキュメントをシステムにアップロードしておくことで、オペレーターに代わってAIが文章を読み解き、即座に答えの記載個所を提示することも可能です。在宅勤務でまわりに質問できない場合でも、回答に戸惑うことがなくなるため、経験の浅いオペレーターでも安心して勤務できるようになります。
コンタクトセンターを在宅化することによって、慢性的な人手不足の取り組みに加え、オペレーターの応対品質の向上も可能になります。いまが好機です。この機会に雇用拡大、感染対策に向けた在宅コンタクトセンターを起点とした事業改革を始めてみませんか。